第二章 魅せられて
次の日の夜。
白いワンピースを着た夏海は、下駄ではなく、ヒールを履き、神社へ向かった。
神社の階段を上ろうとした夏海は、女に声を掛けられ、足を止めた。
蛇美である。
「あんたに、話があるんだ。少し時間、いいかい?」
「…何でしょう?」
眉を寄せた夏海に、蛇美は、クスッと笑う。
「ショーの時間までには、まだ時間があるよ。…白狐のことで、ちょっと…。」
「白狐さんのこと…?」
フイッと背を向け歩く蛇美の後を夏海は、ついて行った。
二人は、神社を離れ、人気のない川岸に来ていた。
「あのう…話って?」
問う夏海に、夕日に赤く染まる川の水面を見つめながら、蛇美は、静かに言う。
「突然、こんなことを言って、変な奴だと思うかもしれないけれど。…あなた、白狐のこと、どう思っているの?」
「えっ…?どう…って。」
少し顔を赤くした夏海に、蛇美は、フッと笑う。
「好きなのかい?」
蛇美の言葉に、夏海は、少し焦った感じに、こう言った。
「好きっていうか…とても、優しい方だなって。それに、美しい方だな…って。」
頬を染めて言う夏海に、蛇美は、クスクスと笑う。
「…白狐が人間じゃないって知っても…そんなこと言えるのかい?」
「えっ?どういうことですか?」
訳が分からず、眉を寄せる夏海に、蛇美は、腕を組み、ニヤリと笑う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます