2:エターナってもしゃーない!
わたくしごとですが、拙作「ダンジョンダイバーズ!!」を第一部完、という名の、実質完結状態に移行。ちりばめた謎を謎のまま、というか謎を放り出して終わりました。
「作品をエターナらせるな(未完のまま放置するな)、『俺たちの冒険はこれからだ!』でもいいから完結させろ」
こんな創作論をTwitterで目にすることがあります。ええ、わたし自身、できればそうするべきだと思っていました。
……が、まさか自分がやることになるとは思わなかったですね。「俺たちの冒険は以下略」の打ち切りエンドを。
いやあ、日頃の言動に責任を持つことの怖さを思い知りました。
そこで気づいたんですね、「今のがウケなかったら、エターナっていいから新しいのをどんどん書け」という主張。
一見、中途半端、未完のまま放置されている作品に興味を持ち、続きを待っている読者に対して無責任にも見えますが、
「エターナってもしゃーないわコレ!」
と、思ってしまいました。
持論の転向でございます。
エターナる理由を考えたんですが、主に次の三つかなと。
①ウケる作品を見極めるため、「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる」方式で書き捨てているから。
②勢いで書き始めたけど、収拾がつかなくなってエンディングが思いつかなくなったから。
③書いても書いても、思ったような評価がもらえなかったから。
①に関しては、すでに書籍化された先生、もしくはそれに近い方が、次の書籍化を目指して実践中ですよね。
ウケる作品を模索して次々に新作を量産する姿は、特に「なろう」を「βテストの場」として存分に活用している格好の例と言えましょう。
わたしたちweb投稿小説の読者は、いわばインディーズの歌手やアイドルを発掘し、愛でることで、彼ら彼女らがメジャーデビューする歴史の瞬間に立ち会っているようなものです。
①の場合、作家が、ウケそうなアイデアの原石をばらまいて、より多くの手が伸びたものを拾い上げる、その作業を手伝っていると思うべきでしょう。
よって、評価が低かった作品がエターナっても、そりゃしゃーない。書籍化できそうにないのだから。
支持された作品がエターナっても、それもまたしゃーない。無料版は、それがウケるかどうかの試金石でしかなく、それを元に書籍化がなされるのだから。無料版という「オワコン」に割くリソースがあるなら、次の売れそうなバラマキを始めるほうにリソースを割くでしょう。
②もありがちかもしれませんね。
例えばのんびりと日常を描きすぎて、どう終わらせようか思案が付かなくなってだらだら続け、終わらせ時を見失ってある日、書く気が失せたとか。
面白くしようとして手を広げ様々な要素を詰め込んだ、もしくは主人公たちを強くし過ぎた結果、どうにもまとめきれなくなった、あるいは敵が弱すぎて盛り上がらず、どうしていいか分からなくなって、筆が進まなくなったとか
テンプレ通り進めたけどその先が思いつかなくて、一度筆を止めた結果、ずるずると再開のめどが立たなくなったとか。
これもエターナってもしゃーない。むしろ作者の想定を超えるほど作品を続けることができてしまった弊害、といえるでしょう。作者本人の手に余る状態に成長した、と言えるのか肥満体を動かせなくなった、と言うべきなのか。
③もありがちかもしれません。
本当はもっと続けたかった、様々な構想もあったけれど、思ったように評価してもらえない、PVも増えない、PVは増えても♥も感想もない、というかアンチがいた、などで、心が折れた、というパターン。
要は、「ちやほやされたい」という願望を抱いて挑戦してみたけれど、(本人にとっては)意外に反応が薄く、モチベーションが続かなくなった、というパターン。
いやもう、まったくもって今回、「ダンジョンダイバーズ!!」を終わらせたわたしがそれですな!
「そんなの作者の都合だろ、読者のためを思ったら、一応は完結させろよ」
そんな意見もあることでしょう。けれど、作者が「続けることに価値を見出さなくなった」作品、それがエターナった作品なのです。
「書籍化の目途が立ったから無理に続ける必要がなくなった」もしくは「続けたいけれど続けるアイデア・気力がわかない」のであれば、そもそもが続かないのですね。
もう一つ、後者の場合、本当は続けたいんですよね。今はモチベが続かないだけで。
未完状態にしておけば、またいつか書きたいと思った時に、おもむろに続けられるじゃないですか。だから未完のまま、放置しているのではないでしょうか。
「アルスラーン戦記」のように、何年も凍結状態だったのが唐突に再開されて完結した、なんて現実の例もありますし。
放置が過ぎて、「どうせもう誰も見てない」と分かり切っている作品の最終話を無理に付け足すのが億劫、というのもあるかもしれませんけれど。
結論。
読者の立場からすれば、完結させてくれよ、という願望はあるのでしょう。
ですが書き手の立場からすれば、多くは「完結させる気力を失った状態」だと言えます。書き手にしてみれば、いつか再開する日を夢見て、冷凍してあるだけなのです。
というわけで、ずっと更新されなくなってしまった作品にやきもきすることもあるかもしれませんが、この一言でおおらかに……。
「エターナっても、しゃーない!」
きつねのあなから世をのぞき見る 狐月 耀藍 @kitunetuki_youran
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