第2話 俺もクラスメイトなんですが?
「龍斗、俺、龍斗がいないと、だめだ。だから、ずっと俺のそばにいてくれ。ずっと、俺ら、一緒にいよ…」
「はいはい、教室行きましょうね。」
龍斗に引きずられる様に教室まで連れてこられ、意を決して、そぅっとドアを開ける。ちなみに龍斗はとっとと自分の教室に行ってしまった。むりなきそう。
引き摺られながら、ちらっと見かけただけでも、他のクラスは慣れない仲同士、どこか遠慮気味で静かだった。
でも、このクラスは、すごく騒がしかった。なに、みんな幼馴染とかなの?
つまり、既に固有の人間関係が存在しているということ。
…これ、マジで?
最早笑みすら溢れそうなほどに、俺は訳がわからなくなった。
そうっと教室に入る。
俺の席は…教室の真ん中らへん…しかたない、出席番号順だもんな。でも、他の人が話している間に席があるのはちょっと気まずい…
そんなことを思って自分の席のところへ行くと、俺の席を挟んで話していたショートカットで派手な髪飾りをつけた女子に声をかけられた。
「おはよう。…あなた、もしかして?」
は?え?急に何?
俺はまたもや頭が?でいっぱいだった。
明らかに困っている俺に、ショートカットと話していた、ツインテールのリボンをつけた女子は、
「あなたが例の外部生でしょ?」
…なるほど。
俺はほとんど察した。
とりあえず教室が騒がしいのが耳障りだったから、イヤホンをして本を読んだ。俺は、普通この時間に話しかけられたりして近くの席の人と仲良くなる、ということをしらなかった。外界を遮断していたから、自身がちょっと浮いていたこともしらなかった。
担任が教室に入ってきたところで、俺は外界と接続した。教室は未だ少し騒がしかった。クラスメイトが、好奇の目で俺を見ていたことは、知る由もなかった。
担任が入ってきたので、みんなは話すのをやめるものだと思っていたが、そんなことはないらしい。ほんとなんなの?
「おはよう。高校部からも引き続き、担任は私、大垣
真面目そうで、少し童顔な担任が見せる笑顔はとてもさわやかだった。
彼は教室を見渡した。
「…なんていうか、代わり映えしないな。制服が変わっただけじゃないか?」
…俺には全てが新鮮だけどな。
そう言いたげに、担任を睨みつけると、彼と目が合った。
「あ!そうだったな、もう一つ変わったことがあった。クラスメイトが1人増えたな。じゃあ、自己紹介してくれ。」
クラスメイトたちは俺に視線を向けた。どこからかおおっと歓声が上がる。
…当たり障りなくすればいいか。
「えっと、西口蒼汰です。○○中学から来ました。趣味は音楽です。宜しく。」
まあ、こんなもんじゃね?
皆笑顔で俺を迎えてくれている様だ。歓迎の拍手が降り注いだ。
どうやら、俺はこの試練を乗り越えた様だ。
…疲れた。寝よ。
この時、クラスメイトに友達を作る気は無いんだと思われてしまったことは、全く気づいていなかった。
…これは、コミュ障というやつに入るのか?
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