第30話 子供達

あれから双子達もすくすくと育ち今は小学生になった。智子も2人の子供を持つ立派な主婦をやっている。


 私達は家族ぐるみで良く出かけたりする、太陽もなかなかいいパパになっている。

今日は太陽達が遊びに来ていた。子供達も楽しそうに遊んでいる。


「なあ、アキラ。俺達の家を建ててくれないか? 居心地の良い家を」

そういう太陽にアキラが言う。


「クライアントの要望をしっかり聴く設計士にお任せあれ! 俺達はクライアントに喜んで貰える家を作るのが生きがいなんだ。任せろ!」


私は智子とお茶とケーキの用意をする。

「マスターの奥さんまた腕をあげちゃってコンテストで優勝しちゃうんだもの。もう、絶対勝てないわー」

と用意をしながら智子が言う。


「本当よね。レシピを教えて貰っても同じ味にならないのよ」

「そうそう! そうなのよ!」


楽しいお茶の時間に子供達を呼ぶ。こういう時はテレパスは便利だわ。大きな声を出さなくても伝わるから。



当然、子供達にも力がある。なので良く相談をする。力を持つ子供をどうやって育てるかって、意外と大変なのよ。


「凛くんと由紀ちゃんに空手習わせているのよね。うちも考えないと行けないわね。長男の直人何かもやんちゃで困っちゃう」


そこで太陽が

「なら俺の爺さんの道場に行かせるか?」

「そうねえ。お爺さま、とても元気ですものね。弓道をされているのよね」


「いいじゃない! あれって精神統一が必要なのでしょう?」

と私が言うと

「でも、二人ともスイミングがいいって言うの」

智子が困った顔をする。そんな智子に私は、


「いっそ、どっちもやらせてみたら?」


という事で私の案が通りどっちも行く事になった。長男の直人くんは弓なんか嫌だと言っていたが、精神を集中させるにはとても良いと話すと渋々だが行く事になった。直人くんは私達の子供とは2つ離れている。下の陽子ちゃんは年子だったのでなかなか大変だったようだ。


でも皆仲良しだ。





※   ※   ※



「凛、由紀行ってらっしゃい」


 玄関で2人を見送る。


「行って来ます!」


2人はとても仲良しそれに2人とも力を持っているからテレパシーで呼び合う、喧嘩も傍目では静かに見えるがテレパシーでキンキンやっている。そんな時はアキラに叱られる。


「パパには敵わないもん、ずるいよ」


と2人で結託する。


2人には、人前では力は使わない、人に向けて力は使わない、と約束をしている。



幼稚園の時、由紀が滑り台から落ちそうになった時、凛が力を使い落ちる由紀を抱えた。周りは驚き何が起こったのか分からなかった。たまたま凛が居てそこに由紀が落ちてきた。と言う事になった。


「あの時はビックリしたわ。帰って来たら約束を守らなったと言って私に凛が泣きながら謝るのよ」


アキラとベッドで話す、


「そうだったな。まだ、テレパス位しか使えていなかったから。考えていなかったが、これから力の使い方を教えないと行けないってその時思ったよ。確かに凛は強い、危ない位に。由紀がいるから抑えられているのだろうが」



子供達は一緒に寝ている、その方が安心して眠れるそうだ。アキラは相変わらずタフで今夜の愛も激しい。



ある日、少し熱っぽく気怠い、


「ママはお熱あるから、お休みさせてあげよう」


アキラが言うと、子供達が一緒に言う、


「そうだね、赤ちゃんにもお休みあげないと行けないからね」


アキラと私は驚いた、病院へ行くと妊娠が分かった。


「驚いたな、先を越されるとは、何か気に入らん」


何を子供と競っているのかわからないけれど、時々ムキになるのよね。


「でも、また家族が増えるんだ。嬉しいよ!」


「そうね、賑やかになるわね」


「家族が増えるなら、マンションじゃなく戸建てにしよう! 俺が家を造る!」


子供達のお部屋は必要だわ、性別も違うから分けないとね。


それから、アキラは文字通りやる気満々で仕事を張り切っていた。当然帰りは遅い先に寝ていいと言われるけれどアキラと一緒の方が落ち着くから子供達が寝た後はリビングで帰りを待つ、なのでいつも飛んで帰って来る。朝は人目もあるので玄関から出て行くが帰りはテレポートを使う。マスターの時も思ったけど、便利よね。



そして、無事3人目が生まれた。男の子だ。凛と由紀は大喜びでよく面倒を見てくれる。髪はアキラと同じ茶色、瞳もアキラと同じだけど、グリーンの方が濃い、なので夫は何処の国の人かとよく聞かれる。日本人だと話すと驚かれる。名前は『空』家も完成した。アキラが設計し、本人は色々こだわったと自慢の家だ。賑やかな家族に優しい設計になっていると言っている。


‥‥‥新しい物語が。また、始まる。


※   ※   ※



双子達は中学生になり、末っ子も幼稚園に通うようになった。


私の両親も孫達には敵わない、と、言うか言いなりになっている。父は由紀には特に甘い。が最近は相手をしてもらえないと拗ねていると母から連絡をもらう。もう、中学生だもの友達と遊ぶ方が楽しいわよね。


 今日は、日曜日、凛と由紀が空を連れてショッピングモールに来ていた。


「空、クレープ食べる?」


由紀にクレープを買ってもらい、美味しそうに食べる。そんな空を見ている2人も嬉しそうだ。


「空、トイレに行きたい」


とそわそわする。


「俺が連れて行くよ」


凛が言うと、


「1人でも行けるもん!」

と空が膨れる。


「わかった、わかった。じゃあここで待っているからな」


凛が言う、トイレの前で待つ2人。


トイレの中で空は2人の大人達を見ると、話しかける。


「ねえ? おじさん達ここにもう一度、夜に来るの? お店開いてないよ」


2人は驚く、

「なんだ? このガキ」


「それに、黙って勝手に物を持って行っちゃあ、ダメなんだよ」


空は言ってやったとばかりに嬉しそうだ、



「おい、こいつヤバくないか、俺達の話し聞かれたか?」

と、こそっと2人で話す、男2人は空に


「わかったよ。偉いな坊主、名前は何て言うのかな?」


「空だよ」


ドヤ顔の空、に対して男達はこそっと話し合う。

「ここから、出ないとまずいな」


 そうだ! と男は空に言う、


「空くんか、おじさん達がそっとここから出るけど、捕まえる事が出来るかな?」


「かくれんぼ? 簡単だよ! でも、お兄ちゃんとお姉ちゃんと来てるから、話してくる」


「お兄さん達には内緒にしよう、ダメって言われたら、遊べなくなるだろう?」


 空は迷う。そこで、男は言う。

「後から、そのお兄さん達に話せばいいじゃないか、それとも、無理かな? やっぱり子供だから大人には敵わないかな?」


「そんな事ないもん! 見つけるよ、幼稚園でもいつも1番に見つけるし、すぐ皆を見つけるもん!」


空は負けず嫌いなのだ、そんな事を言われるとムキになる。


男は言う、

「それじゃあ、10数えたら初めだぞ」


「わかったー!」


と元気一杯に返事をする。男達はトイレから出る、空は数えていた。


「……9・10!」


 そしてそっとトイレから出る。凛と由紀に見つからないようにと……


 凛と由紀に見つかる事なくトイレから出た。



 空は嬉しくなった。出来た! 僕凄い! 今度はあのおじさん達を見つけるもん!


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