第28話 地球は渡さない

再び三度目の会議は開かれた。


首脳達は降伏を考えているようだ。怯えているのが伝わる。アキラは、


「降服してはいけない! 殺されるだけだ。俺達は前世で経験している。命の保証はしていないはずだ。捕虜なんて面倒な事はしない、そういう奴等ですよ」


 騒めく会場の中ポールが大きな声で言う。


「ここに、英雄が居る! その英雄が諦めるなと言っている!」


 何処からか声がする。


「どうすればいいのか、策はあるのか!」


「あります」


アキラはその声に答える。静まる会場。


「俺達スターチルドレンが居る。コンサートの後、皆感じているだろう? 自分の力が強くなっているのを、守るんだ! その為の力だ!」


「そして、迷わず俺を頼れ! また、何処へでも飛んで行ってやる」


その力強い声に、日本の総理が言う。


「何もしないで負けを認めるなんて可笑しい。我々には、こんなに力強い頼れる味方がいるじゃないか、我々は今まで何を見て来た。その目で見て来たはずだ。彼等の活躍を!」


首脳達も、それに賛同する。


キング。王と名乗る人物に地球人は、『NO』だと伝えた。


※    ※    ※


 攻撃の準備が始まる。


アキラ達は前回と同じ様に軍隊の中に仲間を配置する。前回と同じ顔ぶれが集まる。初めは戸惑っていた軍の隊員も今は、目的を同じくする仲間と言う強い絆が生まれていた。今回ここに集うすべてが気持ちは同じだった。


『地球は渡さない、守るのだと』


再び、戦闘が始まる。空には沢山の円盤、小型の宇宙船が見え始め一面を覆う。戦闘機が出る。攻撃が始まった。市民は避難済だった。今回は小型船からビームが放たれ、戦闘機は破壊される。建物も焼かれた。が、狙われた戦闘機はアキラ達スターチルドレン達が中に居る隊員をテレポートで地上に降ろす。焼かれた建物は修復する。そうして物理攻撃を防いでいた。アキラがテレパスで言う。


“落とせ! そして、壊せ! 俺達には出来る!”


アキラもポールも各国のスターチルドレン達が出る。其々の国の軍隊も出る。


アキラの声に押される様にスターチルドレン達は力を発揮して船は落とされ破壊されていく。中から武装した者が姿を現す。テレパスによる精神攻撃は前回より厄介だった。


アキラ! こっちも、精神攻撃を受けている! テレパスが間に合わない! アキラ! 沢山の声がアキラを呼ぶ、その声に応じてアキラは飛んで行く。太陽もマスターも頑張っている。太陽は沢山の船を落とす。マスターは敵の位置を正確に伝え現れる敵を先回りして、叩いていた。勿論テレポートでその予知を仲間に伝えていた。



アキラはその中、何かを決意する。“しばらく頑張ってくれ、俺が奴らの足を止める”



アキラは両腕を広げ強く拳を握る。目を閉じ、全身で宇宙エネルギーを受け力を開放した。その力は地上にいる敵の全員の動きを止める。アキラの気配に敵は恐れる。あの伝説の英雄がここにいると敵はやっと実感したようだ。


“今だ!”


その声を受け一斉に反撃が始まる。それは、敵を恐怖させた。アキラの気は相手の戦闘意欲を奪っていったのだ。そして、敵は撤退して行く。


“追うな、行かせろ”と、アキラは皆に言う。


次第に敵の数は減り、空に青空が広がり始める。




そこに、あの人物がいた、包帯を巻かれた顔は表情が分からない。だが、その人物はアキラが倒した者だ。地球人に転生した仲間を集めて言う、


「地球人を殺せ!」


だが、誰も動かない……


「どうした!」


「俺達はあなたが言う様に前世は違う星の住人だった。そして、他の星の住人達を殺していた。しっかり思い出して、覚えていますよ。それが王の為だと思っていたから」


「その王の命令だぞ!」


「……初めはそう思っていた。だが、王って? 今の俺達に何をしてくれた? 嫌な記憶を思い出し、忠誠心を思い出させただけだ。もう、嫌なんだ! 人を殺したくない、何人もこの手でテレポートを使って宇宙に飛ばした! だが、もう嫌なんだ! ここに居る皆もそう思っている、現在は幸せに暮らしている者もいるんだ!」


皆が頷く。


「俺達は今は、だ!」


「反乱など許さん!」


その場に居た数人が炎に焼かれ灰になる。だが、誰も動かない。


「俺が地球の王だー!」


そう叫ぶとその場にいた全員が居なくなる。


包帯の男は1人になり怒りに震えていた。全てリーキャスが悪いのだと、独り言を言いながら歩いていた、姫には何故か攻撃が通じない……もう狙って連れて来るしかない。


「リー! お前の前で姫を痛め付けないと気が済まない! 今回は外さない! 武器がダメなら違う方法を考えるまでだ」


その時太陽は傷を負って智子が癒していた。マスターも闘いの中、疲労していた。その一瞬の隙に私は誰かに腕を掴まれる。その前にマスターは気づき、私の腕を掴んでいた。太陽もテレポートで引きずられる私を留めようと同じように腕を掴む、が一緒にテレポートに巻き込まれた。そして、アキラの居る場所に来た。2人は地面に倒れる。


そして、今私は空に浮いている。何故? 私はここにいるの? あれだけガードしていたのに、何故? 


その空にはあの男も浮いていた。


アキラの表情が怒りに変わり殺気立つ。


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