第21話 脅威
アキラが官邸に呼ばれた。直接連絡があったので驚いた。だってこの国のトップからだもの。
予定時間になりアキラは私に、
「行って来る」
と軽くキスをして飛んだ。
アキラが飛んで1時間が過ぎた。遅くないかしら? 心配になる。マスターに連絡しようか迷っていたら、帰って来た。
「どうだった?」
「あゆみ。ただいま、大丈夫だよ。礼を言われただけだ。後は雑談だよ。総理も居たんだが面白い人だな、防衛大臣は俺の事をよく知っているだろう? 総理は俺をそんなに知らない。リーキャスの事も知らない、だから色々聞かれたよ」
そうだったんだ。
「大臣も総理もあの写真待ち受けにしてたぞ。笑えるだろう? 総理はコンサートの後に知って待ち受けにしたらしい」
あらやだ、そんな事になっていたなんて今更ながら恥ずかしい。もじもじしているとアキラから抱きしめられ沢山のキスをされた後、ベッドへ連れて行かれる。激しい愛が最近は心地良い、心が繋がれる幸せに浸る。
気が付くと外は暗くなって来ていた。
「晩御飯の用意をしないと」
「もう夜か、そう言えば腹減ってきた。あゆみが作る飯が美味くて外じゃ食えない」
「まあ! マスターのお店のディナーは食べれるのに?」
「アレは別だよ。上手いのは当たり前だ。あゆみが作ってくれるから美味いんだよ」
ニコっと私を見て言う。アキラからそんな事を言われて嬉しくなってしまい、つい頑張ってしまった。テーブルに並ぶ沢山の料理を見てアキラが困った顔をして言う、
「あゆみ。嬉しいんだが‥‥‥作り過ぎだよ。そんなに俺を太らせたいのか? 残念だったな、俺は太らんよ」
食事が終わりいつものようにソファーで寛ぐ、アキラは私の膝枕でテレビを見ている。
「アキラって体型変わらないの?」
「そうだな、大学卒業しても太陽と水泳やジムに何か行ったりしていたからな。ジムは24時間やっているからストレス溜まった時に行ってた。だからずっとこんな感じだ。服のサイズは変わらない逆に腹筋バキバキだぞ」
と服をめくる。見慣れたその身体にそっと触れる。
「私はこの身体にいつも助けてもらっている」
「なんだ、その気になったか? 俺はいつでもウェルカムだぞ」
「もう! すぐ茶化す!」
アキラはその後ふっと笑い、ゆっくりと話し始める、
「俺はティアの肌も覚えているよ。フワフワって柔らかくて、今のお前と同じなんだ。だからあの時、我慢出来なかった……ティアを失った後、ずっと彷徨っていた。触れたくても届かないんだ。どんなに手を伸ばしてもこの手は空を掴むだけ、腕の中には何も無い。お前にも見えていたよな。他のスターチルドレン達はそんな俺を見ていたんだから」
「うん、見えたよ。そんな姿を見るたび哀しかった」
アキラの肩に手を置く、アキラはその手を重ねる、
「悪い、比べるつもりはないんだ。お前はお前だ。今のあゆみを愛している。あれは夢なんだよ。幸せな‥‥‥だから気に障ったら許してくれ」
「そんなに愛されてるティアに嫉妬しちゃうわ」
「お前だぞ。自分に嫉妬かよ」
そう言って笑うアキラ。そのアキラに私は言う。
「そうよ、私だって今アキラが居なくなったらきっと壊れてしまう」
アキラはその言葉を聞いてふっと笑うと、
「あの時のリーに聞かせてやりたい台詞だな」
そんな幸せな1日が過ぎて行く。
※ ※ ※
雨の梅雨も過ぎ、またあの暑い夏がやって来た。
あれから、世界中に変わった動きは見られなかった。しかし、敵は消えた訳ではない夏のある日、子供が指を指す。
「あれなーに?」
周りの大人達も見上げる。大きな雲の様に見れる円盤型の浮遊したそれは空一面を覆う。それは世界を恐怖させた。
その異変にマスターから連絡が入る。
空を覆うそれの出現に人々はパニックになった。当然店は閉まり外には誰も居なくなった。マスターから、
「あれは、まだ仕掛けて来ない。威嚇しているだけだ。世界のトップ達はどう出るか……そのうち呼ばれるだろうな」
「マスターあれって」
知子と太陽が言う。マスターはそれの出現を知っていたように、
「そうだ奴等だよ。前世でもあれからの直接攻撃は受けていない」
マスターのスマホが鳴る。そのスマホはあの大臣との直接会話をする為様のスマホだ。そのスマホにマスターが出る。暫く会話した後こちらを振り向き言う。
「3回目の会議が行われる、アキラ頼んだよ。アレからの直接攻撃はない威嚇だ。攻撃は別にやって来る」
「分かった」
会議が始まった。アキラが現れると会場は静かになる。皆アキラの言葉を待っている様だった。
「アレからの直接攻撃はないはずだ。アレはダミーで威嚇をしているだけだ」
他のスターチルドレン達も同じだった、
「そうね、アレに驚きパニックになった。そこで別に攻撃を受けた」
アキラは首脳達に向かうと、
「そう言う事です。首脳方、この後ろに別にいます。だが我々がさせない! 皆。覚えているだろう? 敵はあの後ろに隠れている。それを叩く!」
総理が聞く、
「軍は必要かい?」
「そうですね、空軍機は出して頂きたい。それで上まで連れて行ってもらいたい。確認がしたいのです。それにジェットが飛んでいるだけで人々は安心する、動いていると分かれば暴動も抑えられる」
アキラは静かに言う。
「地球人に転生している敵に俺は遭っている」
会場が騒めく。
「うちの大事な嫁に手ぇー出したんだ! 許せるか!」
ポールが驚く!
「あゆみは大丈夫なのか?」
「大丈夫だ。心配はいらない、今は誰よりも強くなっている。あいつはこの地球を加護に持っているんだ。こんなすげー味方はいないだろう?」
一言置いて、
「地球人に転生したもの全員が敵なのかは分からない。見た目は地球人だ区別が出来ない。だが殺気やら、狂気やらといった変わった気を持っているから会えば分かるはずだ」
その言葉に皆息を飲む。
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