第18話 悲劇の英雄伝説、新たに 


あれから2カ月が過ぎた。



世間ではいつもの日常が戻りつつあったが、まだ、悲しみは色濃く残る。あちこちに花束が添えられていた。当然、責任が問われるが公表出来ずにいた。知ればパニックになる。世界がモヤモヤしていた中、また事件は始まった。あちこちで銃の乱射事件が報道される。



事故の後のストレスだとか、事故を正当化する者もいた。日本は銃の所持には登録が必要だ。だが、アメリカなど、正当防衛として認められている国は多い。そのような国は悲惨な事になっていた。そんな中、日本でも例外なく発砲事件は無くならない。いつもの集まりも今回は話しが進まない。解決に至る案が出ず静かに時間は過ぎる。


マスターは国としても頭を抱えていると、犯行声明を公表する、しないになっているらしい。


スターチルドレンを表に出してはと言う意見も出る。俺達はあくまでも裏方だ表に出てはいけない。自分達の命もかかっている。それでは前世と同じだ。そこで、再び会議が開かれると連絡が来た。リーキャス、アキラは当然呼ばれた。



重たい空気の中始まる。各国の暴動は既に手が付けられなくなっていてそれぞれ軍が出ている。


イラつく首脳達にアフリカ代表のローラが言う、


「今まで、アキラに事件を解決してもらって来た。アキラだけに背負わせるのは間違いだわ。前世で我々は学んだあの悲劇は繰り返してはいけない。悲劇の英雄の話しは誰もが知っている。そうでしょう?」


ざわつく会場が静まり帰る。そこで、アメリカ代表のポールが言う。


「もう悲劇はゴメンだ。ハッピーエンドにしようじゃないか」


「コンサートとを開こう」


 そう提案したのは、イギリス代表のリチャードだった。


「年明けに沢山の被害者が出た。レクイエムだ。その歌声に乗せてヒーラー達がこの地上にヒールをかける、心に響くはずだ……こうやって、皆、リーキャスの事を知っている。同じだ」


「物語や音楽は世界共通だろう!!」


リチャードの声が会場に響く。


いつの間にか拍手が上がる。そして、ポールが、


「あの悲劇の英雄は、今、パッピーエンドを迎えて幸せの中だよ!」


とアキラの左手を上げる。光る結婚指輪。


「おお!」


とアキラの現状を知らない人から歓声が上がる。ポールがドヤ顔をする。


「時を超えたラブストーリーだ! 素晴らしいじゃないか、これこそ新しいストーリーだよ。皆、あの話しに追加してくれよ」



会場にはすすり泣く声もする。拍手はより一層強くなる。そして、コンサートを開く事が決まりそれぞれが動き始める事になった。会場の重たい空気は無くなり皆が希望に満ちた表情に変わる。


 春、遅くても、夏前に開催しようと、決定された。


アキラが顔を真っ赤にして帰って来た。照れながら、


「あゆみとの馴れ初めなんか、凄い聞かれたよ。そこで、俺の奥さんはすげーんだって自慢してきた」


恥ずかしいけれど嬉しそうに話すアキラを見ていたら胸の中が温かい。知子が、


「幸せは独り占めしてはいけないわ。他の人にも分けてあげないと」

と潤んだ瞳を向けて言う。


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