第14話 結婚

それから色々な所に行って結婚式の準備を始めた。指輪も一緒に見た、婚約指輪を貰って私は幸せだ。


ドレスは母が来ていた物を少し直して裾のレースを増やして長くした。


※  ※



12月初め、結婚式当日、ポールも来てくれた。


アキラのタキシード姿はとてもカッコイイ。背が高いからモデルさんみたい。そんなアキラから、


「あゆみ、凄い綺麗だ。俺は世界一の幸せ者だよ」


父は初めからずっとハンカチを握りしめていた。そして、披露宴も終わり、二次会はカフェを貸し切ってもらい始めた。ポールは今日沢山写真を撮っていた。皆から沢山の祝福の言葉を貰い、智子はボロボロに泣いていた。華やかで幸せな1日は終わり2人で部屋に戻って来た。


「ポールのやつ今日は、写真めっちゃ撮っていたよなあ、嬉しそうだった。それにしても、あゆみの親父さん、びっくりする位初めから泣いていたよな。俺も娘が出来たらあんな風に泣くんだろうな」


ソファーで2人寄り添い手を繋いで話す。


「そうだね。地球を守り切ったら家族を作りましょう。アキラに似た男の子が欲しいわ。女の子もきっと可愛いと思うのだけど」


「ああ。そうだな、家族が欲しいよ。俺は無くしてばかりだから」


 二人で見つめ合う、お互いの額を合わせて

「アキラに沢山の幸せを、これからもずっと一緒よ」


「じゃあ一緒に風呂入ろうぜ、湯は溜まっている」


あの悪戯っ子の顔になりニカッと笑う、


「今日は俺があゆみの身体を洗う、頭から足のつま先まで全部だ」



アキラに頭を洗ってもらう、人に洗ってもらうのって気持ちいい


「お客さま、痒い所はありませんか?」


「アキラの手、大きいから洗ってもらうと気持ちいい」


「だろ?」


「今度は私がアキラの頭を洗うわ。私アキラの髪って好きよ、濡れると少しクルクルになるのよね」


「じゃあ頼むわ」

といきなりこっちを向く。


「えっと洗いにくいから向こう向いて」


「これならそうだ」


 と、つむじが見える位に頭を下げる


「そうね、これなら洗えるわ」


 洗い終わり身体を洗う、背中を洗いながら、


「アキラって、肩幅広いし以外と筋肉質よね、水泳やってたからかな? 種目は何をやっていたの?」


「個人メドレーだよ。全部1人でやるやつだ」


「リレーなんかもあるが、俺は個人でしか出なかった。何も考えずに無心で泳いぐのがいい、リレーに出てくれってしつこく言われたから、高校1年の夏に退部した。あの時は、人と関わるのが嫌だったから、受験の為って退部した。その後はずっと勉強をしていたよ。お陰で主席で卒業した」


「そうなんだ。アキラって自分の事話さないから、お婆さまの話し以外で聞けて嬉しい」


「そんな事より、今度は俺がおまえを洗う」


 くるっと回された。


「お前の背中小さいなあ、肩や腕も細い。だが、足がキレイなんだ。細っこい枝みたいじゃないからいいんだ」


 器用に後ろから手が伸びて洗われる、


「説明はいいから、後は自分で洗える」


「いいから、俺に任せろ」


 確かに力加減が丁度いいからマッサージされているみたいで気持ちいい、つい声が漏れた。


「ああ! ダメだ! 我慢できん」

そう言ってアキラの方に向かされる。と深いキスをされ首筋や鎖骨にアキラの舌が這ってくる。


「ダメ、だよ‥‥‥こんな所で」

「そんな顔見せられてたら無理だ! ああー! 泡が邪魔だー!」


と、ざばっとお湯をかけられた。そして、初めてお風呂場で愛された‥‥‥。


湯舟に二人で浸かりながら、恥ずかしさで一杯の私の後ろから

「悪かった何て言わないからな、あんな顔を見せられたら我慢出来ん」

「もう、普通がどうなのか解らないけど、アキラがタフなのは解ったから‥‥‥それに私もつい変な声出しちゃったし」


「すげー色っぽかったよ。大人の色気を感じたよ。お前最近また、キレイになったよ。大人の色気を感じる」

 額にキスをされて言われる、


「まあ! それって、今までは子供っぽかったって事?」


「そうだな」


 私はムスッと拗ねる。


「そんな、顔も可愛いんだ」


これって褒められているの? 複雑な気分。お風呂を出ると、当たり前の様にアキラに抱きかかえられベッドに連れて行かれる。


アキラは、もう今年のお仕事は終わりみたい。なのでカフェが忙しくなるこの時期、アキラもお店を手伝ってくれる。クリスマスもあるし一緒に居られる、嬉しい。今夜も沢山のキスを身体中に落とされ愛される。


※   ※   ※


年末のカフェは忙しい。アキラのウェイター姿はカッコいい。女性客からの視線を集めていた。左の薬指にはリングが光っている。が、それを見てもアキラを見つめる。時々声をかけられていた。イケメンだもの仕方ない休憩を一緒にとっていると


「カップルで来てる癖にあゆみを見る奴多すぎ! 顔が引きつるぜ」

 頬に肩肘をつき、むっとする。


「アキラだって女性客から、声をかけられているじゃない」


「それ、注文受けているだけだよ。それに、これ見えるようにお絞りを置くんだ。こうやって」


とお絞りを置く仕草をする、左手で置くのね。


「だから、二度見されたりするよ。それに女性の目なんて慣れてる。あゆみの瞳ほど吸い込まれる女性はいない」


そう言われて恥ずかしいけど、アキラの瞳をじっと見つめる。


「アキラの瞳って茶色と少し緑が混じっているのよね、お爺さんさまの瞳はグリーンだったなの?」


「そうなんだ、子供の頃はもっとグリーン方が濃くてそれこそ、イタリア人だったよ。髪もこんなだしな」


そこでアキラから軽いキスをされる、

「ちょっと嫉妬しただけだから、もう休憩終わりだろ。行かないと」


そうだった。これからがまた、忙しくなる。ランチタイムは乗り越えた。後は夕方のディナータイム、このお店のシェフは元有名なイタリアンのお店で働いていただけに味は評判だった。いつものように夕方まででいいとマスターから言われたが、アキラもいるので1日いる事にした。今日は金曜日、クリスマスはもうすぐ、夕方から来るバイトくん達に挨拶をして、お仕事に戻る。


1日が終わった。バイトくん達も帰りマスターから


「あゆみちゃん達ありがとう、疲れただろう?」


「マスター、これ毎日やっているんですよね」


「マスターだからね。たまには他のお店にも顔は出すけど、そこはそこにいるスタッフに任せてあるから、様子見ね。希望とかないか聞いて後は雑談している」


 流石やっぱりやり手だわ、だってスタッフの皆が生き生き仕事しているのですもの。


「俺は全然平気ですよ!」

アキラはドヤ顔で言う、


「宇宙エネルギーを貰っている人は違うな」


「マスター知っているんですか?」


「だって、リーはそうしていたから、当然アキラもだろ?」


マスターは私の肩に手を置くとそっと、

「お察しするよ。君も大変だね」

そう言われて顔が赤くなる。


 私が疲れた顔をしていたからのだろう。マスターから、


「明日はイブだ。忙しくなる夕方から来てくれないかい? 宜しく頼むよ」


 その日の帰りは、アキラが飛んで帰ってくれた。


「今日はお風呂、ゆっくり入りたいから1人で入らせてね」


そう言うと、ちぇっと小さくアキラが言った。私はお風呂に浸かっていたらウトウトしてしまった。アキラに身体を揺さぶられハッとする。


「大丈夫じゃないな、頑張り過ぎだ。俺はもう身体洗ったから入っていいか?」


「ごめんなさい、変わるわ」


と立とうとすると、眩暈がした。のぼせた……。


「ほら、一緒に出るよ」

と支えてくれる。


「アキラ温まってないじゃない、風邪ひいちゃう」


「大丈夫お前で温まるよ」

と、優しくキスをしてくれる。


「どうだ? 少しは元気出たか」


「凄い、身体が軽くなった!」


「それは良かった」


と、あの顔をする。


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