第7話 プロポーズ

朝、目が覚めた。何か目が重い。そうかあの後、私泣きながら寝てしまったんだ。アキラはまだ寝ている。やっぱりアキラの腕の中は安心する。朝ご飯作らないと、起きようと身体を起こすとアキラから腕を掴まれ胸の中に戻された。


「もう大丈夫か?」


 優しいな。心配してくれている。昨日私変だったからでも、まだ不安な気持ちは残っている。


「うん。昨日より気持ちは楽になったかな?」


「そうか? 全然大丈夫じゃないって顔だけど? 無理はするな我慢もしなくていい」


そんな事言われたらまた涙が出そうになる。そんな私を抱き寄せ、


「俺には、本当の事を言ってくれ、不安ならお前が安心するまでいくらでもこうしてやる」

アキラ、優しい。

「……それなら、もう少しこのままこうしていたい」


すると、今度はくるりと身体が回され、私を見下ろすアキラ

「じゃあ、昨日の続きをしそう」

そう言って私に覆いかぶさるように上から見下ろされた。


そうだ。思い出した! 迫ってくるアキラの顔を手で押しのけて

「ねえ。アキラお仕事は? 今日、休日出勤するって言ってなかった?」

私は逆にその手を捕まれそのまま手にキスをされる。


「行かないよ。こんなお前を置いて行けるかよ。それに連休だぞ! 仕事っていっても雑務が残っているだけで、仕事自体はひと段落ついているから大丈夫だ」


「ごめんなさい。私の為に」


「俺がそうしたかった! あゆみと一緒に居たいと思った! ……だからそんなに謝るなよ。マスターにも連絡済だから安心しろ」


初めのキスは優しく、そして見つめ合う。朝日の差し込む中恥ずかしさはあるけれど、アキラはいつもより優しく私に触れてくれる。それが何だか逆に気持ちいい、甘い吐息が口から漏れる。私の名前を呼ばれる度アキラが愛おしくてたまらない。


今度は深く長いキスをする。アキラの首に腕を回し、アキラの耳元でささやく。

「アキラ、愛している。私もあなた無しではきっと壊れてしまう。だから、絶対無理はしないで絶対よ」

 

優しくキスを返され、互いの額を合わせて二人で見つめ合う。


「結婚しよう」


アキラからそう言われた。その言葉に嬉しくて涙で頷きながら、


「はい、嬉しい。これからも宜しくお願いします」


「ああ。これからも宜しく頼むな」


「ずっと一緒よ。もう、離さないで」


「当たり前だ。お互いがジジ、ババになっても一緒だ」


そして、結局激しく愛される事になり、朝からグッタリとなる。


「悪いな。嬉しすぎて、それに声を押さえているあゆみが、あんまり可愛いから歯止め効かなかった。昨日お預け食らった分、もう少し付き合ってもらわないとな」

にっと、あの悪戯っ子の顔をする。


「それじゃあ、私、朝ごはん作る体力無くなっちゃうよ」

困った顔をしてみる。そんな私にアキラは


「それなら、今日はマスターの所に食べに行こう! 色々聞きたいしな、こういうのよく分からないから経験者に聞こうぜ。その方が早いし確実だからな」


「うん! そうね」


「だ・か・ら気にせずに、もっと気持ちよくなれよ」


と敏感になっている私の身体を容赦なく責めてくる。アキラと一緒に繋がれる。アキラも言っていたけれど、幸せだ。だけど、アキラの体力ってどうなってるの? こっちはこんなにグッタリなのに、息一つも乱さないなんて、何かずるい。私、もう力入らないわ、いつもよりグッタリする私をアキラは抱き寄せる。

「俺としてはまだ足りないがお前が無理そうだな」


「アキラの体力ってどうなっているの? 私もう力入らないから立てないかも」


「俺は宇宙からエネルギーを貰っているからな、体力はすぐ回復するんだ」

それって何かずるくないかしら。でも、いつもみたいに反撃する体力もない‥‥‥


「なら、これじゃあどうだ? と、触れるだけの優しいキスをする。えっ? 何か見えるこれは宇宙! すると身体が楽になる。私はむくっと起き上がる。

「すごい! 身体が軽い!」

「それは良かった」

とあの悪戯っ子の顔をする。その顔を見てどきっとする、もう無理だから‥‥‥。


私は立ち上がり、アキラに言う

「着替えて準備しないといけないわね」


「そうだな」

とアキラも言う。


 時計見ると10時を過ぎていた。起きてからこんなに時間が過ぎていたなんて、


「モーニングって言うより、ランチになるわね」

そう言う私の言葉に、アキラも時計を見て驚く。


「ほんとだ。もうこんなに時間が経っていたんだな。あゆみと居ると時間が早く感じるよ。それだけ充実しているって事だよな」


それから二人で顔を洗って着替えをする。鏡の中の自分の顔を見る。まだ目は腫れぼったいな。アイラインで誤魔化そう。アキラは洗濯をしてくれている。その間、私は化粧をする。洗濯機が回っている間アキラは私が化粧をしている姿を、椅子の背もたれを抱えるように座ってその様子を横で見ている。私はそんなに見つめるアキラに聞いてみる。


「面白い?」


「うん! すっぴんのあゆみも大好きだけど、そうやって化粧をして変わっていく姿も面白いし好きだよ」

そう言って笑う。


私の髪って黒いけれど、アキラは元々茶髪で癖っ毛なのよね。初めて見た時はチャラいって思った。‥‥‥ちょっと聞いてみようかな。


「ねえ? アキラってモテたでしょう?」

「なんだ? 気になるのか?」

「だって、アキラってハーフっぽい顔してて、そのーイケメンだもの」


「嬉しい事言ってくれるなあ。今じゃあ、おまえにぞっこんだよ。こんな髪と顔だからそこそこはな、だが真剣に付き合った相手はいないさ。見た目だけで俺に近寄って来る相手ばかりで、軽く付き合ってすぐ別れたよ。それに俺はおまえと同じで色々見えるだろう? だから、相手もその内見えるようになって怖がられて別れた事もある」


「あゆみはそんなにスタイルいいし可愛いのに、告白とかされなかったのか? その方が俺は驚きなんだが」


「私って色々見えるから、周りが怖がって近寄らないの」


「違うな」

アキラは真剣な表情になる。


「おまえは守ってもらっていたのさ。大切に『守ってもらっていた』感じないか? おまえと逢ってから俺はこの地球の自然から祝福を受けている。あゆみもそうじゃないか? 前より色々見なくなったはすだ。違うか?」


「そういえばそうね。色々ごちゃごちゃ見えていたのが、ここ最近は怖いものは見なくなったわね」


「その怖いもの。そうだな、この日本で言う神と呼ばれるものさ。この前みたいに可愛い狐だって恐ろしい化け物みたく見えていたのだろう」


「そうなんだ。今も側にいるのよ」


「そうだな。そうやって座っていると足元で擦り寄っている。まるで子犬だな」


 アキラは目を細めて、嬉しそうにしている。準備は終わったので一緒にマスターの所へ行く。私の変わりにマスターの奥さんがお店にいた。


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