第4話 不審な事故

当日、いつものカフェにいた。時間になった。アキラがテレポートで会議室へ移動する。


そこには、沢山のモニターが並んでいた、画面の向こう側から騒つく声がする。


「スターチルドレンの皆。俺はアキラだ。転生前は、リーキャスと名乗っていた」


 画面越しにでもわかる位に騒ついた。アメリカのスターチルドレンの代表が、

「久しぶりだな。リー! その様子だとティアーヌはそっち、日本人に転生したか」


「そうだ。残念だな、お前に渡さんよ」


「大丈夫だよ。俺にも彼女がいるからな」


「ちょっと待ってよ。今そんな話しする為に来た訳ではないでしょう?」

アフリカ代表のスターチルドレンが割って入って来た。


「あなた達が仲が悪かった事は知ってるけど、現世にまで引きずらないでくれる」


全くだ、中継を聞いている者全員が頷く。


「で、他の惑星にいたスターチルドレンはいるのかしら?」


イギリスの画面から、

「私は、あなた達とは違う惑星の住人だった。あなた達が敵と呼んでいる者達に滅ぼされた‥‥‥現世でもまた狙わているなんて許せるか?」


「リーキャス、君の存在は有難い。君の力は私達の星でも有名だった。今、その力は押さえているのかな?」


 誰もがアキラをリーキャスであると認めていた。アキラの後ろにはリーキャスの姿が見えている。


「そうだ。今バレては困る、もう俺の弱点は解っているからな。だが、今度はさせない!」


他に画面から、声がかかる。


「今、あちこちで怪事件が起きている。デモやテロはその一部に過ぎない」


アキラがそれに答える、


「だから、俺達が皆の力を合わせて奴等の計画を潰すんだ。俺達が転生した理由だ。この地球を守る同じ様にはさせない!」


僅かだ、アキラが力を開放した。それは、全員が感じただろう。凄い‥‥‥何? 痺れたようになった。私はその場に座り込む。他の人も同じだった。


「まずは、自分達の国で起きている事件について解決して行こう。各国の首脳の皆さん、我々はこの地球を守る為に盾となります。影ながらお力をお借りしたい。俺達の存在を理解してくれるだけでいい、それだけで俺達は動きやすくなる」


 会議室の出席者の代表はYESのカードを挙げた。


「これから、奴等の動きも表だってくるとメッセージを受けた」

ロシアのスターチルドレンの代表が言う、


「それでは、各国のチームの健闘を祈る」


 アキラはそう言ってテレポートで帰って来た。マスターは、


「いやーありがとう! 流石隊長だ! 誰もがリーキャスの存在に力をもらったよ」


 そう。英雄リーキャス、アキラは前世でそう呼ばれていた。私の愛する恋人で婚約者だ。アキラは戻るとすぐに私を抱きしめる。震えてる? 二度と失いたくない。そう言っているようだった。



会議があった日から一か月が過ぎた。


 仕事の帰り道、何かに服を引っ張られ足を止めた。その瞬間、車が勢いよく目の前を走り去り電柱にぶつかった。私は慌てて車に近寄り運転席を見た。若い男性が頭から血を流し気を失っている。私は、救急車を呼び彼が救急車に搬送されるまでその場にいた。外傷は対した事はないらしい良かったと胸をなで降ろすが、あの時足を止めていなかったらと思うと恐ろしい。


その事を夕食を食べながら話しをするとアキラは急に箸を止め、私を後ろから抱き寄せる。足元を見ると小さな狐がいるのが見えた。


「ありがとう、君が助けてくれたんだね」

アキラが狐に向かって言う。そうか、あの時この子が助けてくれたのね。


「ありがとう」

 狐にお礼を言った。すると尻尾を振った後姿が消える。


「アキラ、ごはん冷めちゃうよ。それに、ちょっと苦しいかな?」


「ゴメン、力入れ過ぎだよな。悪かった」


 と腕を外し食事を続けた。


その夜は、いつにも増して激しく愛された。ちょっとぐったりする私の髪をそっとかき分け耳にかける。肘をついて横になっているアキラは、


「あゆみ、お前はこの地球の生き物にも愛されているんだな」


そんなアキラに、

「私もこの地球の自然が大好きよ。花も虫もこの空だって、雨あがりの虹はとても素敵よ」


そう言って笑顔で返す。すると、声のトーンが下がり、

「あー今夜は悪かった。つい気持ちが煽って余裕がなかった」


「もういいわ‥‥‥アキラはこういうの、慣れてるの?」


ちょっと恥ずかしいけど、聞いてみた。


「なんだ? 焼きもちか?」

 嬉しそうに言う、


「まあ、一通り男なんで、25過ぎてチェリーはないだろう。それなりだよ。でも、こんなに心が繋がれているって感じは無かったな凄く幸せな気分になる。こんな事は今まで無かったよ。なんだ、その、前世を除けば、だが」


「そうなんだ」

布団を被った。自分で言って恥ずかしくなる。


「おまえの色々は俺だけが知っていればいい、背中のほくろの位置とか他の奴には見せたくない」


 何か艶っぽくそう言われると、今更ながらドキドキする。


「アキラの馬鹿、意地悪、ずるいわよ!」

枕をアキラにポンポンとぶつける。


「わかった、わかった。そんなに元気ならこの後もまだ俺の相手出来るよな?」


「もう! ほんとに意地悪なんだから!」


 明日は、いつものカフェに集合する日だ。休みで良かった。朝は少しゆっくり余計に寝ていられる。


カフェに集まりそれぞれに気づいた事などを話した。勿論あの事故の話しも、


「そうか、あゆみもそんな目に遭ったんだ」


 太陽が唸ると、智子も、

「私達も危なかったわよね。工事現場には近寄らない方がいいわ。危うく鉄骨の下敷きになる所だったもの」


うん? 私達? その場にいた全員が智子と太陽を見る。すると太陽が


「実は、俺達付き合い始めたんだ」


と言う。聞いてないわよ智子。親友の私に何故報告がないのかしら? じーっと智子を見つめる


「ほんと、最近なんだよ。まだ、一週間も経ってないよ」


 智子が顔を赤くする。まあいいわ智子が幸せなら、そして、マスターに向かって太陽が、

「これで、マスターだけ、ぼっちかな?」


と言うとマスターは手袋を外して左手を見せれる。薬指にリングが光っている。


「悪いな。俺は既婚者だよ、子供もいる。10代の時に結婚したんだ」


 知らなかった全員が叫ぶ。

「えー!」


 そこから親ばかの子供自慢に付き合う。全員が幸せならいいよね、前世ではお互い大変な思いをしたのだから。報告会は終わった、他の国についてはまだ報告が来てないらしい。


「おかしい、あいつが何も言って来ない。あの性格だぞ、何も言って来ない訳がない」

アキラが言う、


「あいつって?」


 私は聞いてみる、


「アメリカ代表でいただろう。ローランだ。あのローランだぞ! 今だに俺にも連絡がないなんて考えられん」


そうだった。いつもリーと競いあった仲だ。はた目では仲が悪そうに見えていたが、実は仲良しなのだ。


「マスター、大臣に会いたい。何とかなるか?」


「わかった。連絡してみよう」

 例のスマホで連絡している。しばらくすると、


「後1時間後なら少し時間がとれるらしい」


「ありがとう、マスター。俺だけ行って確認してくるよ」


スマホが鳴った。アキラが消える。次にアキラが戻ると表情は険しくなっていた。

「ローランは事故に遭って入院中だ。命に問題はないが重傷だ。ローランの連絡先は聞いてきた。直接俺が聞く」

「待って電波に乗せるのは危険だわ」

 智子が言う、


「テレパシーで私が聞いてみる。直接聞いた方が安全だわ」

「なら、俺が飛ぶ、もう俺の存在はバレている。なら問題はない」


智子が心配そうに言う、

「アメリカよ」

「問題ない。智子、俺が行くとローランに伝えてくれ」


「わかった」

「……今よ」

 アキラの姿が消える。


そしてアキラはアメリカに来た。目の前には痛々しいローランの姿があった。


テレパシーでローランと話す。

“何があった”

“逆走したトラックと衝突したんだ、情けない”

“ローラン治癒をかける。痛みはこれで楽になるはずだ。傷も早く治る”


「今度ティアに合わせてやる。本当は彼女なんかいないだろう」

 ローランはふっと微かに笑って、そのまま眠った。


アキラが戻る。

「もう、こうなると予知が出来る者か、加護持ちしか残っていないかも知れない。智子俺の声えを乗せて投げらるか?」


「やってみる」

“危険が迫っている。予知が出来る者、加護持ちの近くに集まってくれ! 今は自分達の身の安全を確保してくれ! 原因は俺達が突き止める”


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