第2話 巡り合い
「さあ、時間だ行こうか」
そうマスターが言うと一瞬で景色が変わる。何処かのドアの前に立っていた。これって、テレポート? マスターがドアをノックする。
「どうぞ」
中から声がするドアを開け皆で入る。そこには防衛大臣がいた。
「時間通りだね。君達と会って話す事は誰も知らない、この時間はプライベートの時間だ。誰にも入って来ないように言ってある」
太陽が何かに気づき部屋の中にある植木に近寄る、中から盗聴器が出てきた。マスターはそれをテレポートで何処かへ飛ばした。それを見ていた大臣は
「気をつけていたのだが‥‥‥いつからそこにあったのだろう?」
「昨日ですね」
とマスターは言う。
「そうか、ならば大切な事は聞かれていないと思っていいのかな」
「大臣が誰かと会った。という事は知られてしまいましたが。誰か、までは特定出来てはいないはずです」
「速水くん。その人達が君の言っていた能力者かね」
「はい! そうです」
「本当に地球は狙われているのだな」
大きなため息交じりの声で言う。
「‥‥‥‥‥‥」
大臣は唖然とする。
「奴らは地球人を滅ぼそうとしている、奴らの狙いは多分この地球の資源です。だから、人間は邪魔なのです」
大臣は頭を抱えて、
「これは、私だけでは……あまりにも重い案件だ。対応するには難しい」
そこで、アキラが前に出て話す。
「総理に合わせて下さい。問題は国際関係にも影響してきます。日本だけの問題ではない」
「‥‥‥‥‥‥」
大臣は唖然とする。
「俺達は、前世で同じ星の住人だった。俺達の様な者は他の国にもいる。他の星の住人だった人達とも会ってみたい。同じように宇宙エネルギーを感じたり聞いたりした人達と協力してこの地球を守りたいのです」
「公には出来ない話しだ。が、何とかしてみよう。もう少し時間をくれないか」
大臣はそう言った。
大臣にマスターは
「まずは、国内での自分達の処遇や警察にも分かるような証明が欲しい。事件を起こすたびに、あなたの名前を出す訳にはいかないし信じてもらえない、何より面倒なので」
「わかった何とかしよう。特殊任務と言う事で分かるように警視庁とも相談をする。そちらはすぐにでも何とか出来るだろう。用意が出来次第、渡そう」
ほっとするマスター。
「これで、やっと動く事が出来ます」
大臣が聞いた、
「所で君達を何と呼んだらいいのかな」
マスターは、少し考えた後、
「そうですね。リーキャス部隊“R”とでも呼んで下さい」
アキラがそれに反応して、
「その名前恥ずかしいよ。もう、今は隊長じゃないのだし」
急に慌てる始める。それを見た大臣は身を乗り出し、
「君は部隊を率いていたのか」
「昔の話しです。今は一般のサラリーマンですよ」
アキラは笑顔で答える。間を開けずにマスターは、
「いやいや、優秀な総隊長でしたよ。力も強いどんな超能力も使いこなしてましたよ。ただ、弱点がね」
一斉に皆が私を見る。皆が大きなため息を吐く。何? 私がどうしたの? 大臣も見る。マスターは、
「あんな想いは二度とゴメンだ。だからアキラ、あゆみちゃんをしっかり守るんだよ」
「当たり前だ!」
アキラは握り拳を強く握って答える。
「大臣。貴重なお時間を取らせてもらってありがとうございます。電話も盗聴されている可能性もあるので、もう一つスマホを持って来ました。これで、連絡して下さい」
とマスターがスマホを渡す。では、と私達はマスターのテレポートでカフェまで飛んだ。
「これで後は連絡を待つだけだ。ありがとう皆、君達が居た事で説得力が違ったからね。大臣は直ぐ動いてくれる。だからそれまでゆっくりしててよ」
それからしばらく皆と前世の話しをした。私と智子はティアーヌ、サーシャと言い、姫であった事。太陽は近衛隊長でセナ、アキラは大きな部隊の隊長、総指揮を任されていた。リーキャス、英雄と言われていた。私の婚約者だった。
私には皆の後ろには前世の姿が見えている、アキラの後ろには愛しいリーの姿が見えている。
ひとしきり話をしていると、外はもう暗くなっていた。
「それじゃあ、帰ろうか」
と皆と別れ帰る途中、アキラに呼び止められた。
「あゆみ、一緒に帰ろう。駅同じだろう?」
手を差し伸べられ手を繋ぐ、何だろう?
気持ちが落ち着く、気が付くとアキラの住むマンションに着いた。
「その~良かったら、俺の部屋に寄っていかないか?」
そう言われて頷いた。部屋に入るとシンプルな部屋にはあまり生活感がない、
「仕事が忙しくて、ここには殆ど寝る為に帰ってるって感じかな社畜と呼んでくれ」
ニコッと悪戯っぽく笑った。
「夕飯作るわ。キッチン借りてもいい?」
と冷蔵庫の中を見てメニューを考える、食事の準備が出来た。
「凄いな。あれだけの材料でこんな料理が出来るなんて。いつも殆ど外食が多いから手料理なんて久しぶりだ」
「喜んでもらえて良かった。食べましょう」
「ふーう、食ったあ、ご馳走様でした! 美味かったー」
満足そうなアキラを見ているとこちらまで嬉しくなってくる。洗い物を終わる頃には21時を回っていた。
「もうこんな時間、遅くなるから帰るわね。明日お仕事なんでしょう?」
帰ろうと鞄を持つと、アキラはその手を掴み、
「帰したくない、ここにいて欲しい」
後ろから抱きしめられ、
「おまえと離れたくないんだ」
耳元で言われる。
何て切ない声。私も本当は同じ気持ち離れたくない
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