第9話
「先生、僕嫌だ、この塾がいいんだ。先生じゃなきゃ勉強なんてしない。」
「こうくん、お母さんからのお願いで、もうこの塾には来れないんだよ。」
「やだよー、僕そんなに勉強出来ないし、厳しい先生だったら、何も聞こえなくなるんだ。成績だって、今より凄く悪くなるし。」
「お母さんに、もう一度言ってみるけど、こうくんは今日で最後なんだよ。」
「分かった、僕からママに言うから!ママなんか嫌いだ。先生大丈夫、僕はママには、従わない。」
「ありがとう、こうくん。また、来週来れたらいいね!こうくんは、努力家だから、まだまだ伸びるよ!」
「うん、わかってる!ママの事は、任せて!」
こうくんは、少し太ってて、大柄だ、でも、心がとても優しい。
お母さんが、わがままに育ててしまったが、見栄張りなので良い高校に入れたいが、こうくんの頭がついていかない。
喫茶店で問い詰められたのも、こうくんのお母さんだ。
毎年1人ぐらいは、こんな母親はいるんだけど…。
こうくんが、可愛そうだ。
次の週、こうくんは塾に嬉しそうに訪れた。
「こうくん、良かったな!」
「うん、また先生よろしくね!ママが、高校は何処でもいいって、友達と一緒がいいんでしょって言ってくれたんだ。」
「本当に?先生お母さんに後で電話してみていい?」
「構わないよ、でも、ちょっと転んで今、足を骨折したから会えないけど。」
「えー、大変だったね。今日電話してみるね。」
こうくんは、プリントをやり始めようと、シャープペンの芯をカチカチと出した。
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