第6話

先生は顔をあげ酷く驚いていた。

「きっ、君か?喫茶店の?」

「華音(かのん)って言います。あの…お名前は…聞いてもいいんでしょうか?」

「本宮寛治(もとみやかんじ)だ。」

知っている、名前も声も全部知ってますと言いたかった。でも、まだ言わなかった。

先生はいつも、寛治なんてジジイくさいよなっていつも、口癖だった。

「飲みに行くっても、お酒飲まないんだよ。」

「じゃあ、私のバイト先行きません?」

「ここじゃないのか?」

「うん、もう一つしてるんだ。」

私は、服を摘んで引っ張った。先生は慌てて私の後を着いて来た。

「ふた駅先なの」

僕と先生はタクシーに乗った。「秋葉原の駅の近くで」

無言で外を見てたけど、ずっと手を繋いでた。

駅から、僕のメイド喫茶まで二人で歩いた。

やっと、先生と並んで歩けたことに僕は嬉しくて涙が流てきた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る