ヴィクトリア朝に潜む獣
本作の世界観は19世紀イギリス、ヴィクトリア朝をモチーフにしている。産業革命による技術の進歩、学問の発展と華やかな装飾。
一見、ヴィクトリア朝と獣は似合わないように思える。十九世紀のロンドンで獣に襲われる恐怖を味わうことは無かっただろう。しかし、興味をもってヴィクトリア朝について調べてみたところ、ヴィクトリア朝こそ本作の舞台にふさわしいと感じた。
ヴィクトリア朝は必ずしも明るいことばかりではない。技術の恩恵を全ての人がウケれたわけでは無かった。技術の革新は過酷な労働を生み、大きな貧富の差も生んだ。非人道的な行為が横行し、人権とかいう概念はゴミ箱に捨てている。川は汚いし、人はすぐ死ぬし、倫理観も壊れてるし。
筆者がヴィクトリア朝に転生したら三日ももたずに死ぬだろう。それくらい過酷だ。
どんなチートスキルがあっても死ぬ。異世界転生ハードモードだ。
人間の生活を豊かにするはずだった技術が、人間らしい生き方を奪う。ヴィクトリア朝はそんな時代でもあった。
ヴィクトリア朝に潜む獣とは、すなわち人間である。
ブラッドボーンの癒しキャラであるウィレーム先生は言った。
「我ら血によって人となり、人を超え、また人を失う」
この血というのは技術に言い換えてもいい。技術は大きく人間の有り様を変えた。その例はあげるまでもないだろう。
人間とは何か、を語る上でこの時代はふさわしい。
自分は人か、獣か。この作品のテーマの一つだ。
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