第10話 二次試験までの間
二次試験まで三週間準備期間が与えられた。
一次試験がルックスと体力、そしてポテンシャルを測る目的なら、二次試験は二日間の合宿で女子プロレスラーとしてやっていけるのかどうか、適性を見られるのだとか。
準備期間はやはり基礎体力つけること、基本的な受け身を覚えること、そしてスガハラエンタープライズの提携先である村内ボクシングジムへ通って基本的な打撃のレッスンを一次合格者全員が受けることを義務付けられた。
私も毎日村内ジムに通って、汗を流した。
あれほど嫌がっていたクセになぜ私は二次試験を受けることにしたかって?
うーん、だって、お父さんのような潜在能力だって言われたら、ちょっとその気になったっていうか。
ここで逃げ出したら、ビースティー冬城の名が廃るというものよ?
源田さんについて、アシュラさんに聞いてみたんだけど、やはり源田さんは帝国プロレスでは実力人気ともにトップクラスの
それから少し気になることを言っていた。
「お嬢さん、源田の奴、お嬢さんを『待ち伏せしていた』って言っていたんですよね? 何か匂うな」
「どういうこと? 私を利用して何をしようっていうの?」
「うーん、これは俺の邪推ですが、帝国プロレスへの源田なりの復讐……なのではないかと思えるんです」
「源田さんが?」
「ええ、源田は
「えっ、源田さんが?」
「それで社長に完膚なきまでにやられて、ジャッキーは源田をクビにしたんです」
「そんなことが……」
「人づてに聞いたのですが、源田は社長からプロ東への入門を何度も誘われていたようですが、すべて断っていたそうです。それで結局奴は廃業することに」
「なんでそこで私が登場してこなきゃならないのかしら? どうやった復讐になるの?」
「いやあ、俺頭悪くてすみません。単なる直観というかそんな気がするだけなものですから」
私は、父が源田さんを評価していた、ということに興味を持った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
村内ジムでのレッスンが始まって4日目が終わった日の帰り、悠馬君が車で迎えに来てくれていた。
「悠馬君、ありがとう。今日は練習超ハードでさ。もうクタクタで電車に乗って帰る気力がなかったから助かったよ」
「お嬢さん、ちょっと人には言えない話があったものですから」
人に言えない話? 悠馬君がそんなこと珍しい。
「お嬢さんが今受けようとしているオーディション、即刻辞めるべきです。このままだと、お嬢さんは……」
ちょ、ちょっと!
せっかく私も気分が乗ってきたのに、なんでそんなことを言うの?
悠馬君のバカ!
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