【雑記】一 エールンドレの天文学
最近、古代オリエントの天文学史の本を読み始めて気が付きました。そのことをエーレンドレの天文学に加味します。
古代オリエントの天文学には、古代エジプトと古代メソポタミアの二大体系が有りました。ところが現代に受け継がれているのは、古代メソポタミアの体系だけです。現代普及している西洋天文学、もとい占星術は古代ギリシャ系のものです。古代ギリシャの占星術の起源は、古代メソポタミアに有ります。古代ペルシャの天文・占星術もギリシャに酷似しています。それは起源が同じ古代メソポタミアだからでしょう。
一方、古代エジプトの天文学はシリウスの観測などにより、ナイル河の増水期を見積もることに有りました。そこから正確な暦を作り上げたのです。技術的にメソポタミアに劣っていた訳ではありません。天体の普遍的な動きを観測することを重視し、彗星など不規則な動きに注意してなかったようです。要するに占星術が無かったのです。
占星術の有無が、古代エジプトと古代メソポタミアの天文学の命運を分けたのでしょう。現代人の視点から見れば、古代エジプトの方が合理的かもしれません。
占星術の有無の差は、なぜ生まれたのでしょうか?
恐らく、エジプトとメソポタミア社会の安定度の違いから産まれたのでしょう。
エジプトの地形は三方を砂漠に囲まれ、東側はスエズ地峡に護られています。要するに外敵の脅威が低かったのです。ナイル河が例年通り増水して肥沃な土を齎してくれれば、国は安泰でした。だから、星の動きで吉凶を占う必要は無かったのでしょう。
それに比べると、メソポタミアは四方八方から外敵の脅威に晒されています。その上、チグリス・ユーフラテス河の氾濫は不安定です。下流域では塩害に見舞われるようにもなりました。様々な不安定要因のある地域で、星の動きに吉凶を託すのは自然な心理でしょう。
以上、ここまでは筆者の思い付きです。読者はくれぐれも真に受けないで下さい。疑問に思ったら、自分でお調べください。
次に、古代エジプトと古代メソポタミアの例をエールンドレに当て嵌めてみましょう。
古代ペルシャの天文学の起源はメソポタミアです。エールンドレもメソポタミア系の占星術を使っていることでしょう。少なくとも、それを前提に設定してきました。
ところが、ハルボルズの天険に護られたエールンドレの自然環境と対外環境は、古代メソポタミアよりも古代エジプトに似ています。天候は穏やかで、外敵の脅威も無いのです。
そうなると、エールンドレでは危機意識が乏しくなるでしょう。そうなれば、占星術に対する依存度も下がることでしょう。占星術は知ってても、あまり重視されていないかもしれません。
神官や官職の項目で、国王の側近として占星術師を挙げました。その社会的地位も低くなるかもしれません。
聡明な占星術師が、重大な凶兆を察知しても、誰も聞く耳を持たない可能性は高いです。
以上の点をエールンドレの設定に一つ加えて見ました。これを採用するかどうかは読者の自由です。
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