第15話【架空国家】エールンドレを現代世界に移植してみる。
異世界ファンタジーという枠組だけで物事を考えていました。しかし、少し考えてみると、現代物の小説やRPG、アニメに登場する架空の小国としても、使えそうなことに気が付きました。
【エールンドレは地球上の何処に存在するのか?】
エールンドレの面積は1962.5㎢です。丁度、大阪府以上東京都未満の面積です。人口は約一万五千人に過ぎません。その十倍の十五万人いたとしても微力な小国です。ハルボルズの天険を頼みにしても、完全な独立は難しいでしょう。
長らく未発見のまま独立を保てたとしても、十九世紀の植民地分割競争の頃には発見されてしまうでしょう。エールンドレを保護国としながら、寛容に放置してくれそうな国は何処でしょうか?
エールンドレは、コーカサス或いは中央アジアに位置するイラン系国家をイメージして設定されております。そこで幾つかの想定を以下に示してみます。
【ロシア】
帝政ロシアの間は、エールンドレの王を帝国の貴族に列して内政の独立を保障してくれそうです。帝国アカデミーの言語学者、人類学者、歴史学者、考古学者、宗教学者、その他自然科学者にとっては、学術調査研究の宝庫に成るでしょう。エールンドレの実態はロシア語で世界に発表されるに違いありません。
無文字社会のエールンドレではロシア語が公用化されるでしょう。ロシア語の文書が帝国政府との間で往来します。またエールンドレの言語をキリル文字で表記するかもしれません。
しかし、ロシア革命が勃発してソヴィエト連邦に呑みこまれたら、エールンドレの伝統的社会は終焉を迎えるでしょう。王制は廃止され、古き伝統は全て打ち壊されてしまうでしょう。辺疆の少数民族がすむだけの詰まらない谷間に落ちぶれてしまうでしょう。
もしも、革命の混乱に乗じてロシアの頸木を脱することも出来るかもしれません。近隣の国の保護を受け、ロシア文化の影響を受けたエールンドレ社会が存続出来るかもしれません。
【中国】
清朝に内属した場合、理藩院管轄の下、大清皇帝からジャサクを与えられ独立を保てるでしょう。民国期に入ると、改土帰流で独立を失うかもしれません。独立したまま人民共和国の時代を迎えられるかもしれません。しかし、六十年代くらいまでにチベットと同じ命運を迎えるに違いありません。新疆維吾爾自治区欸崙谷民族自治県になって漢化が進むことでしょう。恐らくタジク族の一種に分類されるでしょう。今頃は欧米に亡命した王族たちがエールンドレ人権運動の旗頭に成ってるかもしれません。ロシアの頸木の下よりも、状況は厳しいでしょう。
【トルコとイラン】
オスマン帝国とかパフラヴィー朝の間は、保護国として独立を保てるでしょう。その間にロシアの支配下を受けるかもしれません。
トルコ共和国の時代に成ると、エールンドレもクルド人の様な扱いを受けるかも知れません。イランの場合、革命後はどうなるか判りませんが、ヤズドのゾロアスター教徒の様に存続できるかもしれません。
何れにせよ、ロシアや中国よりは伝統が保たれるでしょう。
【インド】
十九世紀に英国の探検隊に発見され、英領インド政庁の保護下に入ります。ヒンドゥーでも、ムスリムでもないので、パルシーと同様に優遇される可能性が高いです。
無文字社会のエールンドレは英語を公用語として受け入れるでしょう。アーマルガールは英語の読み書きを覚え、ガバメント・オフィシャルと名乗るかもしれません。多くの住民はエールンドレ語を話して、古くからの信仰を守るでしょう。
インド独立後も、その保護下でエールンドレは独立を保てそうです。インドのタタ財閥が同胞と看做して色々と援助してくれるかもしれません。
最も適度に放置してくれるのはインドじゃないでしょうか?
インドの下でなら、英語を受容する以外、殆ど伝統的社会は保たれるでしょう。しかし、位置はヒマラヤだろうから、常に侵略の危機に怯えてるかもしれません。
【現代社会での変更点】
エールンドレを現代社会に移植する場合、宗教観や価値観、風俗習慣は殆ど変わらないでしょう。しかし、神話が大きく変わります。サルマルド建国紀の様な神話は残るかもしれませんが、次の点が加わります。エールンドレの民は、ムスリムに追われたサーサーン朝の末裔に成ります。言語的には異なりますが、ソグド人の末裔と言う設定も有り得るでしょう。外から来るムスリム勢力には警戒するでしょう。
エールンドレが西洋と接触すると、キリスト教の宣教師が侵入を試みることは想像に難くありません。これが古い時代、ネストリウス派の分派なら、伝統宗教と上手く習合して喰いこめるかもしれません。マニ教も同様です。どちらも拒絶される可能性もあります。近代の欧米の宣教師だと、布教活動を始めるや否や伝統社会と緊張状態に陥るかもしれません。
【グローバリゼーション】
エールンドレは、ブータンよりも遥かに小さい国です。世界との接点をブータンのタイムテーブルを参考に考案していきます。
ブータンは一九七一年に国連加盟しました。その国際化は、第四代ジグミ・シンゲ・ワンチュク王から始まります。その即位は一九七四年です。英国留学経験があるそうです。エールンドレの王に留学経験とか無ければ、国際化はブータンよりも遅れるかも知れません。
一九八六年に日本と国交樹立し、一九八九年には訪日して大喪の礼に参列しています。
一九九九年に漸く国内のテレビ放送とインターネットが開設されます。
二〇〇六年、譲位により第五代ジグミ・ケサル・ナムゲル・ワンチュクが即位します。二〇一一年に国賓として来日します。
以上の事績を参考にして、日本とエールンドレの交流史を描いてみると好いでしょう。日本人が架空の小国エールンドレを扱う場合、やはり日本との接点をモチーフにした方が描き易い筈です。
直接、エールンドレを舞台にしなくても、エールンドレのお姫様が日本の高校に留学するのも面白いでしょう。ハードなサスペンスから、お花畑なラブコメまで色々な可能性が想定できるでしょう。
【エールンドレ王国の近代化――産業】
日本では、エールンドレ王国という名称で呼ばれるでしょう。エールンドレは、自然環境の面でも、伝統文化の面でも、世界遺産級の社会です。出来る限り、俗悪な近代文明に侵されない様な形で、エールンドレの近代化を描いてみます。
エールンドレの近代化に当たり、まず最初に起こる問題は交通路です。険峻なハルボルズ山脈に囲まれたエールンドレの交通路は一本しかありません。洞窟街道ラーフェ・スーラーフです。全長4㎞で、幅と高さが3mほどです。大型バスや大型トラックは通れません。漸く乗用車や小型トラックが通れる程度です。対面通行が出来ません。その上、エールンドレの外側ビールーンには細い九十九折れの未舗装道が有るだけです。車は通れません。通れるのは、せいぜいオフロードのバイクくらいでしょう。
その上、洞窟街道ラーフェ・スーラーフは、恐らく世界最古の隧道かもしれません。その価値は世界遺産級です。排ガスまみれになるなど言語道断です。
ここで、洞窟街道ラーフェ・スーラーフに並行する自動車用トンネルの建築費を試算してみましょう。そのトンネルまで伸びるビールーン側の道は考慮から外しましょう。エールンドレの国境外の問題だからです。隣国が負担して造ってくれることにしましょう。
片側一車線の対向トンネルを掘削・整備する場合を試算してみます。トンネル1m当たりの工費は300万円です。これを4000で掛けると、費用は120億円です。実に、エールンドレのGDPの十倍もあります。このトンネルの開通により、エーレンドレの経済が飛躍的に成長しても、建設費の償還は困難でしょう。
次に、空港建設費を試算してみます。滑走路の建設費用を幹線道路の例で類推してみます。幹線道路の設費を1㎞10億円として、3㎞の滑走路建設費用は30億円になります。トンネルよりは安いですが、エールンドレに建設重機を運ぶのも至難の技です。レシプロ機用の未舗装滑走路やヘリポート建設するのが、せいぜいでしょう。
取りあえず、エールンドレには、電話も電気もガスも水道も無く、車も全く走ってない社会で居て貰いましょう。しかし、そんな牧歌的な社会に憧れる観光客は少なくないかもしれません。
ダグラスDC-3みたいなレシプロ旅客機が運べる乗客数は二、三十名です。往復すれば、一日に百人以上の観光客が往来できるでしょう。毎日百人、年間で延べ三六五〇〇人の観光客に来て貰えます。彼らが一日百ドルほどの外貨を落としてくれれば、年365万ドルが入ってきます。エールンドレのGDPが900万ドルなので途轍もない額に成ります。GDPを四割も押し上げる効果が有ります。一人当たりのGDPも、600ドルから840ドルに上昇します。
もしも、観光客が十倍になれば、年3650万ドルになります。従来のGDP900万ドルの四倍の額に成ります。十倍の観光客、毎日千人に訪れて貰うには、大きな幹線トンネルの開通が必須でしょう。そこまで観光産業が発展すれば、トンネル建設費を償還できるかもしれません。
そうなると、エールンドレの開発も一気に進んで、電気やガス、水道なども通るかもしれません。でも、古き善きエールンドレは無くなってしまうでしょう。
【エールンドレ王国の近代化――教育】
近代化が先か、教育が先か、難しい所ですが、教育は近代化に必須です。英語が公用語になっても、英語を使えるのは頭の善い階層だけです。神官アースローンや計吏アーマールガルに成れるような人だけです。多くの国民は置いてきぼりになるでしょう。やはり、エールンドレ語の文字化は欠かせません。
無文字言語を文字化するのは容易なことです。しかし、それを国語化して定着させるのは、簡単なようで、実は難しいことなのです。日本語だって、漢文から漢字を使って日本語を書く様になるまで、長いタイムラグがありました。前世紀まで無文字だった言語が成熟するには、更に長い年月が掛かるでしょう。早くて百年くらいじゃないでしょうか?
かと言って、エールンドレ人が固有の母語を忘れて英語化しても、詰まらない民族になるだけです。ヒンディー語、ロシア語、漢語でも、似たようなもんでしょう。しかし、ペルシャ語だったら、馴染みやすいかもしれません。言語的に方言差しかありません。
国語化の問題はさておいて、教育制度について考えてみましょう。エールンドレの人口一五〇〇〇を五〇で割ってみましょう。すると、一歳から五十歳まで、各年齢毎に三〇〇人いる計算になります。つまり、小学生相当の児童一八〇〇人、中学生と高校生が九〇〇人づつになります。
ロードバール平原の郷村は、遠い所でも、首都ペイテフトから12㎞圏内にあります。首都一校だけだと、通学に片道三時間、往復六時間かかります。そういう途上国の話も聞きますが、小学生の子供には緊いでしょう。
エールンドレの郷村は七つの地区パーイゴースに分かれています。それぞれのパーイゴースの中心点から、最も遠い所で6㎞圏内に成ります。パーイゴース毎に小学校を設置すれば、片道一時間半で通学できます。遠いと雖も、現実的な通学時間でしょう。
其々の小学校は定員二六〇名強で、各学年が四〇名強になります。一学年一クラスで、其々に担任を一人づつ置ければ理想です。エールンドレ全体で小学校の教員四十二名は必要になります。これだけの人材を確保できれば、エールンドレの教育水準は飛躍的に向上するでしょう。
エールンドレ水準の国で、中等・高等教育が義務化できるかどうか怪しい所です。国全体で中高一貫校一校運営するのが、やっとだと思います。恐らく、中学生や高校生はエリートに成るかもしれません。遠い所に住んでる学生は寄宿舎で生活するでしょう。成績上位者、或いは富裕層の子弟だけが進学するのでしょう。
それ以上の進学に成ると、英語などを学んで他国に留学することになるのでしょう。益々狭き門に成ります。
【エールンドレ王国の近代化――軍隊】
近代以前のエールンドレの兵力は、騎士60騎、歩兵53名、民兵210名です。近代化されても、規模は大差ないでしょう。
エールンドレの国力では、空軍を整備することは出来ず、陸軍も戦車などの重装備も揃えられません。基本的に警察に毛の生えたような軍隊しかないでしょう。
軍隊の主武器は剣や槍、弓矢から、自動小銃に変更されます。騎士の機動力は重宝されるにしても、その地位は大いに低下するでしょう。火器中心になると、騎兵のアドバンテージが下がるからです。
これは軍内だけの問題ではなく、社会階級としての騎士の地位の低下にも繋がるでしょう。そうなると王家の権威も動揺します。力を付けた中か下層のアーネルザンドたちが政変を起こし、王族と貴族を追放するかもしれません。もし、国民皆兵制を導入したら、その傾向は益々強まるでしょう。その様な反抗を防ぐために、敢えて軍隊を旧態依然のままにするかもしれません。
国民皆兵制度を導入するということは、軍は徴募兵を教育するシステムを持っている訳です。それが無ければ烏合の衆を集めるだけです。
途上国の軍隊では、兵士としての教育は、一般にも役立つ技能や知識を教育することにも繋がります。教育システムがしっかりしてればの話ですが・・・。中学高校に進学できない子供たちを徴収すれば、中等教育を受けさせる機会に成るかもしれません。
エールンドレの軍隊のシステムには一つ問題が有ります。大学相当の教育機関の無い国では、何処で士官を教育するのでしょうか?
恐らく、友好関係の深い国の士官学校へ留学するのでしょう。なので、軍隊の上層部は、士官学校の国の言語に染まっているかもしれません。
エールンドレの士官希望者の中に、防衛大学校に留学する者がいても面白いかもしれません。騎士の国には、武士の国との相性が善いかもしれませんw
【エールンドレ人が来日したら?】
来日できるようなエールンドレ人は、王族や貴族などのエリートだけでしょう。都会のコンクリート・ジャングルに戸惑うかもしれませんが、やがて順応することでしょう。
エールンドレの貴族は、どこか垢抜けませんが、一方で何処となく雅で気品を漂わせています。日本人の目から見れば、世間知らずの若様や姫様が、時代劇から飛び出して来た様に見えるでしょう。
エールンドレ人は家の中では靴を脱ぎます。日本の家庭に招かれたら、誰に教えられる訳でも無く、自然に靴を脱いで家に上がります。
床の上に座ったり、布団を敷いて寝ることにも違和感を抱かないでしょう。椅子に座ることも、ベッドで寝ることも同じです。
日本の習慣とは自然に馴染むことが多いですが、箸は使い慣れてません。手で摘まんだり、スプーンを使うのが一般的です。ナイフやフォークは日本人程度にしか使いこなせません。フォーマルな席での和食や洋食は苦手でしょう。
料理を手で摘まんで食べることが屡々あるので、手を洗う習慣が身に着いています。食事の前、トイレの後にはマメに手を洗います。礼拝の前に手を洗うとは限りませんが、神社の手水舎には喜びます。エールンドレにも取り入れるべき風習だと考えるでしょう。
エールンドレ人は神社のお参りに全く抵抗が有りません。仏像には、やや違和感を抱きますが、お参りすることに抵抗な有りません。日本人には、エールンドレの神官アースローンは、神社の神主と寺院の僧侶を足して二で割った存在の様に見えます。逆に言うと、エールンドレ人の目には、神主と僧侶はアースローンが二つに分離した存在の様に見えます。
エールンドレ人は、日本人が食事の前に「いただきます」と挨拶することに、とても好感を抱きます。しかし、日常あまり礼拝をしない現代人には違和感を抱きます。むしろ、様々な場面で験を担ぐ昔気質の日本人に共感するでしょう。
アースローンは、社会への関わり方と言う点で、キリスト教の神父や牧師に似た所も有ります。しかし、エールンドレ人はキリスト教を余り好く思っていません。エールンドレでの、布教活動を快く思っていないからです。その様な干渉が無ければ、欧米人を好意的に見るでしょう。
ムスリムに対しては歴史的因縁が無い訳では無いですが、好意も敵意も有りません。エールンドレに籠ってから、細々とした接触しか無かったからです。ただ、エールンドレのアースローンの組織は、イスラームのウラマーに似ています。カトリックほどヒエラルキーが明確ではありません。アースローンの序列は、家元のウズルグパラナーン家以外は、師弟関係、学識や人望で自然に決まります。また司法職に就く点は、ウラマーに酷似しています。しかし、ウラマーは俗人であるのに対し、アースローンは聖職者であります。その点は違う所です。
エールンドレ人にとって言語とは、耳で聞き、口で話すものです。長らく無文字社会だったので、教科書で言語学習するのは苦手です。しかし、座学に於いては、講師の講義を一音一句を空で覚えます。ノートを取る替りに、頭の中に録音してしまうのです。日本語習得の際、口語の上達は驚くほど速いでしょう。しかし、平仮名片仮名の使い分けや漢字の習得は苦手です。他の言語でも、読み書きは苦手で、読書の習慣がなかなか身に着きません。
エールンドレ人は閉鎖されたド田舎でスローライフを送る民族です。日本人の様にあくせく働くことに憧れません。それは奇異に映るでしょう。エールンドレ人は時間にルーズです。その代わり他人のルーズさにも寛容です。遅刻しても悪びれません。人として真摯に謝るほどの罪だと思っていません。日本では、電車や飛行機に乗り遅れることなど日常茶飯事です。エールンドレの留学生が、登校中に困っている人を見かけたら、手を差し伸べることを優先します。人を見殺しにする罪に比べたら、授業や試験に遅刻することなど、へっちゃらなのです。
エールンドレ人には食へのタブーは余り多くありません。屠畜する際はムスリムの様なハラールの習慣を厳密に守ります。しかし、海外の生活では、自分で屠畜しない限り、厳密に守りません。日本の肉屋やスーパーで普通に食肉を買います。一般的な肉屋やスーパーで販売されている食肉は何の問題も無く食べます。
魚は食べますが、刺身は食べ慣れるまで抵抗が有るでしょう。エビやカニは、その他ヘビ状の魚については、虫や蛇でないことを納得するまで食べません。蝗の佃煮などは絶対無理でしょう。
昆虫や爬虫類は魔物フラフスタルという認識なので、食することは禁忌です。禁忌は禁忌ですが、気持ち悪いから食べないというのが本音でしょう。一方、犬や猫を食べることは、より深刻な禁忌であります。人食いと同列の罪に当たります。エールンドレで犬や猫を食う者が居たら、リンチにされて追放されるでしょう。
日本の夏場の蚊の多さには閉口するでしょう。エールンドレにも蚊は居ますが日本ほどではありません。ラーグ高原では、蚊のいない爽やかな夏を送れます。家の中に出てくるゴキブリは正に魔物フラフスタルです。
エールンドレ人は日本の防虫グッズを非常に重宝しています。特に蚊取り線香は日本土産として喜ばれます。霊験あらたかな魔除けの御香と看做されるでしょう。日本から輸出したら、飛ぶように売れるはずです。虫の出ない時期でも焚かれることでしょう。
最後にエールンドレ人の日本観を纏めてみます。
エールンドレ人から見ると、現代日本人は礼儀正しいが冷たい人間に見えるでしょう。大家族で生活するエールンドレ人には、家族親族関係が希薄で個人主義的な所は理解しがたいでしょう。日本には畏敬の念を持っていても、自分たちの目指すべきモデルとは考えないでしょう。かと言って、欧米も好みに合わないでしょう。まして中国に憧れることも有りません。海外経験のあるエールンドレ人は自国の伝統へ回帰することを望むでしょう。
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