第14話【統計】エールンドレを数値化してみる。

【エールンドレの簡易統計】


国名:エールンシャフル

首都:ペイテフト

元首:パーディフシャー

面積:1962.5㎢

人口:15,120人

人口密度:7.7人/㎢

1人当たりのGDP:$600 円換算¥86,880

GDP:$9,072,000 円換算¥1,313,625,600

財政規模:$1,814,400 円換算¥262,725,120

軍事力:騎士60騎、歩兵53名、民兵210名



【国名・首都・元首・面積】


 これらは既に言及済みなので再述しません。



【人口・人口密度】


 アーザーダーンの騎士60世帯、42の郷村毎に50世帯で、計2160世帯と計算しました。各世帯ごとは、家族と下男下女合わせ7人と設定しました。2106×7=15120人という計算になります。

 人口密度:7.7人/㎢は、現代世界で比較すると、中央アフリカ7.49/㎢に近い数値に成ります。しかし、中央アフリカと言われてもピンときません。ロシア8.82人/㎢、カザフスタン6.77人/㎢の間と想像すると好いかもしれません。

 しかし、エールンドレの人口はロードバル平原に集中しています。ロードバール平原の面積452.16㎢で計算し直すと、33.4人/㎢になります。これだとアメリカ合衆国35.77人/㎢、クルグズ32.93人/㎢でイメージすると好いでしょう。日本の場合、人口密度の最も低い北海道でも、66.47人/㎢もあります。エールンドレの人口密度は北海道の半分です。かなり閑散とした土地であるのは間違いありません。

 一箇家村は50世帯、人口350人から成ります。350÷33.4なので、一箇村は約10㎢の面積を占める訳です。その半径は1.8㎞で、村と村の間隔は3.6㎞という計算になります。水平線の手前に隣村が見える様な感覚でしょう。


【GDP】


 工業化されてない前近代国家の1人当たりのGDPは200ドルと言われています。現代世界の最貧国レベルです。この200ドルと言う数値を最低限の食糧生産額と看做して計算してみます。

 余力のある社会では、農業生産の他に手工業や商業などの活動から富を生み出します。一般的な社会では、食料生産額の二倍くらいのGDPが有るとされます。商工業や貿易が盛んで文化も華やかな国では、食料生産額の二倍、三倍にも及ぶことでしょう。


 エールンドレでは二期作二毛作が出来、牧畜も盛んです。一人当たりの食糧生産額は400ドルにしました。また農業以外の生産活動も行われているので、更に200ドルを加算します。そうして、一人当たりのGDP600ドルと言う数値が出てきます。円換算で86880円です。

 もしも、異界との貿易が盛んであれば、一人当たりのGDPは800ドルとか、1000ドルに達するかもしれません。

 そして、一人当たりのGDP600ドルに、人口15120を掛けると、約900万ドルと言う数値が出ます。円換算だと13億円になります。



【財政規模】


 江戸時代の税負担率は四公六民とか五公五民と言われてます。米の収穫量の半分を年貢として徴収されることになります。これは一見すると、耐えがたい重税の様です。しかし、農民は稲作以外に様々な作物を植え、手内職で収入を得たりします。その上、年貢の換算基準は何世代も昔の検知に基づいています。その間に増えた田畑の収穫高は計算に入ってません。その結果、実際の所得捕捉率は二割程度だそうです。

 其れに比べると、現代日本のサラリーマンの所得捕捉率は四割五割と言われています。正に四公六民とか五公五民の重税に喘いでいる訳です。

 前近代社会や発展途上国の所得捕捉率も、江戸時代日本と大差ないようです。先進国では押しなべて所得捕捉率が高いのです。


 エールンドレの所得捕捉率を二割と計算すると、総生産額約900万ドルの中、約180万ドルが国庫に収まることになります。円換算で二億六千万円です。物価や人件費も安い筈なので、実質的な購買力は更に高いでしょう。これは計算法が判らないので割愛します。



【軍事力】


 騎士60騎、歩兵53名、民兵210名。

 騎士はアーザーダーン、歩兵はセルワズ、民兵はパヤーダグのことです。アーザーダーンとパヤーダグが軍務に就くのは、兵役や賦役として徴収されているからです。全く手当てが付かない訳ではないですが、基本的に無給奉仕です。騎士と民兵の中、実際に就役しているのは其々三分の一程度です。無役の騎士はラーグ高原で牧畜を行ない、非番の民兵は郷村で生業を営みます。歩兵セルワズのみが俸給を貰って軍務に就いています。

 従って、エールンドレの常備兵力は、騎士20騎、歩兵53名、民兵70名、計143名に成ります。

 騎士20名の中、半分は王の護衛であり、半分は歩兵や民兵の上に立つ士官の役割を果たします。歩兵53名は、王宮、城門、関門に配属され、民兵たちを纏める下士官の役割を果たします。民兵は、兵士と言うよりは、実際には雑用、使い走りと言う存在です。

 国の一大事という時には、無役の騎士と非番の民兵が総動員される訳です。兵数に数えられていませんが、引退した騎士や兵士、戦える女性など含めると、数は更に膨れ上がります。



【解説】


※円換算

 参考資料が90年頃のドル相場で計算してました。従って、1990年のドル相場で円を換算しました。1990年の平均値を割り出すと1ドル=144.8円です。


 以下参照のこと


年月     月間平均レート

1990年1月 144.982

1990年2月 145.694

1990年3月 153.308

1990年4月 158.457

1990年5月 154.046

1990年6月 153.697

1990年7月 149.039

1990年8月 147.462

1990年9月 138.441

1990年10月 129.59

1990年11月 129.215

1990年12月 133.888

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