第8話【社会・文化】一 エールンドレの服飾
【服飾――総説】
エールンドレの人々の服装は、だいたい似通っているが、階層や身分ごとに異なる特徴を持っている。まず大きな区分として、男女で異なることは言うまでもない。次に大きな区分として、エールザンドとアーネルザンドの間にも顕著な違いが有る。性別や身分毎の顕著な違いとは、ズボンの有無である。
基本的に、男性はズボンを穿き、女性はズボンは穿かない。しかし、王族シャフルダーラーン、貴族ワースプラガーン、士族アーザーダーンの階層の女性は屡々ズボンを穿くことが有る。それは馬に乗る時である。
エールンドレの社会では、上記の三階層であるエールザンド以外、所謂アーネルザンドの女性がズボンを穿くことは無い。また馬に乗ることも無い。土着民の末裔であるアーネルザンドたちは、女性がズボンを穿いたり、馬に乗ることは慎みが足りないと考えている。もし、そういう女性が居たら、相当な変わり者と看做されるであろう。
エールザンドとアーネルザンドの間の服装の大きな違いも、ズボンの有無である。アーネルザンドの上層である貴族ウズルガーン、官吏ハームハルザーンは、エールザンドの服飾の影響を受け、ズボンを穿くことが多い。少なくとも、王都での公式の場では必ずズボンを穿く。しかし、家の中で寛ぐ場合は、ズボンを省いて着流しにして過ごすことが多い。
一般の庶民である農民ワーストリョーシュや下僕・婢女バンダグなどは、男性でもズボンを穿かないことが有る。ズボンを穿かずに着流しにすることは、土着民アーネルダンドの伝統的衣装だと考えられる。
アーネルザンドの間で女性がズボンを穿くことは不作法と看做される。一方、男性がズボンを穿くかどうかは任意である。上層の者は穿くことが多く、下層の者は穿かないことが多い。
大雑把に纏めると、エールザンドはズボンを穿く民、アーネルザンドはズボンを穿かない民である。その理由に纏わる歴史的理由などは忘却の彼方にある。貴賤を問わず、無意識に分相応な服装を選択しているだけである。
エールザンドとアーネルザンドの服装の共通点を挙げる。それは髪型である。貴賤によって子細は異なるが、貴賤に関わらず、ほぼ似たようなものである。
男性は、肩にかかるか、かからくらいの所で散切り頭にする。大人になると髭面である。髭の無い男は一人前でない。わざわざ髭を剃る者は少年の様な容姿を保ちたい者だけである。
女性の場合、長いおろし髪のままである。基本はおろし髪である。しかし、それぞれ時と場合や好みに応じ、髪を纏めたり、三つ編みを作ったりして楽しんでいる。異界の女性が訪れて来て、変わった髪型が目に付いたら、早速真似を始めるかもしれない。
【服飾――エールンドレの織物業】
エーレンドレの織物業は家内産業である。専業の職人は存在しない。全て家内に女性の手に拠る余業である。丁寧に織られているが、洗練された織物ではない。エールンドレ独特の素朴な味わいがある。染め上げられた織物は少ない。上は国王から、下は庶民に至るまで、普段は素材の元の色のまま織られた物を着ていることが多い。要するに、白とか淡い黄褐色などを着てる者が殆どである。それでも、身分が高い者ほど、袖口や襟元に美しい刺繍を施している。鮮やかな青や赤、緑色に染め上げられた服も生産されていないことは無い。それらは貴族や富裕層の晴れ着である。もし錦の様な絢爛豪華な絹織物が損じするとすれば、異界からの献上品や輸入品である。国王や最上位の貴族が漸く身に纏うことが出来る代物である。
エールンドレで織られている織物の原料は羊毛、綿、麻である。絹は生産していない。全て輸入品である。絹が蚕が吐く糸から作られてることなど知る由もない。
羊毛パシュムの生産者は、牧畜民エールザンドの女性たちである。これは毛織物の他に、様々な必需品の原材料である。毛氈(フェルト)ナマドは、夏営地の帳屋ウィヤーンに張る幕や敷物として使われる。分厚く織られた絨毯ボーブは、必需品であり、余剰品は重要な収入源になる。
また毛織物ワッルは寒さを凌ぐのに欠かせない。これはエールンドレでは珍しい色鮮やかな布地である。王族、貴族、士族の家ごとに様々な模様で織られている。主に幾何学文様や人物や禽獣などの抽象的記号が織り込まれている。
定住民アーネルザンドたちも独自の毛織物を織る。自家で飼う羊、或いはエールザンドから買い取った羊毛を使って織り上げる。こちらも貴族や庶民の家ごとの柄で織られている。技法はエールザンドと同じであるが、紋様が大きく異なっている。チェック柄の様な毛織物が織られている。
色鮮やかな毛織物は其々の家の紋章変わりである。見ず知らずの者でも、羽織る毛織物の柄で何者か一目瞭然なのである。
貴族や富裕層の間では、綿糸などと混ぜて織り、体に合わせて採寸・縫製された上着カバーフや正装パイモーザンとして使用される。
庶民の場合、毛織物は外套に仕立てることは殆どな無い。サリーの様に体に巻き付けたり、ショールやマントの様に肩に羽織ることが多い。庶民は、あまり体に合わせて採寸・縫製することが無いのである。
木綿パムパグは、アーネルザンドの農村で栽培され、綿糸に撚られて綿布に織られる。白地のものが殆どである。麻布よりも、生産量は少なく、高級品と看做されている。肌着タシュカナグとして非常に好まれている。
シャビーグと呼ばれる綿布の肌着は、エールンドレの通過儀礼で大きな意味を持つ。七歳頃の子供はシャビーグを纏う儀式を行う。先例式みたいなものである。王族から下僕の子に至るまで全て行われる。シャビーグを買えない親が居れば、主人が下僕の子供にシャビーグを提供する。それは社会的義務なのである。七歳くらいの子供たちは、村や王都の広場に集められ、神官から祝福を受ける。この時に新品のシャビーグが与えられ、聖なる腰紐クスティーグが結ばれる。貧しい家の子供は、この儀式を経るまで、夏場は素っ裸で暮らす者も少ない。この儀式を経た後は半成人として、裸で走り回る様なことは許されなくなるのである。
エールンドレで最も多い記事は麻布シャネーンである。これも、アーネルザンドの農村で栽培され、麻布として織り上げられる。庶民の上着や肌着の殆どが麻布である。冬の上着用として毛糸を混ぜて織ることも有る。そういうものは無地であることが多い。
綿布や麻布の反物は租税としても納められる。貨幣経済が未発達なエーレンドレでは、牛や羊と同様に貨幣代わりにも使われている。布として織られる前の糸も同様である。異界渡来の絹織物は奢侈品であり、宝石や貴金属の様な交換価値を持つ。
【服飾――王族シャフルダーラーン、貴族ワースプラガーン、士族アーザーダーン】
王族、貴族、士族の三者、要するにエールザンドの服飾は同じである。身分によって、豪華か、質素か、違うだけである。その大きな共通点は、体にぴったりとしていることである。特に士族アーザーダーンでは顕著である。王族シャフルダーラーン、貴族ワースプラガーンは、土着のアーネルザンド、或いは女性の服飾の影響を受けてか、ややゆったり目の服装をすることもある。
エールザンドの最も基本的な服装は、嘗て遊牧民だった頃と変わっていない。綿製の半袖の肌着シャビーグを頭から被って着る。そして腰紐クスタグを締める。ここまでは貴賤長幼を問わず共通である。
アーネルザンドとの大きな違いはシャルワールというズボンを穿くことである。エールザンドが穿くシャルワールは細身である。一般の士族は無地の綿製や麻製のシャルワールを穿く。王族や貴族は、上着と同じ様な生地の色鮮やかなシャルワールを穿く。
肌着の上には、前の開いた長袖の上着を左前にして着て、腰を革帯(ベルト)カマルバンドで締めるのである。ベルトは金属製のバックルや装飾で飾られている。このベルトにアキナークと呼ばれる短剣、箙カンティグルなどをぶら提げる。
頭には革製或いはフェルト製の三角帽を被る。頭に柄のある布を巻くだけだったり、全く無帽である者も少なくない。
古い時代には、鞣し革の上着やシャルワールも有った。少し格好を付けて、革製の服を着るものも居る。
足には、長いブーツか短い革靴を履く。ブーツは革製もあればフェルト製もある。王侯のブーツや靴には、靴底にまで紋様が刺繍されている。
また本格的に森や山野を駆け巡る時は行縢を穿く。この様な伝統的服装は軍装と変わりない。夏営地に向かう時は、槍や盾、剣や弓も携帯するのである。何時でも巻き狩りが出来る装備である。鎧を持たない者は、この状態で軽装騎兵として戦う。
本格的な有事の際、王族や貴族、少なからぬ士族は兜を被り、鎖帷子を身に纏う。馬にも鎧を施すことも有る。しかし、そのような事態は長らく忘れ去られている。
男勝りに馬に乗って、矢を放ち、剣を振るう女性の格好も上に同じである。違うのは服の採寸位である。ただ男よりも細かい見栄えに気を遣っている可能性は高い。
男性と全く同じ格好をすることもがるが、女性特有の伝統的服装も存在する。肌着の上から、踝丈の長袖のドレスを頭から被って着る。赤や緑に染められ、襟元や袖口は刺繍で飾られている。王妃や貴族の奥方だと、記事全体に模様が刺繍されていることも有る。そして腰にはベルトを締め、匕首ダシュナグを挿すことも有る。
頭からチャードルと呼ばれるベールを被り、筒形の冠で留める。身分が高いほど冠も高くなり、チャードルも長くなる。それらもドレスと同様に染色されたり、刺繍で飾られている。
ドレスの下は、何も穿かないことも有るが、ズボンを穿くことも有る。ズボンの代わりに、太腿から腰まで覆う長靴下を穿くことも有る。
エールザンドでは、ズボンは男でも女でも穿く物である。しかし、アーネルザンドの間では、ズボンは男装と看做され、女性が穿くことは先ずない。
上記の服装以外にも、ウズルガーンと似たような衣装を着ることもある。エールザンドとアーネルザンドの服飾文化が融合した様な外見をしている。この件については、ウズルガーンの項目で後述する。
【服飾――神官アースロー】
神官アースローの服装は白を基調にしている。エーレンドレで、真っ白で身なりの好い人を見かけたら、神官で間違いない。
神官は鍔の無い筒形の白い帽子を被る。膝丈ほどの長袖の長衣を頭からかぶって着る。腰にはベルトではなく帯を巻く。白いことも有れば、色付き、模様付のものもある。長衣の下にはシャルワールを穿く。王族、貴族、士族に比べると、ゆったり目のズボンである。そして足には短い革靴を履く。夏場はサンダルの者も居る。
神祇卿マウベドや神祇官マウ、裁判官ダードワル、宮廷魔術師の様な権威あるダストワールは、地面すれすれの長さの白いマントを羽織ることも有る。
神官がシャルワールを穿くのは作法であるが、それを省いて着流しにする者も居る。郷村の助祭や見習の少年などは着流しが黙認されている。
この階層の女性には特有の服装は無い。エールザンドの女性なら、エールザンドの様な服装をし、アーネルザンドの女性なら、アーネルザンドの様な服装をする。実勢は、後者の女性と結婚することが多い。
【服飾――貴族ウズルガーン、官吏ハームハルザーン】
貴族ウズルガーン、官吏ハームハルザーンの服装は神官アースローに似ている。エールザンドの王族、貴族、士族に比べ、ゆったりしている。神官の様に真っ白ではなく、色や柄のついた生地、白以外の黄褐色などの無地の布を纏っている。
日常、貴族ウズルガーンと官吏ハームハルザーンの間の服装に違いは殆どない。高級な背広を着た上司と安物の背広を着た部下くらいの違いしかない。
貴族ウズルガーンと官吏ハームハルザーンは、鍔の無い筒形の帽子を被る。編み籠の様な物からフェルト製の物まで有る。色は黒から白まで有るが、横一線の模様を付けている。
上着は膝丈ほどの長袖のものを頭からかぶって着る。神官と同じ様に、腰にはベルトではなく帯を巻く。ウズルガーンは青や緑など色鮮やかな衣を纏い、ハームハルザーンは地味目で黒や茶色系の衣を纏う。
上着の下には、神官と同じ様な緩めのシャルワールを穿いている。ほぼ同じものと看做してよい。
公の場では短い革靴を履くが、夏場の郷村ではサンダルで済ますことも有る。王都で仕事をする時は必ずシャルワールを穿く。郷村ではシャルワールを省いて着流しにすることが多い。特に夏場はそうである。
貴族ウズルガーンと官吏ハームハルザーン層の女性たちの服装はエールザンドの貴婦人たちに似ている。似ているが、よりシンプルである。
エールザンドの女性たちと同じように、肌着の上から、踝丈の長袖のドレスを頭から被って着る。ウズルガーンの妻や娘は青や緑など色鮮やかな衣を纏い、ハームハルザーンの妻や娘は地味目で黒や茶色系の衣を纏う。その点は男性の装いに対応している。
エールザンドと違って腰にベルトを巻かず、色鮮やかな帯を巻く。帯を省く場合も有る。
頭に帽子や冠は被らない。髪留めの為に帯の様な布を巻いたりする。日よけや寒さを防ぐためにチャードルを被ることは有る。
アーネルザンドの女性はシャルワールを穿くこと無い。しかし、防寒着として、エールザンドの女性の様な太腿から腰まで覆う長靴下を穿くことはある。
ウズルガーンとハームハルザーンの女性たちは、外に出て働く訳ではない。従って、軽い布製の靴やサンダルを履くことが多い。
エールザンドの女性たちも、王都の家の中で寛ぐときは、ウズルガーンとハームハルザーンの女性の様な服装をしていることが多い。また王都の宮廷に仕える侍女たちも、その様な格好をしている。
【服飾――農民ワーストリョーシュ】
農民ワーストリョーシュは独立した農家である。農民の中、ウィスベドほどでは無いが、裕福な者はカダーグフワダーイと呼ばれる。カダーグフワダーイの中で役職に就いてる者がハームハルザーンである。その様な家の者は、男性女性共にハームハルザーンと同じ服一式を持っている。それを晴れ着や礼装として用いる。しかし、日常の仕事着としては、一般のワーストリョーシュと似たような野良着を着ている。
ワーストリョーシュの男性は膝丈ほどの長袖の上着を頭からかぶって着る。形状はハムハルザーンと同じだが、より質素なものを着ている。麻布が多いが、麻よりも太い繊維の植物から作った上着を着る者も居る。
腰は腰紐で締めているが、中には革のベルトを締めている者も居る。革のベルトは日常の道具をぶら提げるのに便利なのである。しかし、エールザンドのベルトよりも質素である。
上着の下はシャルワールを穿かずに着流しにする。中には膝上、或いは脛の半ばまで覆う股引を穿く者も居る。これはニャムワールなどと呼ばれている。夏物は麻や綿であるが、冬物は毛織物やフェルト、或いは革製であったりする。
足の履物はサンダルや草履であるが、中には裸足のままの者も居る。冬場にはフェルト製の靴下の上から草履を穿くことも有る。
頭は無帽なことが多いが、エールザンドの様な三角帽やハムハルザーンの様な平帽を被ることが有る。またワーストリョーシュ層が好く被るのは、鍔の無い丸い帽子である。それは編み籠やフェルト、革製などで作られている。
ワーストリョーシュの女性は脛丈の長袖の上着を頭から被って着る。布の材質は男性と同じである。腰を腰紐か質素な帯で締めるが、何もつけない者も居る。上着の下はシャルワールもニャムワールも穿かない。冬場は、エールザンドの様な長靴下を穿くことが有る。
履物は男性と同じだが、裸足で居る者は少ない。
仕事の邪魔にならない様、髪型は紐で縛って纏めたり、三つ編みを編んだりする。仕事中は頭巾を被る。
男女ともに、冬場は毛織物を羽織ったり、毛皮のチョッキやマントなどを羽織って寒さを凌ぐ。
【服飾――職人カーリグ、商人ワーザーラガーン】
職人カーリグの服装は、農民ワーストリョーシュと変わらないが、少し小ざっぱりとして垢抜けている。
カーリグの男性は上着や帽子は農民と同様である。腰に革のベルトを締める。ベルトの代わりに、革製や丈夫な布製の前掛けを掛けている者も居る。上着の下は股引ニャムワールを穿く者が殆どである。また裸足のまま歩く者は先ず居ない。草履で済ます者も居るが、足の怪我を防ぐために丈夫な革靴を履く者も居る。
カーリグの女性もまたワーストリョーシュと殆ど変わらない。ただワーストリョーシュよりも、小ざっぱりとして垢抜けているので、パッと見の印象が若干異なるだけである。
商人ワーザーラガーンの服装はハムハルザーンの男女と全く変わることが無い。無役のハムハルザーンが商売をすると商人になるのである。
【服飾――徒士セルワズ、足軽パヤーダグ】
士族アーザーダーン、騎士アスワールが正規の戦力なら、徒士セルワズ、足軽パヤーダグは補助戦力という位置づけである。彼らは土着民アーネルザンドから、登用或いは徴収された兵士たちである。
徒士セルワズは、ハムハルザーンの一種で国家に仕える下級武官である。元々は、徴収された足軽パヤーダグの中から選抜された精兵である。パヤーダグは、土木工事などの賦役の代わりに、兵役で徴収された農民ワーストリョーシュである。
セルワズとパヤーダグとでは装備と待遇に大きな差が有る。セルワズには俸給が支給され、武器や鎧などが貸与される。パヤーダグは無給である。俸給は無いが兵役中の生活くらいは、王国から面倒を見て貰える。装備は好くて槍と盾を貸与される程度である。
パヤーダグの外見は、一般の農民ワーストリョーシュが槍や盾を持っただけの存在である。服装については再述しない。
セルワズは王宮や王都、関所の門番ダーリグを務める歩兵である。基本的な服装は農民ワーストリョーシュと変わらないが、上着は青や緑や赤などの色で染められている。上着の下にはニャムワールを穿き、靴も丈夫な革靴を支給されている。武器も槍や短剣、盾に兜、鎖帷子、弓などを装備している。騎士アスワールと違い、日頃から完全武装しているのである。
【服飾――下僕・婢女バンダグ】
エールンドレに明確な奴隷制度がある訳ではない。バンダグという階層は賤民と言えるほど卑しまれている訳でもない。主人から使役されているのだが、独立した生業を営む一人前の人格とは認められていない。エールンドレの最下層の住民である。
しかし、バンダグの社会的地位は主人の社会的地位に相応する。主人の地位が高ければ、一般の庶民よりも高い地位を持ち、善い待遇を受けている。主人が一般庶民であれば、文字通り庶民の下の最下層民である。
バンダグの服装は、男女ともに一般的な農民ワーストリョーシュと変わらない。主人の社会的地位や財力によって、身なりが立派にも粗末にもなる。王宮や王都の諸官、大貴族に仕えるバンダグは、並の農民よりも小ざっぱりとした好い身なりをしている。身なりの悪いバンダグは主人の恥なのである。並の農民に使われるバンダグは見窄らしい。着るもの、履くものは全て主人一家のお下がりである。裸足で外を駆けまわっている者も多い。
少し例外が有る。アーザーダーンに仕えて牧畜活動に携わるバンダグは、エールザンドの様な服装をしている。並のアーザーダーンよりも、地味なだけで殆ど変わらない。主人のお下がりの様な上着を着て、古びたシャルワールを穿いている。アーネルザンドは貴族以外は馬に乗らないが、アーザーダーンのバンダグは馬に乗ることすらある。身分秩序を厳密に定義されてないが、士分の下のエールザンドの様な扱いである。
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