Who is strongest?

御厨カイト

Who is strongest?

「はぁはぁはぁ……………」


「待てぇぇぇぇ!逃げるぁぁぁぁ!」


チッ ほとぼりが冷めたと思って街中に行った途端これだよ

まったくついていないな



俺の名前はガロン 一応これでも指名手配犯なんだぜ

何をしたかだって? 食い逃げだよ く・い・に・げ

アッ 今しょぼいと思ったろ 俺らの世界では食い逃げも立派な重大犯罪なんだよ


くそっ あの時財布を忘れていなければこんなことには

まあいい 終わったことをいまさら悔やんでもしょうがない



まあ そんなこったで俺は指名手配犯になり、つかまりたくないから一か月間街から離れたところで潜んでいたわけなんだが

「もう大丈夫だろ」と余裕ぶっこいて街の中に入った途端、警察に見つかり今に至るというわけさ



くっそぉぉぉぉ 何が嫌であっつい砂漠の中で警察に追われないといけないんだよ

「いや、お前が指名手配犯だからだよ」って声が聞こえてきそうだが 

まあ その通りなんだけど

俺だってつかまりたくはないんだよぉぉぉぉぉぉ



あぁ どこかに良い隠れれる場所がないかなあーと思っていたらあった

前方約50メートル まさに場末のバーのようなカフェが

よし うまくいけばあのサツ達をまけるかもしれん よっしゃ! いったるでーー




カランコロン 

ふぅ 何とかまけたようだな

まさか、あいつらもここに隠れているとは思うまい



ゾクッ

だが このカフェ不思議な雰囲気がするな

内装は普通のカフェと変わりはないし、外の景色がよく見える(砂漠だが)ベランダ席があることも普通だ

だけどなんというか…………



そんなことを考えていたら

「このカフェに来るのは初めてか」とめっちゃイケボで話しかけられた



そのイケボの方を向くとカウボーイハットを被ったイケメンが椅子に座ってこっちを向いていた

そのイケメンと目が合うとイケメンは隣の椅子を引いてこちらに微笑み返してきた



…………そこに座れということか?

少しオドオドしながら座るとまたイケメンに「このカフェに来るのは初めてか」と聞かれた



「はい」


「そうか。このカフェは他のカフェとは一味違うからな。なんせ、このカフェに来る客は全員指名手配犯だからな。」


「えっ……。まじすっか。」


「まじまじ。なんかこのカフェのマスターの意向らしくてな。ちなみに俺も指名手配犯だぜ。名前はドレイク・クルーガーだ。罪状は強盗だ。よろしくな。」


「えっと…………。ガロンです。罪状は食い逃げです。よろしくお願いします。」



何というか 変なカフェに逃げ込んでしまったな

なんだよ 指名手配犯限定のカフェって 聞いたことないわ

ということは…… まさか ここにいる全員が指名手配犯なのか

ちょっとドレイクさんに聞いてみるか


「あの…………。」


「うん?」


「ここが指名手配犯限定のカフェということはここにいる全員が指名手配犯ということですか。」


「そうだよ。ほら、あの奥の席でボードゲームをしている二人を見てみろよ。」



そう言われて奥の席を見てみると、確かに二人の男がボードゲーム(確かショーギと呼ばれているやつ)を黙々とやっていた


…………っていうか おいおいまじかよ


あの席の奥側に座っている男 黒いマント 背中のでかい斧 それに赤い目


間違いない あいつは汚職や不正をする警官や政治家ばかり殺す殺人鬼


人呼んで断罪の死刑執行人(ブラッディ・マーダー) アルバート・エルドリアンじゃねーか



なんでそんな奴がこんなところでボードゲームしてんだよ

ハッ ていうか手前の席のやつも大物だな



袴に東洋人独特な髪型(確かちょんまげっていうやつだったか) それに禍々しい雰囲気を持つ刀


あいつは確か妖刀を使って辻斬りをする有名な殺人鬼だったな

人呼んで闇に蔓延る男(ザ・シャドーマン)  ソウタ・クルイザキだな



マジかよ

このカフェには大物しかいないのか

というか今気づいたがカウンター席で優雅にコーヒーを飲んでいる男も有名な奴だ

名前は確かジョン・グラートン 脱獄請負人と呼ばれている男だ

どんな刑務所に捕まったとしてもそこに収容されている受刑者と一緒に必ず脱獄するからそう呼ばれている



ヤバいな 

マジでこのカフェ 大物しかいねぇ

こういうところにいるとなんか面倒なことに巻き込まれる可能性大だな

そういうことに巻き込まれる前に早めに店を出るか



「ご注文はお決まりですか」


「!」



びっくりしたーーー 

突然 マスターに話しかけられたわ

ていうかいつの間に俺の後ろにいたんだろう

まったく気配に気づかなかった


「…………えっと。じゃあ、コーヒーをください。」


「お砂糖やミルクはいかがなさいますか。」


「砂糖は三つ、ミルクは無しでお願いします。」


「かしこまりました。」


いやーー まいったな

このカフェを出るタイミングを失ってしまった

まいっか コーヒーを飲んだら出ることにしよう



初めてこのカフェのマスターを見たのだが何というか「ザ・マスター」という感じだな

年齢は50代半ばだろうか ちょび髭に優しそうな目じり ピンと伸びた背筋

う~ん イメージ通りだ




ドガン‼‼


なんだ!


「なんだこのカフェは。まるで場末のバーじゃねえか。はっ。」

そう言って40代半ばの男が入ってきた


麦酒(ビール)の飲みすぎでできたビール腹に大きい顔 それに背が低いから

まるでダルマのようなフォルムだな 

頭には三角帽子を被っているな



…………なんだか、キャラの濃い奴がやってきたな

それに俺 こいつと思考が被ってんな

ていうかこいつがドアをけって開けたせいであの入り口のドア壊れそうじゃないか

マスターの口がヒクついているじゃねえか



というかこの男も有名な指名手配犯だな

名前はドイル・デジャルダン

海賊専門の殺し屋だから暴虐提督(タイラントアドミラル)と呼ばれている


もうここまでくると誰が来ても驚かなくなってくるな

マジでこのカフェ やべぇな



そんなこんなでドイルは横柄な態度でドカッとベランダ席に座って足をテーブルの上にのせた

…………行儀が悪いな 指名手配犯に言うことじゃないが



「おい!酒を持ってこい。」


「申し訳ありませんが、当店はバーではなくカフェですのでお酒は扱っておりません。」


マスターが若干怒気を含んだ声で言ったがドイルは気にしていない感じで畳みかける


「あん?酒がねぇだって?客が頼んでんだからさっさと持って来いよ。」


「ですから、先ほども申し上げた通り、当店ではお酒を扱っておりません。」



「うるせぇな。客の頼みが聞けねぇってか。お客は神様なんだろう?いいから、無いんだったらどっかで買って持って来いよ!」


「そんな、理不尽な。」


「はっ理不尽だと?お前、俺がだれか知ってんのか。暴虐提督(タイラントアドミラル) ドイル・デジャルダンだぞ。お前、このままグダグダ抜かすんだったらお前の頭を拳銃でぶっとばすぞ。」


「ッツ かしこまりました。」



あっ 結局マスターが折れた

ああいう横柄な態度はちょっと腹立つな

だからといって注意しようとは思わないが

…………誰がチキンだ だってさすがに怖いもん

こんなところで死にたくはないからな 触らぬ神になんとやらってやつだ



そんなことを思っていたら ドイルの横柄な態度が若干ヒートアップしてきたな

テーブルに足を乗せたまま 我が物顔でベランダ席に居座っているし

他の客にちょっかいをかけているな それもエルドリアン&クルイザキコンビに

めったに感情を出さないことでも有名な二人が若干ウザったそうにしているな


個人的には珍しいものが見れて面白いのだが

このカフェの雰囲気としてはだんだんヤバい方に向かって行っているな




なんだか嫌な感じがするのは俺だけだろうか

さっきからマスターが一言もしゃべっていないのが怖いな

穏かな人ほど怒ると恐ろしいんだよな



まだまだドイルの横柄な態度が続いていた



「おいおい!なんだこの辛気臭い雰囲気はよぉ。まるでつぶれかけのバーみてぇじゃなねえか。」


ヤバいな マスターの額に青筋が若干立ち始めた



「客は少ないし、マスターは無愛想だし、店の雰囲気は暗いし、まったくなんでこんな店が続いているのかわからねえな」


アイツは馬鹿なのかな なんで火に油を注ぐ様な真似をするんだろう

マスターの額にはくっきりと青筋が立ってしまった


「てか酒はまだか!ったくおっそいなー。いつ注文したと思ってんだよ。ここのマスターは仕事が遅いな。」



マズいマズいマズい! マスターの顔が阿修羅みたいになってるーー

そろそろ噴火しそうじゃね?

おいおい これどうなるんだよ


「ちっ 酒は遅いし、マスターの仕事は遅いし、ホントにこの店はくそだな。」





ズガーーーーーーーーン




ギャーーーーーーーーーーー!


なんだアイツ 気持ちわりーーー






急にベランダ席のほうに砂漠の中からでかいミミズみたいなモンスターが現れた

急な出来事すぎてみんな呆然としているな

ベランダ席にいるドイルも急に目の前に出てきたから目が点になってやがるな




ていうかこのモンスター何なんだろう

見た目はでかいミミズみたいでギザギザな歯がついた口がついている

口がついているということはミミズじゃないのかな




そんなことを考えているとドレイクが「あいつはジャイアントワームだ」とポツリと言った

ていうかジャイアントワームだと!!

おいおい 伝説級のモンスターじゃねえか

たった一夜で一つの国を滅ぼしたという伝説を持つモンスターだぞ!

てかヤバイヤバい! 早く逃げねえと喰われちまう




そんなことを考えていたら





バクッ




ギャーーーーーーーーー!


ド、ドイルがま、丸のみにされちまった


マジでこんなところにいたら喰われちまう


早くこんなところから逃げねえと






ヤバい足が恐怖で動かん


マズいマズいマズい ジャイアントワームがすぐ目の前まで来てるーー


嫌だーー こんなところで死にたくないーー


ああぁぁぁぁぁ 神様助けてぇぇぇぇぇぇぇぇ






………………………………











………………………………………










…………………………………………あれ?


喰われてない なんで?





おそるおそる前を向いてみるとジャイアントワームはくるりと後ろを向いてこの場から立ち去ろうとしていた


まるでもう目的は完遂したかのようにに


なんか知らんが とりあえず助かったようだ ドイルは喰われてしまったが

場の空気も緊張感などから安堵感に変わっていった

俺も気持ちを落ち着かせながら椅子に座った途端 突然背後から



「あの喰われてしまった男。少しおいたが過ぎていたようですね。あっ こちらご注文のコーヒーになります。」


「! あっ ありがとうございます。」


「ごゆっくりどうぞ。」



びっくりした!  

なんでこの人こんなに気配がないの

めちゃくちゃびっくりしたわ

ていうか そんなスッキリした顔で言われても反応に困るわ


はぁぁぁぁ なんだか色々あって疲れたわ

コーヒーを飲んだらさっさと出よう




それから俺は結構おいしいコーヒーに舌鼓を打ちながら、ドレイクさんと二、三個世間話をしてこのカフェを出た

出る直前にマスターに「また来てくださいね。」と言われたがもうここには来たくないな



さてこれからどうしようかと思いながら砂漠を歩いていると

カサカサカサと何かが風に吹かれて転がってきた

よく見たらクシャクシャに丸められた指名手配書だった

自分の指名手配書かと思ってみたらその指名手配書にはこう書いてあった





名前:?????    

年齢:??    

職業:テイマー

罪状:殺人 強盗 放火 etc

特徴:伝説級のモンスターまでもテイムすることができます




なんだ 俺のじゃないのかと思ったけどこの指名手配書の顔写真 よく見てみると


まるでさっきのカフェのマスターの顔を2、30歳若くしたような顔だな

……………………まぁ そんなわけないか




よしこれからどうしようかなと思って指名手配書をポイッと投げて再び歩き出そうとした矢先 当然



「ここにいたか! ガロン・ロンギヌスゥゥゥゥゥゥ!」



ゲッ まいたはずの警察がなんでいるんだよ

てか マズいマズい 逃げねえと



「こらぁぁぁぁぁ!待てぇぇぇぇぇぇぇ!逃がさんぞぉぉぉぉぉぉぉ!」


「待てって言われて待つやつはいねえよ。」


「今度こそは逃がさんぞぉぉぉぉぉぉぉ!」



「くっそぉぉぉぉぉぉ!こんなことになるんだったら食い逃げなんてするんじゃなかったぁぁぁぁ!」




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