第2話 『一件の依頼』
ある日の午後、いつものようにギャンブルに勤しんでいた八雲は珍しく勝ち通しで気分はウハウハ状態だった。
いつもの通りに出て事務所へと戻ろうとした時、非常に珍しい光景を目の当たりにする。
「んお?」
客人だった。
それ自体珍しい光景でもないが、来客の容姿が珍しい――――――――――というよりも初めての依頼人が事務所の前で立ち尽くしていたのだ。
「えっと、依頼人さん?」
八雲は声を掛ける。
「ッ!?」
驚いた依頼人は慌てて八雲の顔を見る。
まずここは探偵事務所で依頼人のほとんどは浮気を疑っている主婦か、ペットにお金をかける暇を持て余した成金のマダムが大半だった。
しかしこの
いわゆる女子学生の制服を着ていた。
正直こんな辺鄙な探偵事務所に若い女性が来ること自体が稀なのだが、それがもう一つ若い女の子だというのならレア度は一気に上がる。
「あ、あのっ」
透き通るような、それでいてしっかりと耳に残る声をした少女は手に持つカバンを力強く握りしめた。
「お願いです!
八雲は少し間を置いてから悟った。
どうやら勝ち越したお金で豪勢な外食をしようと計画を練っていたが白紙に戻されそうだな、とそんな事を思ってしまった。
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