第170話 アーニャとシャニとの休日 其の二☆

 突如ピース村で起こった転売ヤー騒動。

 どうやら俺が作った異世界TE◯GAとリリが作った異世界バ◯ブ、他にも俺の店で取り扱っているアダルトグッズが買い占められているそうだ。

 TE◯GAの材料はコンニャクの壁なのでいきなり品切れになるわけではないが、クオリティを維持するため丁寧に作っている。

 独身男性の村民のためにも平等にTE◯GAを販売したいのに……。 


 しかし転売というのは全てが悪というわけではないからな。

 小売業だってある意味転売みたいなものだ。

 遠方にいるお客さんのために小売業者さんが商品を買い、その手数料を上乗せして販売するのだ。

 一部の心ない転売ヤーにより小売業の社員さんも悲しい想いをしている。

 なんてことをこの世界に来る前にニュースで見たなぁ。

 

 しかし俺の村で転売ヤーが出たとしたら。

 そのせいで俺が作った至高の快楽を産み出す異世界TE◯GAを独身男性が手にすることが出来なくなる可能性もある。

 まぁ原材料はコンニャクの壁なのでいくらでも作ろうと思えば作れるんだが、やはりクオリティにはこだわりたい。

 なので大量生産はしていないのだ。


「確かにあの気持ち良さは格別ですから。気持ちは分かります」

「シャニはいいなぁ。私も使ってみたいです……」


 とアーニャは羨ましいそうにしている。

 ま、まぁシャニとのプレイにはよく使っているからね。

 何気にシャニはオモチャが好きなのだ。


 ゴホン……。そ、それは今考えることではなかったな。

 まずは事の真相を知る必要がある。


「グルル、来たぞ。あの客だ」


 デュパが小声で視線を店に向ける。

 俺も自然に振る舞いつつ客を見てみると……。

 地人だ。ファンタジーで言うところのドワーフだな。

 

 そしてドワーフは慣れた手つきで大量のアダルトグッズを購入していった。

 むふふ、まいどありー。いや違うぞ。

 俺の懐が暖かくなるのは嬉しいが、やはりここはアダルトグッズを望む全ての村民に平等に使って欲しいのだ。

 それにあのドワーフが転売して荒稼ぎしている可能性もある。

 ここは村長としてあのドワーフにはきついお仕置きが必要だ!


「ライト殿、あの者はただの買い手かもしれません。こういった場合は後ろに大きな組織がいることがあります。元締めを叩かなければ意味がありません」


 なるほど、さすがはシャニ。元暗殺者だけある。

 彼女が言うにはドワーフを尾行し組織を根絶やしにしなければ同じことが起こるだろうと。


「蛇を殺すには頭を潰さねば」

「そ、そうね。でもシャニ、その表現はちょっと怖いわ……」


 アーニャはラミアだもんね。

 まぁ例えだから安心してくれ。


 

 買い物を終え村を歩くドワーフを追う。

 あ、ちょっと後ろを警戒しているようだ。

 やはり怪しいぞ。


「ライト殿、あの角に身を隠して下さい」

「あぁ……」


 こうやって尾行を続けていくとドワーフは少し寂しい雰囲気の一画で止まる。

 村の南端にある建物があまり無い場所であり人気ひとけも少ない。

 そしてドワーフはその一画にある建物に入っていった。


「こんな場所ありましたっけ?」


 とアーニャは言う。

 初期の建築に関しては俺が全て行った。

 しかしこの一画は違う。釘が使われていたりと俺の力とは違う方法で作られた建築物だ。


 ここが転売ヤーのアジトなのか?

 そう思った次の瞬間、一組の男女が建物から出てきた。

 二人は笑顔で手を繋いだり、軽くキスをしたりと良い雰囲気だな。


「また来ましょうね」

「あぁ」


 そんなことを言って二人は去っていく。

 んー? 特に看板は無いのだが、ここは何か商売をしているとか?

 ここは一つ俺達も建物に入ってみることにした。

 もしも俺達の商品がここで転売されているならばちょっとお仕置きしてやればいい。


「行くぞ」

「は、はい」

「はい。脅威は発見次第排除します」


 シャニさん、一応うちの村民だから。

 暴力は駄目だからね。


 ――カランカランッ


 建物に入ると取り付けられているベルが鳴る。

 そしてどこからともなく声が聞こえてきた。


「いらっしゃいませ……」


 ん? この声はカーテンで閉ざされた小窓の奥から聞こえてくるな。

 いらっしゃいませということはお店なのだろう。

 

「あ、あぁ。この店は何を売っているんだ?」


 と俺は裏にいるであろう店主に話しかける。

 すると……。


「あぁ、初めてのお客さんでしたか。ここは癒しの空間でしてね。一時間5000エンで癒しの空間をお貸ししているのです。どうです? 癒されますよ」


 怪しい……。

 癒しを強調しているだけでどんな内容のサービスをしているのかは一切言っていないのだ。

 しかし店主は俺の商品を何らかの形で取り扱っている。

 ここはしっかり調査するしかあるまい。


 俺は財布から10000エンを取り出す。

 

「釣りはいらん。一番良いものを頼む」

「ははは……。太っ腹なお客様だ。ならばこれを……」


 ――チャリンッ


 声の主はカーテンから手を出して鍵を置いた。


「一番奥の部屋をご利用下さい……」

「あ、あぁ」


 俺は鍵を受け取り廊下を進む。

 突き当たりにはドアがあり、鍵を差し込むとドアは開く。

 部屋の中はというと……。


「な、なんですか、この部屋は!?」


 アーニャは赤い顔をして驚いていた。

 シャニはなんかパタパタと尻尾を振って喜んでいる。


 部屋の中は大きなベッドが置かれてあり、壁には【ご自由にお使いください】と書かれたTE◯GAやバ◯ブ、そしてローションが置かれてある。

 そしてすぐ横にはガラス張りの壁。その中にはゆったりとした大きなお風呂があるではないか。

 しかも撥水性のマットも床に置かれている。

 うん、何となく分かっちゃったぞ。

 

 しかし! まだ転売ヤーが関わっていないとは断言出来ん!

 ここは一つ実地調査を行わねば!


「アーニャ! シャニ! 調べるぞ!」

 

 ――ババッ!


「な、なんで服を脱ぐんですか!?」

「風呂に入るからさ!」

「なるほど、調査ですね。分かります」


 俺とシャニは服を脱いで風呂に向かう!

 しっかりと暖まったところでマットの上に寝転ぶ!

 もちろんローションを使ってヌルヌルを楽しむ……いや調査するのだ!


「シャニ、傷はどう?」


 一応さ、ジュンを産んだばかりだし。

 やっぱり優しくしてあげないとね。


「問題ありません」

「そうか! 調査開始!」


 ――ツー ヌルヌルー


 お互いの体にローションを塗りたくる!

 そしてそのままシャニと合体した!


 ほら、調査だから。

 シャニは久しぶりということもあり、大いに乱れてくれた。

 いやー、やっぱりフ◯◯リちゃんは最高だな。

 シャニも俺の上に乗りつつ、たくさん出したようで満足したみたいだ。


「う、うわぁ、すごい……」


 俺達を見ていたアーニャも混ざりたいみたいだ。

 でもなー、アーニャはお腹の中に赤ちゃんもいるし、まだ安定期じゃないしなー。


 ならば!

 俺は風呂から出てアーニャをベッドに押し倒す!


「キャー! だ、駄目ですー! 赤ちゃんがー!」

「大丈夫大丈夫。これを使ってあげるから」


 棚から異世界バ◯ブを取って金属棒で叩く。

 こうすることで起動するのだ。


 ――ブィーンッ


 うーん、なんてエッチな音なのだろうか。

 これを使ってアーニャの体に当てたりしていると。


「んー!?」


 アーニャともしばらくしてないからねぇ。

 赤ちゃんがびっくりしないようちょっとだけ合体しておく。

 そんな感じで調査を終えた。

 二人はベッドに横になり、俺に抱きつきながら肩で息をしている。


「はぁはぁ……。て、転売はしてなかったみたいですね」

「しかしこの店は一体何なのでしょうか?」


 ラブホです。

 しかもかなり良いサービスの店のようだ。

 ローション、TE◯GA、バ◯ブが使い放題。

 しかもかなりお安い。


「とりあえずこの店は問題無いと思う。後で店主と話して特別に多めにこの店に商品を卸すことにするよ」


 村民の隠れた娯楽になると思えたからな。

 こういった文化も生活には大切なのだよ。


「あ、あの、ライト様。またここに来たいのですが良いでしょうか?」

「私もです」


 二人も満足してくれたようで。

 たまにはこうして夫婦から恋人に戻るってのもいいことだよね。

 

「もちろんだよ。二人共、愛してるよ」

「私もです」

「ライト様……」


 二人を抱きしめてキスをする……のだが。


 ――トントンッ


 むむ? ドアをノックする音が。

 ドア越しから声が聞こえてくる。


『ご利用時間を過ぎました。退出のご準備をお願いします。延長も可能ですがいかがされますか?』

「「「延長で」」」


 もうちょっと楽しんでいくことにした。

 

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