第169話 アーニャとシャニとの休日 其の一☆

 ――ムニュムニュ

 ――ツルツル


 俺の両隣には裸のリディアとリリが眠っている。

 妻達の中で最も大きな胸を持つリディア、そして慎ましやかな可愛い胸のリリがそれぞれ俺の腕に押し付けるように眠っているのだ。


 まずはリリのおでこにキスをして起こすことに。

 ついでに朝のデザートとして可愛いサクランボを食べてみることにした。


「きゃん。だ、駄目だよ、朝からなんて……」


 花◯院のようにコロコロと弄ぶ。

 リリは幼い容姿をしている。まるで少女のようだ。

 うーむ、やはりこの背徳感はたまらないな。

 しかしリリはこれでも35歳。事案にはならないので安心だ。

 

 そんなことをしているとリディアも起きたようで後ろから抱きしめられた。


「あー、ずるーい。私にもして下さい!」


 と甘えてくる。

 一児の母になっても彼女は変わらないなぁ。

 今度はリディアを押し倒してイチゴちゃんを優しくカミカミしてやった。

 しかし悲しいかな、リディアはもう出なくなってしまった。

 ミライもしっかりごはんを食べるようになったからなんだろうな。


 こんな感じでとても甘い朝を迎えたわけだ。

 服を着てリビングに向かうとアーニャとシャニが産まれたばかりのジュンのお世話をしていた。

 ちょうどおしめを代えてるところだったか。


「ジュンちゃーん。キレイキレイしようねー。ほら、シャニもやってみて」

「はい、アーニャ姉」


 シャニはアーニャから子育てについてのレクチャーを受けているようだ。

 アーニャはメイドさんとして働いていたので、奥様方のお子さんの子育ても経験してきたとか。

 彼女自身はまだ子供はいないのだが、その手つき、仕草は妻達の中で一番手慣れているように見える。


 一方シャニはまだ慣れていないようで大きな獣耳をしょんぼりとヘニョらせていた。

 王都最強の暗殺者が母になる。なんかそれだけで映画が出来そうな内容だな。

 しかし手慣れたアーニャ、そしておどおどしているシャニ、妹が出来て嬉しくてしょうがないミライ。

 その姿を見ているだけで胸が暖かくなるよ。


「あれー? ライトったら可愛い顔してるよ」


 起きてきたリリがからかってきた。

 今俺との子供がいないのはリリだけだからな。

 ちょっと彼女にはかわいそうな想いをさせているかもしれない。

 なので優しく肩を抱いてあげた。


「ごめんな、もう少しだけ待っててくれ」

「うん、それは仕方ないよ。これからまた忙しくなるしね。だから今日はいっぱい楽しんでね!」


 と笑顔を返してくれた。

 そうなんだ、明日から俺達はピース村からラカン村に拠点を移す。

 現在猫島を占拠している人族を警戒するためだ。


 俺は愛する家族と過ごそうと思ったのだがリディアとリリは今日は遠慮すると言ってきたのだ。


「私はミライを産んでからたくさん可愛がってもらいました。でも……」


 リディアはちらっとアーニャとシャニを見つめる。

 確かにそうなんだよな。

 アーニャとシャニとの時間は妊娠してから少し減ったんだ。  

 そばにいすぎるとエッチなことをしたくなると彼女達から少し距離を置いてきた。

 もちろんお腹の中の子に負担をかけないためだ。

 

 なので最近はリディアとリリとの時間が多くなったというわけだ。


「いいのか? せっかくの休みなのに」

「うん、その代わりアーニャ姉とシャニ姉をたくさん可愛がってあげてね」


 とリリに言われてしまった。

 やはり彼女達は仲がいいな。

 お互いを常に思いやっている。


 ほっこりした気分の中、美味しい朝食を食べることに。

 今日はジュンの面倒はリディアとリリがみてくれるようだ。

 でも今おっぱいが出るのはシャニしかいないので途中で帰ってこないとな。  


 朝食を食べ終え、俺達は三人で家を出る。

 でも特に何をするか決めてないんだよな。


「釣りにでも行きますか?」

「嫌です」


 シャニの提案を一言で断っておく。

 俺は食べるのが専門なの。何回か妻達と釣りに行ったが結果は全部ボウズだった。

 なんで休みの日にわざわざ恥をかかにゃならんのだ。


「なら泳ぎにでも行きますか?」

「うーん、ちょっと泳ぐには寒くなってきたかな?」


 夏は過ぎ、秋の気配が近づいているのだ。

 この時期はクラゲも出そうだし、海水浴には向いてないかな。

 それにラカン村は厳戒態勢だし村長自ら海水浴を楽しんでは村民からひんしゅくを買うことになるだろう。

 アーニャの提案も却下しておいた。


 とりあえず村をブラブラと散歩することにした。

 まずは村の中央にあるマーケットでお買い物でもしようかな……と思ったのだが。


 ――ワーワー


 とある一件の店に村民が殺到している。


「グルルルッ!? お、落ち着け! 振動石の在庫はまだある!」


 あれは俺の店だ。ちなみにピース村の店舗の店長はデュパにやってもらっている。

 置いてある商品は主にアダルトグッズなんだけど。

 他にも生活雑貨や酒なんかも置いている。

 最近になって食料品の販売も始めた。

 要は何でも屋だ。行けば何でも揃う異世界ド◯キだな。


 ちなみに新商品である異世界バ◯ブは大人気となり、恋人達、夫婦の夜の生活に大いに活用されているのだとか。

 

「す、すごい人ですね」


 とアーニャは青い顔をしていた。

 ちなみにアーニャの作った下着も人気商品の一つだぞ。

 やはり全てが終わったら村長は引退してオーナー業で生活していくのも楽しそうだ。

 運営はデュパに任せよう。


「グルルルッ! ライトー! 手伝ってくれー!」


 俺に気付いたデュパが店を飛び出してきた。

 ちっ、見つかってしまったか。

 仕方ないのでアーニャ達と一緒に手伝うことにした。


 そしてようやく店が落ち着き、一息つくことが出来る。


「グルル。死ぬかと思ったぞ」

「ははは、嬉しい悲鳴ってやつだな」


 デュパは他の従業員に店を任せ俺に話しかけてきた。


「明日だな。ラカン村には私も行こう」

「そうか。でもいいのか?」


 デュパの一族は人間に住みかを奪われ、南の大陸に安住の地を作るためにやってきた。

 だが運悪く異形の出没時期と重なり、魔の森で隠れるように生きてきた。

 そして俺に出会い、ようやく安心して生活出来る暮らしを手に入れることが出来たんだ。


「だからこそだ。今の暮らしを奪われるわけにはいかん。種族を代表してお前と共に戦おう」

「本当は店長を辞めたいとかじゃないのか?」


「グルル、それも理由の一つだな」


 デュパは冷たい目をしつつも口元に笑みを湛える。 

 こういった冗談を気軽に言いあえる仲なんだ。 

 俺の貴重な友人の一人であり、リザードマンならではの強靭な膂力は心強い。

 

 その後明日のことを話しているとデュパがこんなことを言ってきた。


「すまんがちょっと気になることがあってな。これを見てくれ」

「ん? これは……帳簿か?」


 デュパはノートを手渡してきた。

 内容は在庫数に売上、納品予定など様々なことが書かれている。

 へー、結構マメなんだな。

 でも気になることってなんだろうか?


「グルル、ここだ。特定の客の販売履歴が少し気になってな」


 彼が言うにはその客というのは今日も来たそうだ。

 俺はその客の購入履歴を見てみることに。

 どれどれ?


・異世界TE◯GA×100

・異世界バ◯ブ×25

・エッチな下着×50

・ローション×100


「これは……」

「グルル、怪しいであろう? 特に困ってはいないのだが、この客が大量購入をするので独身男性の村民に売る者が無くなってしまう時もあってな」


 これは怪しいぞ。

 はっ!? これはもしかして!?

 俺は一つの可能性を思い付いた。


「転売ヤーかもしれんな」

「転売ヤー? それはなんですか?」

 

 シャニが聞いてくる。

 ざっくりと説明すると……。


「まぁ違法ではないけど買いたいものを買えなくて困る人が出てくるよね。それに転売したものの価格は定価よりもの凄く高い場合もあるんだ」


 かくいう俺もPN5というハードが買えなくて泣いた側の人間でもある。

 ゴースト◯◯ツシマをPN5で遊びたかったなぁ……。

 村長として村民に俺と同じような想いをさせるわけにはいかん。


「む? ライトよ、あの客がまた来たぞ」

「分かった。ちょっと調べてみる」


 突然発生したピース村での転売ヤー騒動。

 せっかくの休みだが俺は事の真相を調べることにした。

 

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