家族の章
第142話 平和な夜☆
異形との戦いに終止符をうったその夜。
村の中には陽気な音楽や村民達の笑い声が響き渡る。
――ドンチャン ドンチャン
――ピーヒャララー
「がははは! 今日はとことん飲もうぜー!」
「おう! 有り金全部使ってやるわ!」
窓の外を覗くとエルフとコボルトが肩を組みながら酒をラッパ飲みしてたり、恋人達だろうか、路上でチューをしていたりとかなり盛り上がっている。
「あぶー。ちちー。んきゃー」
「ん? どうしたミライ?」
ミライは俺の腕に抱かれながら楽しそうに外を見ている。
そして彼女の視線は夜空へと向かう。
「ほら、お月様だぞ。綺麗だな」
「あいー」
夜空には半月が浮かんでいた。
まだ夜の八時ってとこだな。
普段なら異形の襲撃がある時間であり、いつもだったら俺達は戦っている時間なのだ。
しかし村は平和そのもの。
聞こえるのは村民達の笑い声だけだ。
「ようやく終わったんだね」
――ギュッ
ん? リリは俺の横に立ち、嬉そうに外の光景を見つめる。
そうだな。みんな頑張ってくれたが、リリのマナブレイカーによって世界は救われたみたいなものだ。
「あぁ。リリのおかげだよ」
「ううん。私は道具を作っただけだもの。ライトがいなかったら成功なんてしてなかったはずだよ」
それを言ったら俺だってそうだ。
ここまで来られたのはリディア、アーニャ、シャニ、そしてリリがそばにいてくれたからだ。
彼女達がいなかったら俺は今頃異形に殺されてただろうさ。
「ねぇライト?」
「何?」
「あのね……。もうしばらくは戦う必要は無くなったじゃない? あ、あのね、だから私もそろそろ赤ちゃんが欲しいなって……」
「お、おう」
うーん。いきなり子作りアピールをされてしまった。
でもどうしよう。
まだミライは手がかかるし、今シャニのお腹の中には赤ちゃんがいるはずだ。
確かにリリとの間にも子供は欲しいが、いきなり三人も赤ちゃんを育てられるだろうか?
「ふふ、リリの気持ちは分かるけど、もう少し待った方がいいわ」
「アーニャ
今度はアーニャがリリに声をかける。
今家族の中で俺の子供を授かっていないのはアーニャとリリだけだ。
しかしアーニャは子育ての大変さを知っている。
メイドさんとして奥様のお子さんを育てたとか言ってたしな。
「大丈夫よ。私達にもすぐに機会は巡ってくるわ。でも今はミライちゃんとシャニの赤ちゃん……ジュンちゃんをしっかり育ててあげないとね」
「うん……。分かったよ! でも次は私達がママになる番だからね! ライト! 約束だよ!」
と約束されてしまった。
アーニャもなんだが、彼女も赤ちゃんが欲しいはずだ。
こっそりアピールされてしまう。
そうだな、ミライが少しだけ大きくなったら二人と子供を作るのもありだな。
完全に……と言っていいのか分からんが、リリの話では少なくとも1000年は異形は現れないだろうと。
それはマナブレイカーが爆発したことで大気中に気化したオリハルコンが飛散し、負の魔力が溜まるのを防いでいるのだとか。
それに
異形は形を成すエネルギーを失ったわけだ。
この世界に連れてこられて一年と少し。
ようやく安心して夜眠れる日がやってきたか。
「ライトさーん、ごはんですよー」
「ん? もう出来たか。ほら、二人もテーブルについて」
「はい!」「お腹空いちゃったよー」
家族全員で食事をする。
みんな笑顔で好きなおかずを口に運ぶ。
いつもはこれから異形の襲撃に備えてって、少しピリピリしてたが、今はそれも感じられない。
どこにでもある平和な食卓そのものだ。
「あいー」
「あら、ミライ。おかわりなの? ふふ、よく食べるね」
ミライもしっかり食べるようになったなぁ。
でもまだ寝る時はママのおっぱいを飲みながらじゃないと寝れないようで。
時々だが実は俺も……。
だが最近になって出が悪くなっている。
しばらくあの甘味が味わえなくなるのか。さみしいなぁ。
「ライト殿、そんな顔をしないで下さい。そのうち私も出るようになります。その時は是非御堪能下さい」
「お、おう」
とシャニがアピールしてきた。
それを聞いてみんなが笑う。
食事を終え、俺はリディア、シャニ、ミライと一緒に風呂に入る。
「ミライー。キレイキレイしようねー」
「んきゃー」
ミライはリディアに抱かれながらお風呂を満喫している。
シャニとの赤ちゃんともこうやって一緒にお風呂に入るようになるのかな?
「ライト殿、少し甘えていいですか?」
「あぁ、おいで」
シャニは俺の膝に乗ってくる。
残念だがシャニは妊娠したてだからな。
お腹の赤ちゃんのことを考え、最近エッチは控えている。
だからこうやってスキンシップを取っているのだ。
とはいえ、シャニの体は美しい。
引き締まった体に形の良い胸、そしてあそこには俺と同じものがついている。
うーん、いつ見てもエロい体だ。
――ツンッ
「ライト殿、大きくなっています」
「ははは、シャニが可愛くってさ。ごめんな」
「もう、ライトさんのエッチ」
「えっちー」
なんてことを言いつつ、みんなで楽しく風呂に入る。
そして俺達は寝る時間に。
「ライトさん、おやすみなさい」
「んきゃー」
リディアとミライは今日は自室で二人で寝る。
シャニも今夜は一人で眠るそうだ。
「リリ、よく頑張りました」
「隊長……。ありがとうございます」
「もう隊長ではありません。悪い癖です」
「う、うん、ごめんね、シャニ姉」
シャニはリリを抱きしめてから二階に向かう。
そして一階には俺とアーニャ、リリが残された。
「それじゃ寝ようか」
「うん……」「はい……」
寝室に入り二人を抱きしめ、優しくキスをしながら服を脱がす。
感度調整・改は発動しなかったが、俺は何度も彼女の胎内に……。
お互い果てを迎えた後はベッドの上で今後のことを話す。
俺はアーニャの髪を撫でながら。
「これからどうしようか?」
「分かりません……。でもライト様となら、何をしてもきっと楽しいはずですよ」
リリは俺の胸を枕にしながら。
「あのね、そういえばセタ様が話があるんだって」
「セタが? それじゃ明日にでも会いに行こうか。でも今はもう少し平和な夜を楽しもうか」
俺は外から聞こえてくる村民達の楽しそうな声を聞きながら、再び彼女達と体を重ねるのだった。
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