第114話 安定期☆

 ラベレ村はすっかり雪に包まれている。

 食糧問題を解決してから二ヶ月が経つ。

 だが村の活気は相変わらずといったところだ。

 あちこちから村民達の元気な声が聞こえてくる。


 俺は自宅に帰る前だ。

 今しがた壁の修繕を終え、村の中を歩いていると食堂から声をかけられた。


「村長ー」


 と駆け寄ってきたエルフの女性がいる。

 彼女はミァン。初期に保護した村民だな。

 ミァンは調理の責任者をしてくれている。

 元々は王都でレストランを経営していたらしい。

 彼女が作る料理は美味いものばかりだ。


 そんな彼女が何か俺に差し出してきた。


「もうすぐリディアちゃんの赤ちゃんが産まれるでしょ? 良かったらこれを使ってね」


 ミァンは瓶に入った液体を渡してきた。

 お祝いの酒かな? 


「ふふ、違うの。これは出産前にあそこに塗るのよ。リディアちゃんの負担が減るはずだから」


 へー、そんなものがあるんだな。

 どうやらこの液体はこの世界ではよく知られているものらしい。

 水草から作られたもので無味無臭、体内に入れても問題無いそうだ。

 先日研究班が作ったものらしい。

 なんでも俺達だけではなく村民達も妊娠する者が増えてきたそうだ。

 なので安全に出産してもらうためにこの薬液を作ったのだとか。


 つまりこれはローションなわけだ!


「あ、あのさ。これってもう一本貰えないかな?」

「え? 出産に使うにはこれで充分なはずよ? 他にアーニャちゃんとかに赤ちゃんが出来たの?」


 いや、違うのだ。

 出産に有効なのは嬉しいが、これがあればヌルヌルプレイが出来るだろ?

 俺はプロのお姉さんにお世話になったことはない。

 ローションを使ったヌルヌルを経験することなく死んでしまったのだ。

 なのでヌルヌルには憧れがあるのだー!


「もう、村長ったらエッチね。ふふ、まぁいいわ。ちょっと待っててね」

「すまん、助かるよ」


 ミァンは予備のローションをプレゼントしてくれた。

 むふふ、今夜はこれを使って楽しむとしよう。


 実はリディアは安定期に入り、お腹もかなり大きくなった。

 彼女も妊娠しているとはいえ性欲はある。

 せっかくだし久しぶりにどうかと誘われてしまったのだ。


 妊婦、そしてローション。

 こんな濃い要素を盛り込んで良いのだろうか?

 いいのだ! だってここは異世界だし!

 多少変態なことをしてもお縄につくことはないのだー!

 多分。


 なんて馬鹿なことを考えつつ自宅に到着。

 まだ昼なのでアーニャ達はいないな。

 

「ライトさん、お帰りなさい!」


 リディアも期待しているのだろう、飛び付いては激しいキスをしてくる。

 んー、情熱的なキスだ。スペインの人もビックリ。


「ぷはっ。あ、あのさ。良かったらなんだが……」

「はい! もうお風呂は入ってます!」


 準備出来てるみたいだね。

 なら俺も風呂に……と思ったがリディアに寝室に連れて行かれてしまった。

 

 リディアも久しぶりということでかなり興奮している。

 ベッドに座りながら自ら服を脱いでいた。


 裸になったリディアだが……。

 大きくなったお腹、そしてさらに大きくなった胸。

 でも妊婦さんとするのは初めてだしな。

 確か妊婦さんとする時に前からだと女性に負担がかかると聞いたことがある。

 

 本で読んだ知識だけど横向きがいいんだっけか?

 確かこの形が一番負担が少ないはずだ。

 こんな感じで久しぶりにリディアと一つになる。

 

 戦いを終え、もう一戦リクエストされたが赤ちゃんがビックリしちゃうからな。

 一回で止めておいた。


「ふふ、久しぶりにしちゃいましたね」

「だな。それにしても大きくなったね」


 リディアを後ろから抱きしめたまま、お腹に手を伸ばす。

 ここに俺とリディアの子がいるのか。


 ――ポコンッ


 あ、蹴られた。


「きゃんっ。暴れちゃ駄目よ。ふふ、あなたも早く出たいよね。もう少し待っててね」

 

 とリディアは俺の手を上に自分の手を重ねる。

 この世界にも十月十日という期間を経て子供は産まれてくる。

 つまり後二ヶ月もすれば産まれてくるということだ。


「男と女、どっちなんだろうね」

「ふふ、ライトさんはどっちがいいですか?」


「それは神様にお任せするよ。でもさ、人とエルフの子ってやっぱりハーフエルフとかになるのかな?」

「いえ、種族が混ざることはありませんよ。より血の濃い種族として産まれてくるはずです」


 そうか、でも人でもエルフでも構わないさ。

 俺達の子ならどっちでも可愛いはずだからな。

 

 もうすぐ俺も父親になるのか。

 そんなことを考えながらリディアのお腹を撫で続けるのだった。


「ふふ、久しぶりに楽しんじゃいましたね。ベトベトです。良かったらお風呂に入りませんか?」

「いいね。それとさ、ミァンからこんなものをもらったんだ。ちょっと試してみようか?」


 せっかくなのでローションを使ってお風呂に入ることに。

 リディアも興味津々だったようでお互いの体にヌルヌルを塗りつける。

 

「あはははは! くすぐったいです!」

「うおっ!? こ、これは!? ヌルヌルだー!」


 何この新感覚?

 ヌルヌルしているうちに気分が盛り上がってしまい……。

 最後に一度だけお風呂で楽しむことに。

 ちょっと興奮し過ぎてリディアのをいっぱい飲ませてもらった。

 何を飲ませてもらったのかは秘密だ。

 でもとても甘かったとだけ言っておこう。


「うぅ、赤ちゃんの分が減っちゃいました」

「ははは、ごめんね。ならいっぱい食べて赤ちゃんの分を作らなくちゃ」


 なんてことを言いながら久しぶりに平和な時を過ごすのだった。

 


◇◆◇



☆次の大規模襲撃スタンピードまで残り25日。


☆総配偶者満足度:3,264,589/10,000,000


☆総村民満足:6,861,620/100,000,000

・総村民数:3,234人


☆現在のラベレ村

・各敷地はオリハルコンの壁で囲み、ポータルでの移動が可能となっている。

・居住区:500,000㎡

・農地:500,000㎡

・養殖場:500,000㎡

・牧草地:500,000㎡


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