第109話 冬に向けて 其の二
夕方になりシャニとリリが帰ってきた。
リリは気温が下がってきたせいか震えながら家に入ってくる。
「うぅー、寒いよー。ねぇライト。お風呂に入ろーよー」
「駄目です。今日は私の番ですから」
「シャニ
「なんと言われようとも駄目です」
異形に囚われる前は上司部下だった二人だが、今では本当の姉妹のようだ。
竿姉妹なんだけどね。
まあ仲が良いのはいいことだ。
「二人共お帰り。新しい飲み物を作ったんだ。飲んでごらん」
「ありがと!」
「これは……。美味しいですね」
とシャニはテンション低めだが尻尾の動きでとても喜んでいるのが分かる。
ココアは好評のようだ。きっと村民も味を気に入ってくれるだろう。
生産量を増やすように言っておかないとな。
「あれ? あの壺は?」
「あぁ、あれね。食べ物なんだけどまだ出来上がってないんだ。明日には食べられるはずだ。ちょっと我慢しててな」
「楽しみです。ライト殿が作るものは何でも美味しいですから」
ははは、期待しててくれ。
今日は早くにみんなが帰ってきたので自宅で夕食を作る。
食堂で食べるのもいいんだけど自宅で家族と一緒に食べる夕食が一番美味い。
まぁ日本で生きていた頃は恋人こそいたが結婚はしてなかったしな。
異世界で手にした家庭が人生初の俺の家庭となる。
妻は全員異世界人なんてな。人生何が起きるか分からないもんだな。
美味しい食事を食べつつ冬をどう過ごすかを話すことにした。
うちの嫁の一人には発明家もいるしな。
もしかして暖房器具とか作ってくれるかもしれん。
「なぁリリ。ちょっといいか?」
「んー、なーに?」
リリは箸を使い焼き魚を口に運んでいたところだった。
器用だなぁ。シャニなんか未だに箸の使い方が下手なのに。
「あのさ、この世界って暖房器具とかってあまり発展してないんだろ?」
「そうだねー。一応あるにはあったけどここまで寒い気温には対応出来ないだろうね。石壁があれば暖炉は作れるよね。でもそれだけで耐えられるかなぁ?」
「だったらさ、コタツなんかどうた?」
「コタツって何?」
むふふ、コタツというのは悪魔の発明品の一つだ。
地球でもコタツは日本人だけではなく他の国の人達を駄目にしているらしい。
用意するものは足の低いテーブルと毛布。
それとどうやって熱源を確保するかが鍵なんだよなぁ。
「石炭とかどう?」
「んー。一酸化炭素中毒になりそうで怖いなぁ。別の方法を考えようか」
「なら火の魔法とかどうですか?」
「駄目よアーニャ。火の精霊は乱暴だから。火事になるかもしれないわよ」
うーん、中々いいアイディアが浮かばないな。
――カーン カーン カーン
ん? そろそろ時間か。
「みんな、話は後にしよう。異形が来るぞ」
「はい!」
「いつも通りですね」
リディア以外は戦いの準備を始める。
その様子を見て彼女は少しだけ切なそうな顔をしていた。
「ごめんねみんな。私も戦いたいんだけど……」
「ふふ、今は大切な時ですから。お腹の赤ちゃんのためにも大人しくしててくださいね」
「そうだぞ。もう一人の体じゃないんだからさ。大丈夫、すぐに帰ってくるよ」
「五分で終わらせます」
と最後にシャニがしめてくれた。
でも最近では本当に五分で異形を撃退することも出来るようになったしな。
そう思うと俺達も強くなったと実感してしまうな。
各々配置についたところで……。
「撃てー!」
――バシュッ! ズゴォォォンッ……
カタパルト砲が発射され、聞こえるのは着弾時の轟音のみ。
異形の悲鳴すら聞こえてこないのだ。
最近はもうこんな感じで壁に到達する前に襲撃は終わる。
これはもう次の
「うー、やっぱり寒いねー。早く帰ってお風呂に入ろうね!」
「だから今日は私の日だと言っているでしょう」
なんて会話をしつつ自宅に戻る。
確かにリリが言う通り体が芯まで冷えたようだ。
「お疲れ様、お風呂は沸いてますから。入ってきてくださいね」
リディアが着替えを渡してくれた。
シャニも一緒に風呂場に向かう。
寒かったのか、彼女のアソコも小さくなっていた。
「そ、そんなに見ないでください」
「ははは、ごめんね。それじゃ入ろうか」
しっかり体を洗ってから二人で湯船に浸かる。
うぅ、暖まるなぁ。冬場の風呂は最高だな。
「ふぅ、気持ちいいです。ライト殿、膝に乗ってもいいですか?」
「いいよ。おいで」
シャニは正面から俺の膝に乗ってくる。
おや? ちょっと大きくなっているではないか。
シャニはデリンジャーを俺のマグナムに擦り合わせてくる。
ちょっと気持ちいいぞ。
「気持ちいいのはお湯だけのせいかな?」
「意地悪を言わないでください。そんなことを言うライト殿は嫌いです」
と言って俺の耳をカミカミしてくる。
可愛かったのでそのままお風呂の中でしてしまった。
お風呂の中でするとお湯が減るから後で足しておかないと。
「気持ち良かったです。次はベッドの上で可愛がって下さい」
「もちろんだ……? ん? ちょっと待ってくれ」
何かいいアイディアが思い付いたような……。
風呂……。お湯……。お湯? お湯だ!
――ザバーッ!
「
「わわっ。どうしたのですか?」
いかん、つい興奮してしまった。
「シャニ、悪いが風呂を出てくれ。寒い冬を乗り切る方法が見つかったぞ!」
急ぎ着替えてからリビングに。
リディア達はココアを楽しんでいるところだった。
「どうしたんですか? 大声が聞こえてきましたけど」
「むふふ、暖房器具でいいアイディアが浮かんでね」
俺はみんなに何を思い付いたのか話すことにそた。
「それなら安全ですね!」
「やってみましょう!」
「素材は何を使えばいいのかな? でもやれそうだね!」
俺の考えを聞いてリディア達も賛成してくれた。
そして翌日、俺達は冬を乗り切るとある設備を制作に取りかかるのだった。
◇◆◇
☆次の
☆総配偶者満足度:10117932/10000000
☆総村民満足:6005653/100000000
・総村民数:2995人
☆現在のラベレ村
・各敷地はオリハルコンの壁で囲み、ポータルでの移動が可能となっている。
・居住区:500000㎡
・農地:500000㎡
・養殖場:500000㎡
・牧草地:500000㎡
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