第107話 新しい村作り

「ライトー。起きて」

 

 リリの声で目が覚めた。

 まだ暗いな。日の出前だ。

 

「んー、おはよリリ」

「ふふ、おはよ、寝坊助さん。ほら、今日は湖まで行くんでしょ? 早く起きなくちゃ」


 だな。今日は湖の畔に向かい農業、漁業、牧畜専用の村を作りに向かう予定だった。

 ベッドから出ようとするが……。

 

 ――ヒヤッ


 うわ、大分寒くなったな。

 季節は秋といったところで森の木々は葉を赤や黄色に変えている。

 三ヶ月後には冬が来るとデュパは言ったが、もしかしたらもっと早いかもしれないな。

 寒いので少しだけリリを抱いて暖を取ることに。


「きゃんっ。もう、朝からなんて駄目だよぅ」

「いや、その気はないぞ。大きくなってるのは生理現象だから」

 

 むしろリリの方がその気になってしまった。

 そのままベッドに潜り小さなお口で一生懸命ペロペロしたりパクってしたり。

 うーん、慣れたと思ってはいたが、やはりこの背徳感はたまらない。

 幼女にされているようで興奮してしまう。

 まぁ彼女は35歳らしいので事案にはならないだろう。

 合法ロリ万歳。


 なんてことを考えつつ一度だけリリとイチャイチャすることに。

 ふう、大分体も暖まったな。

 ようやくベッドから出てリビングに向かうとリディア達だけではなくデュパもいた。


「グルル。お前らは猿か。朝から睦みあってからに」

「ははは、すまんな」

「き、聞いてたの?」

「ふふ、リリに赤ちゃんが出来る日も近いかもね」


 とリディアが言う。

 もちろんリリだけではなくアーニャやシャニとの子供だって欲しいよ。

 でもそれはやはり異形を倒してからのほうが望ましいしな。

 産まれてくる子供達のために異形のいない時代を作らねばならんのだ。


「よし、それじゃ行こうか!」

「今さら気合いを入れるな。私達はもう待ちくたびれた。朝から一時間も睦みあいおって」


 ごちるデュパと妻達と共に村を出る。

 湖の畔は50㎞先だ。フルマラソン以上の距離がある。

 まぁ帰り道はポータルを村に繋げれば一瞬で戻れるからな。


「リディアさん、乗ってください」

「いつも悪いわね」


 アーニャは妊娠しているリディアを気遣い彼女を背に乗せる。

 足はアーニャが一番速いからな。

 さすがはラミア、蛇の尻尾を持つだけある。

 体力的に劣るリリもついでに乗せてもらうことになった。


 しかし体力的に劣ると言っても、今のリリのステータスは現役の頃のシャニ以上らしい。

 自分の力が上がっていることを知ったリリは驚いてたしな。


「ではライト様、先に行ってますね」

「お茶を用意しておくねー」


 なんてリリは気楽なことを言って湖に向かっていった。

 それじゃ俺達も行こうかね。


「よし、走るぞ!」

「グルル、お前達についていけるか心配だがな。化物のような体力をしよってからに」


 俺達はアーニャに追い付くように走り出す。

 自分達ではジョギングする程度の速さで走っているつもりだったが、朝日が昇る頃湖が見えてきた。

 ふー、中々疲れたな。いい運動になったよ。

 でも50㎞を一時間半で制覇か。オリンピックに出れば金メダル間違い無しだな。

 

 湖の畔はかつてここに住んでいたということもあり綺麗に整地されている。

 特に木が新たに生えていることもない。

 壁さえ建てればすぐに村として機能するだろう。


「ライトさーん、こっちでーす」

「早かったですねー」


 リディア達は岸で焚き火を起こしお茶を沸かしていた。

 少し疲れたので休憩することに。


 お茶を飲みつつ今日の予定をみんなに話すかな。


「今日中に三つの新しい村を作る。まぁ壁を建てるだけの簡単な仕事だけどな。でも今回は複数だしそれぞれがかなり広い。今のラベレ村と同規模のものを作るんだ」

「村と同じ広さですか……。それなら食糧問題も一気に解決しそうですね!」

「ライト様、提案があります」


 シャニが意見を言ってくれる。

 彼女は動物の生態に詳しく、家畜には適度な運動が必要だと。

 平坦な場所よりもある程度起伏があった方が良いそうだ。

 

「なら滝の上とかも敷地に加えるか?」

「そうですね。あそこならば家畜の運動不足も防げますから」


 農地は湖から少し離れた平地、養殖場は湖の畔、牧畜場は滝を含む起伏のある土地を選んだ。

 各敷地はラベレ村と同じ広さだ。

 農地から始まり牧畜場、そして養殖場と続く。

 それぞれをオリハルコンの壁で囲うといつもの天の声が聞こえてきた。


 ――ピコーンッ


【未所有の土地が一定時間壁で囲まれました。これらの土地を敷地にしますか?】

(YES。敷地内成長促進をアクティブにしておいてくれ)


【受け付け完了】


 ふう、これでようやく新しい村の完成だ。

 やはり時間がかかったな。全ての作業が終わる頃にはもう夕方になっていた。


「グルル。間も無く夜が来るぞ。早く戻らねば異形がここにもやって来る」


 歩いて帰るなら異形と鉢合わせになるだろうな。

 でも俺達にはポータルっていう便利な能力がある。


(各拠点にポータルを設置)

【受け付け完了】


 ――ブゥンッ


 目の前に渦が現れる。

 これを発動するのは久しぶりだ。


「これで良し。それじゃ帰ろうか」

「はーい! お腹空いちゃったよ。今日は食堂でごはん食べようね! 先に行ってるね!」


 まずはリリがポータルに飛び込む。

 彼女を追って俺達もポータルに入ると、一瞬でラベレ村に到着した。


「うわぁ、や、やっぱりすごいですね」


 アーニャはポータルの性能に驚いている。


「だな。もしかしたら俺の力の中でも一番のチートかもしれん」


 要はどこ○もドアと同じ力だからな。

 未所有の土地を壁で囲いさえすれば一瞬で移動出来るのだ。


「ライト殿、リリが待っています。私達も食堂に向かいましょう」

「あぁ、俺もお腹が空いたよ。みんなは何が食べたい?」


「トンカツです!」

 

 リディアは妊娠してから揚げ物が好きになったからなぁ。

 今では俺よりも量を食べるようになった。


「おでんが食べたいです!」


 アーニャは毒に侵されている時におでんにハマったようだ。以前から好きだったようだが俺との思い出の味になったそうで。

 食堂ではいつもおでんを頼む。


「やはりラーメンです。今日は家系にします」


 俺のアイディアなのだが、今では醤油、味噌、塩、豚骨に家系など様々な味を楽しめるように。

 特にシャニは家系がお気に入りだそうだ。

 残った汁を卵かけごはんにかけて食べるのが最高なんだとか。


「グルル。やはりパスタだな。今日はジェノベーゼにするか」


 見た目は蜥蜴のくせに。

 なぜかデュパは一番グルメなものを好むのだが。

 ついこないだまで魚を丸飲みしてたのになぁ。


 ――そしてその翌日。


「おー、これがポータルってやつか」

「この先に新しい畑が繋がってるんだっけ?」

「すごいわね。信じられない……」

「村長って本当に何者なんだよ?」


 なんてことを言いつつ村民達はポータル出勤をしていった。

 様子を見に行ったが、新しくさらに広くなった畑や牧草地を喜んでくれていたので安心したよ。

 

 みんな頑張って働いてくれよ。

 もうすぐ冬が来る。その前にしっかりと蓄えておかなくちゃいけないからな。



◇◆◇



☆次の大規模襲撃スタンピードまで残り90日。


☆総配偶者満足度:1009701/10000000


☆総村民満足:5995258/100000000

・総村民数:2970人


☆現在のラベレ村

・各敷地はオリハルコンの壁で囲み、ポータルでの移動が可能となっている。

・居住区:500000㎡

・農地:500000㎡

・養殖場:500000㎡

・牧草地:500000㎡



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