第102話 コンニャクの効果☆

 病気に苦しむアーニャと村民のためにおでんを作ることになった。

 病人食と薬だけでは気が滅入ってしまうだろう。

 心の健康を保つのも病気に打ち勝つ一つの方法だ。


 リディア達とおでん種の製造を任せているデュパが保護施設前まで来てくれた。


「グルルッ。お前は元気そうだな」

「まあな。でも感染はしたままだからな。あんまり近づかないでくれよ?」

「アーニャはいいなー。ライトさんとおでんが食べられて」

「ライト殿。私は牛スジとコンニャクときんちゃくが好きです」

「私はハンペンとちくわとコンニャクー」


 ははは、分かったよ。元気になったらみんなでおでんパーティーをしような。

 リディア達が持ってきてくれたおでん種と薬を持って保護施設に戻る。

 

 さてと、それではリクエスト通りおでんを作るとするか。

 とはいっても醤油味の出汁で種を煮るだけだからな。

 簡単お手軽料理なのである。


 鍋に火が入るといい香りが漂い始める。

 大根に箸がスッと入るようになったら完成だ。

 まずはアーニャが食べたいと言った大根、ちくわ、コンニャクをよそい彼女のベッドに。


「アーニャ、出来たよ」

「はい……。ありがとうございます……。ゴホンッ」


 彼女の咳は相変わらず青い。これが感染している証拠なのだろう。

 俺も症状が悪化したら青い咳をするようになるのだろうか?

 

 そんなことを考えつつ小さめにおでんを切る。


「何から食べたい?」

「大根を……」


 火傷しないように息をかけて冷ましてから彼女の口に運ぶ。

 弱々しくながらも彼女は嬉しそうに食べてくれた。


「ん……。美味しいです。次はコンニャクをお願いします」

「はいよ。熱いから気を付けてな」


 コンニャクは切り辛いので噛ってもらう。

 その後もちくわ一本を平らげて器の中は空になった。


「ふぅ……。美味しかったです……。早く良くなってみんなとおでんが食べたいですね……」

「ははは、この食欲ならすぐに良くなるんじゃないか?」


 まさか完食するとは思わなかったよ。

 その後も村民達におでんを食べさせる。

 最後に残った具材を俺が食べて鍋は空になった。


「しっかり食べたな。これからも何か食べたい物があったら遠慮無く言ってくれ」

「はい……」


 アーニャ達は弱々しく笑う。

 しかし彼女達の笑顔は久しぶりに見たな。

 少しだけ安心した。


 その後も看病を続けていると夜が来る。

 もう寝る時間だな。

 ランプの灯りを消して俺も一人ベッドに横になる……前に。


「ライト様……。こっちに来て下さい……」

「アーニャ? どうした?」


 アーニャが俺を呼ぶ。トイレとかかな?

 彼女のもとまで行くと蛇の尻尾を巻き付けてベッドに引き込まれた。


「ふふ……。たまには一緒に寝ませんか?」

「こら、病人なんだから大人しくしてなさい」


「お願いです……。今日は私が寝るまで髪を撫でて下さい……」


 アーニャはそんなお願いをしてきた。

 うーん、いいのだろうか。

 どうせ俺も感染してるし、アーニャもいつ治るのか不安になっているのだろう。


 リクエスト通りアーニャと寝ることにした。

 彼女の髪を撫でつつ、軽くキスもしておいた。


「ん……。良くなったらいっぱい可愛がって下さいね……」

「あぁ、治ったら丸一日アーニャとエッチするよ。約束だ。いっぱい楽しもうな」


「ふふ……。嬉しいです……。ねぇライト様、私とライト様の子ってどんな子になるんでしょうね……」 

「決まってる。女の子ならアーニャに似てきっと美人になるさ。男だったら俺に似てエッチな子になったら困るなぁ」


 なんてことを話してたらアーニャの寝息が聞こえてきた。

 俺も久しぶりに誰かと寝る暖かさを堪能しつつ寝ることにした。



◇◆◇



 ――ユサユサッ チロチロッ


 んー、なんか体を揺さぶられている。

 しかも頬を冷たい何かが這っているような。


「ライト様! 起きて下さい!」


 んん? 目を開けるとアーニャがベッドから出て俺を起こそうとしているんだが。

 っていうか、寝てなきゃ駄目だろ!?


「な、何してんの!? 病人なんだからベッドに戻……」

「治りました! 元気いっぱいです! 他のみんなだってそうです!」

「Arrrrray! 治りまkamisirov!」


 嘘!? いきなり全員元気になったの!?

 おかしいぞ、薬を飲んでも一向に良くならなかったアーニャ達がここまで元気になるとは。

 

 ちなみに薬はラベレ村で栽培した茶葉が原料なのだが、かつての王都でもラベレ村の薬ほど効果が高いものは見たことがないそうだ。

 その薬ですら治せなかった毒が何故一気にここまで回復したのか。


「と、とりあえず落ち着いてくれ。一度ステータスを見てみよう」

「はい!」


 アーニャには一旦ベッドに座ってもらう。 

 確かに顔色はいいな。昨日とは別人のようだ。

 彼女のステータスだが……。



名前:アーニャ

年齢:???

種族:ラミア

力:230(+50) 魔力:0

能力:薬の知識

配偶者満足度:145259/1000000

状態:健康



 治ってる!? 状態から感染性疾患と猛毒が消えている!

 他の村民も見たが、状態は全て健康に戻っていた。

 昨日特別に効く薬とか飲ませた覚えはないぞ。


「あ、あのさ。昨日何か特別なことしたっけ?」

「おでんは食べましたが……。でも何故か特別にコンニャクは美味しかったように感じました」


 コンニャクが? でも確かに昨日はここにいる全員でおでんを食べた。

 ん? もしかしてだが……。


「ご、ごめん。ちょっと確認したいことがあるんだ。少し離れててな。壁っ!」


 ――プルルンッ


 小さめのコンニャクの壁を建ててみる。

 これが昨日のおでんのコンニャクの元になるわけだ。

 そういえばだよ、俺はコンニャクの壁ということでがっかりして詳しく調べていなかったのだ。

 コンニャクっていうのは昔から胃の中の砂を払うとか言われている。

 要は体内の有害な物質の滞在時間を減らす効果がある。ある意味解毒作用のある食べ物なのだ。

 俺の考え通りならば……。

 コンニャクの壁に向けて鑑定を発動する!



コンニャクの壁:体内に摂取することで万能薬エリクサーと同じ効果が得られる。



 思った以上だったー!?

 コンニャクがRPGでお馴染みのエリクサーと同じ効果なのかよ!?

 コンニャクの壁、今まで馬鹿にしててごめんなさい。


 と、とりあえずコンニャクのおかげでアーニャ達は救われた。

 しかしその効果が広まり、食堂では長く売上ランキング一位だったラーメンがおでんにその座を譲ることになった。


 そして晴れて退院した翌日。

 アーニャは約束だと言わんばかりに俺をベッドに引き込み……。


「はぁはぁ……。ずっと我慢していました。もう限界ですぅ!」

「アーニャさん、一回落ち着こうか」


 しかしアーニャは俺の服を破るように脱がせ……。

 もうやりたい放題にされてしまった。

 

 その後はリディア達も混ざってきて、ベッドの上は大乱○スマッシュブラザーズと化した。

 だがな! 最後に勝つのは俺だ!


(感度調整発動! 各自限界一つ前に設定!)

【受付完了。感度調整・改も発動しますか?】


 そんなことしたらベイビーが出来ちゃうでしょ!?

 さすがにそれはお断りしておいた。


「あひぃぃぃんっ!?」

「んひぃぃぃんっ!?」

「んきぃぃぃぃっ!?」

「ひぃぃぃぃんっ!?」


 ――ピコーンッ


【配偶者満足度が上限に達しました。成長ボーナスとしてポータル作成がアンロックされます】


 満足してもらえたようだ。



◇◆◇



☆現在のステータス

名前:前川 来人

年齢:40

種族:ヒューマン

力:350(+50) 魔力:0 

能力:壁レベル6(オリハルコン)

派生効果①:敷地成長促進・改

派生効果②:遭難者誘導・改

派生効果③:感度調整・改

派生効果④:A/P切り替え

派生効果⑤:モース硬度選択

派生効果⑥:XY軸移動

派生効果⑦:ポータル作成

配偶者:リディア、アーニャ、シャニ、リリ


名前:リディア

年齢:???

種族:エルフ

力:250(+50) 魔力:300(+30)

能力:弓術 精霊魔法(敷地内限定)

配偶者満足度:0/10000000


名前:アーニャ

年齢:???

種族:ラミア

力:300(+50) 魔力:0

能力:薬の知識

配偶者満足度:0/10000000


名前:シャニ

年齢:???

種族:コボルト(亜種)

力:250(+50) 魔力:150(+50)

能力:隠密

配偶者満足度:0/10000000


名前:リリ

年齢:???

種族:エルダードワーフ

力:150(+50) 魔力:200(+70)

能力:発明

配偶者満足度:0/10000000


☆総配偶者満足度:0/10000000

リディア:0/10000000

アーニャ:0/10000000

シャニ:0/10000000

リリ:0/10000000


☆総村民満足:52569/10000000

・総村民数:1085人


☆現在のラベレ村

・オリハルコンの壁

・敷地面積:60000㎡

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