第95話 コンニャク☆

 ――プルルンッ


 異世界であるのに食卓には何故かコンニャクの田楽が乗っている。

 これは新しい壁であるコンニャクの壁から作った料理だ。


「ライトさん、これは……」


 リディアが不思議そうな顔でコンニャクを突っついている。

 なんて答えればいいんだろう。村民満足度が上がって新しく作れるようになった壁がコンニャクだったとは。

 しかしアーニャはもうコンニャクの壁は見ているし説明しないわけにはいかん。


「あのさ、実はさっき村民満足度が上がって出来た壁がこれなんだ」

「食べ物ですよね?」


「うん……」

「なんでまた食べ物なんかが……。と、とりあえず食べましょうか」


 作り出したコンニャクの壁は村民に持って帰ってもらった。

 多少不審な目で俺を見ていた者もいたが。

 だが異世界の珍しい食べ物ではあるので概ね好評であった。

 試食会で作った田楽は美味しかったしな。


 リディア達も恐る恐るコンニャクを口に運ぶ。

 気に入ってくれるといいのだが。


「ん? 美味しいです! 味噌を甘くして味付けしてるんですね!」

「これは癖になりそうです」

「美味しい~。もう一つ食べちゃお」

「でしょ!? 私も気に入ってしまいました!」


 うちの女子達にも好評だ。

 うん、食べ物としては機能しているが、壁としては全く役に立たないぞ。

 次の大規模襲撃には鉄壁を使うしかないな。


 俺の不安を知ってか知らずか恋人達はコンニャクのお代わりを要求してきた。

 いいよ、別に壁なら出し放題だし。

 小さめのコンニャクの壁を建て、コンニャクパーティーにすることにした。  



◇◆◇



 翌日、相変わらず雨は降り続いている。 

 いつものように壁の補修や砲台の建設なんかをしていると。


「グルルッ。ライトよ、少しいいか?」

「デュパ? どうした?」


 俺に声をかけてきたのはリザードマンのデュパだ。

 それだけではなく何故か若い男衆が20人程デュパの後ろに控えている。

 種族は様々だな。森人エルフ蛇人ラミア犬人コボルト地人ドワーフだ。

 種族は様々ではあるが、この男衆は何故か似たような雰囲気をしている。

 どこか自信がなさそうな、そんな表情をしていた。


「実はな、彼らは適齢期なのだが番となる者がいない。気に入った雌はいるのだが経験が無いが故に自信が持てないそうだ」


 なるほど、つまり彼らは童……いや、はっきり言うのはかわいそうだな。

 んで、村長の俺に相談に来る訳って何?

 恋人斡旋業はやってないぞ。そんなの自分で探せ。

 そうデュパに伝えてもらおうとしたが。


「グルルッ。そこまでしろとは言っていない。この者らはな、コンニャクの触感があれに近いのではと言っているのだ」

「あれとは?」


「私の口からこれ以上は言えん。これのことだ」


 デュパは握りこぶしを俺の前に出す。

 そして中指と薬指の間に親指を入れてあるんだけど。

 っていうか異世界でもそのジェスチャーするのね……。

 確かに地球っていうか日本ではコンニャクを使った方法は昔っからあるしな。

 俺は試したことはないが、経験者が言うには中々具合がいいそうだ。

 うーん、壁とはいえ食べ物を粗末にするのはなぁ。

 

 しかし俺も男だ。彼らの気持ちは分かる。

 自信が持てない彼らのために予行演習をさせてやるのも村長としての務めなのかもしれん。


「グルル。彼らは言っているぞ。今度の大規模襲撃スタンピードでは命の危険もある。だからこそ死ぬ前に女と同じ感覚を味わっておきたいともな」

「はぁ……。分かったよ。でも食べ物を粗末にするのは良くないだろ」


 壁だけどな。

 仕方ないのでコンニャクの壁を建て、大きなブロックに切り分けてから村民達に渡す。

 みんなニコニコした顔で受け取ってくれた。


「グルル、皆礼を言っているぞ」

「あぁ、顔を見れば分かるよ。デュパ、お前もいるか?」


「いらん。田楽なら大歓迎だがな」

 

 デュパは奥さんがいるもんな。

 この蜥蜴ってなにげに他の村民から慕われてるな。

 やはり俺と言葉が通じるからだろうか?

 それにしてもエロいことっていうのは万国共通。みんな大好きなんだなぁ。

 まさか異世界人がコンニャクオ◯◯を思い付くとは。

 

 そしてその夜。今日はシャニの日だったのでベッドの中でイチャイチャしていると。


 ――ピコココココーンッ


「ん?」

「あんっ、ライト殿、どうしたんですか?」


 突然の音に、俺は動きを止めてしまう。

 シャニはもう少しでゴールしそうだったが、中断してしまったことでちょっとガッカリしたみたいだ。


「ごめん、なんかいつもの音が聞こえてきてさ。少し調べていいか?」

「ならば仕方ありません。少し休憩しましょう」


 なんてことを言いつつシャニはベッドに潜り俺のアレを……。

 休憩するって言ったじゃん。

 シャニに食べられつつ今の音について考える。

 配偶者か村民満足度が上がる度に聞こえる音だ。

 でもここまで連続で聞こえるのは珍しい。

 ちょっとステータスを確認してみよう。



☆現在のステータス

名前:前川 来人

年齢:40

種族:ヒューマン

力:200(+50) 魔力:0 

能力:壁レベル4(鉄)

派生効果①:敷地成長促進・改

派生効果②:遭難者誘導・改

派生効果③:感度調整

派生効果④:A/P切り替え

派生効果⑤:モース硬度選択

派生効果⑥:XY軸移動

配偶者:リディア、アーニャ、シャニ、リリ

総配偶者満足度:451208/1000000

総村民満足度:887524/1000000



 んん!? 総村民満足度がめっちゃ上がってるんですけど!?

 っていうか昨日上限に達したばかりだぞ!

 何か村民が喜ぶことしたかな?

 ま、まさか……。


「どうひたのでしゅか?」

「口に入れたまま話さないの。ちょっとこっちにおいで」


 俺は今日あったことを話す。ちょっと下世話な話ではあるがね。

 しかしコンニャクのおかげで一気に村民満足度が上がったことも事実。

 つまり自信の無い男子がコンニャクを使って気持ち良くなったため村民満足度が上がったのだ。

 みんな一斉に使ったんだろうなぁ。


「しかし一気に八割も上がるとは驚異的ですね。よほど気持ち良かったのでしょう。ライト殿、私も試してもいいですか?」

「えぇ……?」


 シャニも使いたいの? 

 ちょっと引いてしまったが、シャニは興味津々のようで。

 俺もその気になってきた。


 コンニャクブロックを用意し、切れ込みを入れておく。


「ライト殿、激しくお願いします」

「う、うん」


 やる気マンマンだね。

 俺はシャニの弾倉にマグナム弾を挿入し、そして大きくなった彼女のデリンジャーにコンニャクを……。


「~~~~~!?」


 聞いたことのない声が出た。


 ――ピコココココーンッ


【配偶者満足度が上限に達しました。成長ボーナスとして感度調整・改がアンロックされます】

【村民満足度が上限に達しました。成長ボーナスとしてオリハルコンの壁がアンロックされます】


 こんなんでいいのかよ。



◇◆◇



☆次のスタンピード大規模襲撃まで残り7日。


☆現在のステータス

名前:前川 来人

年齢:40

種族:ヒューマン

力:300(+100) 魔力:0 

能力:壁レベル6(オリハルコン)

派生効果①:敷地成長促進・改

派生効果②:遭難者誘導・改

派生効果③:感度調整・改

派生効果④:A/P切り替え

派生効果⑤:モース硬度選択

派生効果⑥:XY軸移動

配偶者:リディア、アーニャ、シャニ、リリ


名前:リディア

年齢:???

種族:エルフ

力:200(+50) 魔力:270(+20)

能力:弓術 精霊魔法(敷地内限定)

配偶者満足度:0/1000000


名前:アーニャ

年齢:???

種族:ラミア

力:230(+50) 魔力:0

能力:薬の知識

配偶者満足度:0/1000000


名前:シャニ

年齢:???

種族:コボルト(亜種)

力:200(+70) 魔力:100(+20)

能力:隠密

配偶者満足度:0/100000


名前:リリ

年齢:???

種族:エルダードワーフ

力:100(+40) 魔力:130(+30)

能力:発明

配偶者満足度:0/100000


☆総配偶者満足度:0/1000000

リディア:0/1000000

アーニャ:0/1000000

シャニ:0/1000000

リリ:0/1000000


☆総村民満足:0/10000000

・総村民数:1026人


☆現在のラベレ村

・鉄壁

・敷地面積:60000㎡

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