第44話 一気に人が増えたぞ

 配偶者満足度が上限に達し、俺は新しい派生効果をゲットした……のだが、一つははっきり言って役に立つものではなかった。


 なんだよ、感度調整って。

 要はあの時の感度を最大3000倍まで上げることが出来るらしい。

 退○忍かよ。ただでさえ感じやすい二人に感度調整を施せば命の危険があると判断した。

 実際リディアで感度2倍にして実験してみたが、そのおかげで毛布が酷いことに。

 

 しかしもう一つの派生効果は素晴らしいものだ。

 今までの派生効果の使用不使用を切り替えられるというものだ。

 これがあれば計画的に人員を増やすことが出来る。

 

 一緒に異形と戦ってくれる人が増えるのは嬉しいのだが、そのためにはまず足元を固めておかなければならない。

 しばらくは拠点の発展に集中出来るということだ。


 先日森の奥で大きな滝を見つけた。

 そこには湖があり、水路を引けば飲み水には困らなくなる。

 やることリストの一つが解決出来るかもしれないのだ。


 ちなみにこれがやらなければならないことのリストだ。

 確認のため、リディア達にもう一度説明する。


☆次の満月までに行うことリスト


・生活用水の確保:新たな水源を見つける。近くに泉はあるが水量が少ないので除外。


・穀物の栽培:ナババを主食とする。だがナババの栽培には大量の水が必要。生活用水確保と同時進行とする。


・衣服作成:植物性、動物性問わず生糸の確保を目指す。アーニャが衣服に詳しいのでプロジェクトリーダーに任命する。


・住宅建築:村民になる人員によって変化するが、一日一人増えるとして考える必要がある。しかし一人一棟は現実的ではないので、村民達と要相談。


・防衛対策:武器の作成。エルフは弓を作り慣れているが前回の襲撃で多くが使い物にならなくなった。今は竹を使った複合弓の生産を考えている。リディアをプロジェクトリーダーとする。


・娯楽:楽しく生活するには必要不可欠。とりあえず風呂に入れるようにはしたい。


「やっぱり湖を見つけたというのは大きいですね」

「そうね。食糧問題ならすぐに解決しそうね」

「ははは、気が早いよ。水路を作って水を通すだけでも時間がかかるだろうからね」


 だがなるべく早く水路は作っておかないと。

 近い内にデュパ達リザードマンがこの拠点にやってくるはずだ。

 たしかデュパの一族って20人はいたよな?

 今のところ、この拠点には俺達を含め10人しか住んでいない。

 それが一気に3倍になるのだ。

 

 次の満月まで後半月しか残っていない。

 これは優先順位を変更して取りかからねば。


「リディア、材料は用意する。弓と矢の作成を急いでくれ」

「はい!」


「アーニャはしばらく水路作りを手伝ってくれ。すまないが衣服については材料が手に入るまで延期だ」

「はい、衣服は材料が見つからない限りは手が出せませんから。でも精一杯ライト様をお支えします!」


 と可愛い恋人達は言ってくれた。

 


◇◆◇



 決意を新たにしたその翌日。

 なにやら壁の外から俺を呼ぶ声がした。

 グルグル言っているから誰が来たのかすぐに分かった。


 覗き穴から外を見ると、そこには大勢のリザードマンがいるではないか。

 そして一際体の大きいリザードマンが近寄ってくる。

 意外だな。もう少し時間がかかると思ってたよ。

 

「グルルルルッ。探したぞ。ずいぶん立派な集落だな」

「ははは、そう言ってくれて嬉しいよ。よく来たな。今開ける」


 デュパがやって来たのだ。

 皆、その手には大きな荷物を抱えている。

 持てるものは全部持ってきたのだろう。

 

 デュパ達は拠点に入るが、さすがに人口が3倍になったことでかなり窮屈になってしまう。

 これは拡張が必要だな。


「すまん。少しだけゆっくり座っててくれ。ちょっと拠点を広げてくる」

「グルルルルッ。押し掛けたのはこっちだからな。指示に従おう」


 デュパ達は地面にドカッと座り込む。

 リディア達にはもてなしの準備としてお茶を淹れてもらうことにした。

 すると小柄なリザードマンが手伝いを申し出る。

 見た目じゃ判断し難いが、多分デュパの奥さんだろ。

 良かった、元気になったんだな。


 それじゃデュパ達がゆっくり暮らせるように素敵な家を作ってあげよう!


 実は新しい住居については考えがある。

 一人につき、一棟建てるのは現実的ではないと思ったのだ。

 ここは広い平原ではあるが、住民の数だけ家を建てれば拠点を無駄に広くしなければならない。

 

 広いということは良いことばかりではない。

 防備に回す人を増やさなければならないからだ。

 櫓などの防衛設備、武器、管理する者。

 それらも広さに応じて増えていく。

 人を増やさなければ問題が解決するわけじゃない。

 人が増えたら今度は食糧に問題が発生する。


 要はバランス良く発展させていかなければならないわけだ。


 だから俺が建てようとする家はこんな感じだ。

 イメージしつつ発動!


【壁! 壁! 壁! 壁!】


 ――ズゴゴゴッ!


 壁が地面から勢いよく飛び出す!

 だがいつもの3倍程高い。

 安定性を保ち強度を高めるために竹を壁に✕印になるように張り付けておく。

 耐震構造だな。この世界に地震があるかは知らないが、俺は地震が怖いからしっかりした造りにしようと考えていた。

 まぁ地震が無くても強度が高いほうが安心して暮らせるだろ。


 家の大きさだが広さは10畳程度、高さは6メートルってところかな?

 

「うわー、すごい……。でもなんでこんなに高いんですか?」

「あれ、リディア?」


 リディアが横に立っていた。

 

「サボり? 駄目だぞ、ちゃんとお仕事しなくちゃ」

「うふふ。アーニャがここは見ておくからライトさんを手伝ってきてって」


 なるほど。ならいいかな。

 そのままリディアにも建築を手伝ってもらうことにした。


「でも私が手伝えることってありますか?」


 たしかにこの力は俺にか使えないからね。

 だが手伝ってもらうことはいっぱいあるぞ。


「意見が聞きたいんだ。俺一人だと考え方に偏りが出来るからね。気になったところがあったら言って欲しい」

「はい!」


 それでは建築の続きといきますか!

 家の中に入り上を見上げる。

 

「こうして見るとやっぱり高いですね。これからどうするんですか?」

「二階を作ろうと思ってね。壁!」


 ――ズズゥンッ


 横向きに壁が現れ、二階部分の床が完成。

 次だ。二階に続く階段だが……。どこに作ろうかな?


「リディアだったらどこに階段が欲しい?」

「んー、居心地を考えるなら奥よりも手前の方がいいかもしれません。だって一階で寝る人もいますから」


 なるほど。リディアの意見だと手前に階段を作ることで一階の住民のプライバシーを守るというものか。

 たしかに奥に階段があった場合、寝てる人がいたら二階に上がる時に気を遣うだろうしね。


「採用! リディア、貴重な意見をありがと!」

「ふふ、お役に立てて嬉しいです」


 壁を加工しつつ階段を作り、最後に二階部分の床に穴を開ける。

 まぁ作るって言っても壁って言うだけだから大した労力にはならんのだけどね。


 二人で二階に上がり、天井を作る。

 これでざっくりではあるが完成だ。


「リディア、ここまでで他に意見はあるか?」

「んー、そうですね。出来たら屋上に行ける階段が欲しいかもです」


 彼女が言うにはこれだけ高い家が建つのであれば今まで以上に日陰が出来てしまうだろうと。

 屋上があればそこで洗濯物を干せるというのが彼女の意見だ。


「素晴らしい! 採用!」


 というわけで二階から屋上に上がる階段も作る。

 落下防止として柵用の壁も作っておいた。

 ふー、とりあえずこれでいいかな?


「わー、すごいです! こんなに広い家に住めるなんて!」

「ははは、気にいってくれたみたいだね。嬉しいよ」


 だがまだ一棟建てただけだ。

 これから拠点を広げ、全ての住民のための家を用意しなくちゃ。

 

 太陽が西の空をオレンジ色に染め上げる頃、ようやく全ての作業が終わった。



◇◆◇



☆現在の総配偶者満足度:441/10000

・リディア:配偶者満足度:221/10000

・アーニャ:配偶者満足度:220/10000


☆総村民数30人

・エルフ:7人

・ラミア:3人

・リザードマン:20人


☆総村民満足:126/200


☆現在の拠点

・竹壁

・敷地面積:2500㎡(50m×50m)

・家屋:10棟

・倉庫:2棟

・畑:100㎡(10m×10m)

・作物:ミンゴ、芋、茶葉



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 ここまで読んで頂き誠にありがとうございます!

 お気に召しましたらご評価頂けると喜びます!

 更新速度が上がるかも!? ☆☆☆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る