第85話 イベント開始までなにしよう?

 僕達はお風呂に入り早めの朝食を取り、みんなで部屋に戻るとすでに掃除が済んでおり元の状態に戻っていた。…仕事が速い。


「うぅ…まだ入ってる感じだよー…」


「…歩くの大変だった。」


「お兄さん、見た目とは裏腹…だね?」


 3人とも、体格が小さいから余計に影響出ているんだろうなぁ…


「私達はそこまで…ではないわよね?」


「多少の痛みはありますが幸せのが大きいです。」


「心がほわほわーっとしてます!」


「昨日の夕食、精のつくものばかりでしたからその影響もありワタリさんがあんな風になったのかもしれないわね…」


 ラナさんが料理長に問い詰めないとって小声で言っていた。でも、それを食べていないと流石に7人を1夜では難しいと思うんだけど…あまり順番とか優劣は付けたくないし。まぁ対外的な部分で王女様からってなっちゃうけどね。


「僕としては長く生きているテオさんが経験ないってことにビックリしたかな…もしかして体が小さくなったからって思ったんだけどたどたどしかったし。」


 僕がテオに聞くとん-っと人差し指を口元にあて話してくれた。


「錬金術師ってのは基本的に引きこもりなんだよ。魔力の関係から弟子を取るのも女性だし、機会がないと思う。それに、極めようとするとよそ見出来ないんだよね…わたしは変わり者だったから外を色々と見て若返ることが出来たから今の状況を楽しんでいるけど…あ、ワタリ以外経験ないから安心してね!」


 テオが客観的に錬金術師に関して教えてくれる。最後の!僕は別に処女厨じゃないから気にしないよ!ただ、お互い好きなのに他に靡かれるともやもやするだけ!

 多分、現実で親からの愛情が足りなくて愛されたいって思ってしまうのかも…愛情より期待のが大きかったからしっかりしなきゃってずっと思っていたし。


「皆の好きーって気持ちがとても伝わってきて嬉しかったよ。ただ…今日はどうしよっか、皆の体の事もあるからあまり無理は出来ないし。アルファスはそこまで影響ないけど、王都は流れ人で溢れかえっているだろうから皆を連れていたら絡まれてしまうと思う。」


 皆、可愛いし綺麗だから絶対ナンパされるよね…?護衛をぞろぞろと連れて行くとそれも目立つだろうから…


「それでしたら私達が長期休暇で訪れる避暑地でゆっくりするのはどうでしょう!?イーリスちゃん、向こうの別荘大丈夫だよね?」


「…使うかなって思って行っても大丈夫にしてある、ぶい。」


 すでに準備された!?僕になにもプランがないことが見抜かれていた!?まぁ…イベントが始まるまでみんなと過ごそうって思っていたからそれを酌んでくれたのかもしれない。


「それなら行ってみようかな。避暑地ってことは涼しい場所だと思うんだけど、この時期だと結構寒いんじゃ?」


「大丈夫ですよ!肌寒いまでは行かず、一年を通してずっと涼しいってくらいで安定している土地なんです!少し高地なんですが今なら転移することが出来ますし移動が楽ですよ!」


 ラヴィがどんな場所か教えてくれた。高地で肌寒くならないってかなり過ごしやすそうだね。それと…転移の仕様ってどうなってるんだろ…


「すごく良さそうな場所だね。ただ、僕は行ったことがない場所だから転移出来ないと思うんだけど…」


「あら?ワタリ、大丈夫よ。流れ人は現地人と組むとリーダーの人が行ける場所に一緒に転移出来るの。それで、現地人は流れ人と組むとパーティー全員が一緒に転移出来るのよ。例えば、イーリスやラヴィがワタリと組んで、さらに私達を入れてくれたら全員で一緒に転移出来るって事なの。」


 ほほぉ…そういう仕様になっているのか。それなら僕が行ったことのない地域も行けるね。移動も旅行気分で楽しいから時間があるときは自分で地域を回るつもりだけど…今回は時間がないし奥さん達の体調も考えて負担がないようにしないとだもんね。


「そうなの?そこまで向こうの世界では情報が出てなかったなぁ…やっぱり、この世界の事は現地人に聞いたほうが分かって助かるよ。ありがとね、リディさん。

 それにしても…なんで他の流れ人は現地人と仲良くしないんだろ…」


 僕は疑問に思っていたことを口にした。


「この街アルファスは流れ人が一番最初に訪れる街で、領主である父にはギルドや街から意見が上がってきますの。それを目にしたことがあるのですが…下心満載で声をかけて来たり目線が胸や脚に向けていたりと女性でトラウマになられた方が多いの。配置替えなどして流れ人に関わらないように対処していらしたわ。娼館も結構な数ご利用されているのですが私達現地人を物の様に扱うので評判は悪いですね…」


 ラナさんが街の状況を教えてくれた。そんなことになっていたのか…流れ人の評判は悪いとは思っていたけれど結構深刻な状況になっているんだね。んー…なんとか力になりたいけど、流れ人に協力を仰ぐと何様のつもりだーってなるだろうし…

 インフルエンサーの力を使うとしたらあの子に声かけるべきなんだけどさ…リアルとほぼ変えられないキャラメイクだから向こうも容姿バレしたくないだろうからなぁ…ハロウィン衣装を送る際にちょっと話してみるかな。


「それに関して少し改善できそうな案はあるんだけど、相談相手が向こうの世界の女性?なんだよね…影響力がそれなりにある流れ人だから注意喚起として発信してくれれば…多少まともになるんじゃないかな。そうすれば皆みたいに流れ人と婚姻関係になる人も出ると思う。」


「そんな方がいるのですね。ただ、婚姻関係は増えないと思います…一夜限りなら分かりませんが…」


「私も現地人は現地人で結婚すると思います!流れ人はいついなくなるかわからないじゃないですか!」


 ラナさんとラヴィは婚姻者が増えないと思っている。確かに今流行っているゲームだからってことで人はいるけど、ゲームは衰退を繰り返すものだから他のゲームに流れる可能性もあるからなぁ…


「現地人は身持ちが硬い…よ?」


「…うん、目一杯尽くす。」


「そもそも親が許さないと思うわ。冒険者は地に足がついていなくて不安定な職だもの。現地人の女は現実的なのよ。」


 リディさん…確かにザインさんやアグスさんを見ると大きな収入があったらパーッと使っているイメージが湧くね…


「打算で近寄る人はいると思うよ?そこから関係が進むかは分からないけど…ただ、わたし達現地人は好きになったらその人のために頑張るかな!」


 テオが補足してくれた。尽くしてくれる女性は嬉しいけど、それに甘えるだけじゃなく僕も頑張らなきゃってなるから皆成長するんだろうなぁ。ゲーム的な考えで言うなら友好度や愛情度があってそれでAIが成長していくってことなのかもしれない。


 立ち絵や3Dモデル、モーションは僕が作っているけどVtuberに声かけって躊躇われるんだよね…人気があるなら余計にさ…でも現地人の方へ被害が抑えられるように僕もちょっとは頑張らないと!

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