第84話 昨晩はお楽しみでした?
思い立ったら吉日ということで次の日に結婚式は身内だけで行われた。関係者はイベントで忙しいかなと思っていたけど連絡したら王都に集まっているらしく、王城内の礼拝堂を確保してくれた…みんな行動が速い。
向こうの世界でのウェディングドレスはすでにこちらの世界に浸透しており、貴族達は確保済みであった。リディさんも自分で確保していてビックリした。なんでも、ワタリの事だからすぐ行動するでしょって…確かにその通りなんだけど。
指輪は兼ねてから構想をしっかり固めていたから錬金で整えて完成した。冒険に行く場合、安全を考慮したものをってことで転移装置に組み込む宝珠を使用したんだよね。圧縮と変形を用いて見様見真似のブリリアントカットを施した宝珠を台座に組み込み、魔力を通しやすいミスリルで指輪を作成した。
エンチャントは素材の力を引き出すものだから自由にあれもこれもって付けられないけれど…僕のブレスレットを起点とした個人用の指輪って感じに仕上がった。僕の所への転移って感じのね。消費魔力は用途を限定的にしたためかなり少ない。思った通り条件を付けることで強力になったりするんだね。
お偉いさん方が一同に集まって緊張したけれど指輪を薬指に通しキスをして恙無く終わった。式中は各両親とも娘の晴れ姿に目を潤ませていた。そんな中、魔王様が号泣したり女神様から祝福の啓示があったりして場が混乱したりしたが…うん、無事終わってよかった。
ちなみに、前に流れ人に作ってもらったロケットはデザインをそのまま使わせてもらい人数分そろえて各ウェディング姿のお嫁さんと僕を並ばせた絵をはめて式後に渡した。一生の想い出になるようにね。
そして現在、ベッドの上ではみんなが裸で寝ている。いつの間にか外は明るいし部屋の中には独特の匂いが漂っていたりと昨夜の痕跡がしっかりと残っている…初夜だったしちょっと張り切り過ぎた…向こうの体よりこちらの体のが魔力による回復で回数こなせたり相手に少量流すだけで昂揚したりとみんなして貪ったからなぁ…というわけで賢者タイム中。
今回のイベントですでに開催しているものは闘技大会の予選だっけ。品評会はまだ受付段階で展示されるのは3日後、オークションに至っては闘技大会決勝後だからまだまだ先だ。
僕はどれも参加しないし街の雰囲気を純粋に楽しみたいな。街中お祭り状態で食べ歩きするだけでも楽しそうだから退屈はしなさそうだし。流れ人的には各イベントの上位者には運営から賞品が出るから張り切っているみたいだけど、僕はゲーム外からの贈り物ってなるとこの世界に来たという気分から外れると思うんだよね…
とりあえず匂いを消して毛布を掛けてあげるかな。
「う…んん…」
皆に毛布を掛けているとジェミがもそもそと起きだした。あ、起こしちゃったか…
「おはようジェミ、体調は大丈夫?昨日は無理させちゃったけど…」
「あーワタリさんだーぎゅぅぅ…」
起きたというより寝ぼけてるな…抱き着いてきたジェミの背中をあやすように撫でていると安心したのかまた寝息が聞こえてきた。
僕はジェミをゆっくり引き剥がし、毛布を掛けた後に自分の服装を正し部屋から出た。廊下に出るとそこにはニナさんとロエナさんが控えていた。
「ワタリ様おはようございます。昨晩はかなりお楽しみでしたね。」
「ワタリ様って夜もすごいんですね…初めてのお嬢様方をあんなに啼かせるなんて。」
ニナさん…そのセリフってこちらの世界にもあるの!?皆初めてだったけど、雰囲気と今まで我慢していたものが爆発したんじゃないかなぁ…それでもジェミ、リディさん、ラナさん、ラヴィ以外の3人、つまりイーリス、テオ、アルルは体格からして小さいからきちんと解してからだったけどね。それにしても…テオが初めてだったのにはびっくりしたなぁ…若返る時に再生した可能性もあるけど。
お付きの2人に弄られるのも悲しいからなにか反撃出来ることはっと…お、これはもしかすると?
「大好きな人達との行為だし、楽しんだというより心の充足感が満たされたって感じかな。僕もここまで出来るとは思わなかったけどね。ニナさんとロエナさんもかなり楽しんでいたみたいだね?扉の左右に水たまりが出来ているんだけど、2人も外で同じようなことをしていたのかな?」
そう指摘すると今度はニナさんとロエナさんが顔を真っ赤にして俯いてしまった。
「…ワタリ様はいじわるです。そこは指摘しないで欲しかったですよ…」
「…ワタリ様は近しい人がお互いで慰めあうのはお嫌でしょうからそれぞれで致しました。私達もそういう性癖ではないので…」
屋敷に僕しか男がいないからみんなに苦労させちゃうかもしれない…それぞれがきちんと発散出来ればいいのだけど溜め込んじゃう人もいるだろうし。奥さん達と話し合う必要があるかもなぁ…特にニナさんやロエナさんは他の男性を相手にしなさそうだし。というか、屋敷に一緒に付いてきてくれたメイドさん達もか…
僕が考えていると付き人の2人は一礼をしその場から離れた。よたよたと去っていく姿を見て、どれだけ長い間扉の前にいたんだろうって思った。
この世界に来てから、沢山の人に頼られ、依頼をこなし、愛を深めあって、たまに考えることがある。これだけリアルな世界だから、向こうの世界でももしかすると大成したんじゃないかと…環境なのか世界なのか、何かボタンをかけ間違ってしまったのが向こうの状態に思えてしまう。結果と過程、こちらは過程をしっかりするほど結果に結びつくが、現実だと結果が全て。分かりやすくすぐ結果に表れないと行けないっていう所が僕には合わなかったのかなぁ…
僕はこちらの世界で過ごして一つ思ったことがある。奥さん達に向こうの世界を見せてあげたい。難しい話だけど挑戦してみる価値はあるし、何より僕を見てくれて癒してくれるこの世界の人達が好きだから。こつこつと進めてみるかな。とりあえずは皆を起こしてお風呂にでも入ってさっぱりしよう。
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