第48話 流れ人は攻略可能?(改訂版)

 ワタリ達が順調に攻略を進めるなか、他の流れ人達は…


「ちょっと!?誰よ罠踏んだの!」


「俺じゃねえよ!後ろからカチって音がしたぞ!」


「なんだよこれ!岩が転がって追ってくるとか映画の中じゃねえんだから!」


「って前!前!コボルトの群れがいる!」


「このまま走り抜けるしかねえだろ!あのT字路を左にいくぞ!」


「コボルトの数が多すぎる、このフロア中から集まってるんじゃねえか!?」


「うあああ岩がきたあぁぁぁ!ふぎゃ!?」



「ここは教会の前か…死んだなぁ…」


「ギャグみたいなやられ方するなんて…」


「お、お前らも全滅か?何階まで行けた?」


「地下2階までだな…罠と敵が悪質すぎる」


「俺達はまだ地下1階でもたついてるな…これ攻略出来るのか?なにかヒントかなにかあるんじゃね?」


「どうだろな…敵は集まってくるが1体1体は倒せるから罠にかからなければどうとでもなると思うぞ。」


「罠か…シーフとか職業ではないよな?なら器用が高い弓使いに探らせるべきかもな。明かりは治癒士に持たせるしか選択肢はないし。」


「ま、こっから情報が出てくれば攻略速度は上がるだろうし、気楽にやればいいか。」




「ザインさん、攻略速度が段々遅くなるのでしたら次はどのくらいで休憩をとる感じになるのですか?」


「そうだな、魔物が変わる14階で一旦仮眠をとって20階を目指したほうがいいと思う。セーフティエリアより眠りにくいが階段の途中では魔物がでないからそこで休むんだ。だから疲れがなかなかとれんがな…」


 それでも魔物が出ないってのは重要なんだろうな…あの階段で寝るのか…幅が狭いし段差も結構あるから辛いだろうね…きっちり休めるのがセーフティエリアだから、現地人だと探索→セーフティエリアに戻るってことで攻略してきたらしい。階が変わってもフロアが変わることはないが魔物は時間で沸いてきてしまうとのこと。入口でダンジョンが固定化されるってことかぁ、戻ってもフロアが変わる仕様だったらかなり厳しかっただろうね…


「地下11階からはアイアンゴーレムと鉄巨人という硬さや攻撃力の高さを持つ敵になっている。攻略法を知らないと無駄に武器を壊してしまうやつらだな。」


「なんかいかにもって魔物ですね…通常、硬い敵には槌で攻撃するイメージがあるのですが…」


「鉄巨人に関してはそうだな…なければ関節をうまく狙う必要がある。ま、2匹とも魔法的なもので動いているって言えばワタリなら分かるかな?」


 なるほど…動力部を狙えば大丈夫ってことか。ゴーレムってよくemethのeを削ってmeth(死)にするってあるからそれのようなものかな。


「ま、一回手本を見せるからそれ見て覚えてくれや。んじゃ地下11階に降りるぞ」


 僕達は階段を下っていく。こう、ベテランの人達について行くと簡単に思えるけれど、基本が出来ていないと突破するのが難しい設計になっているんだねぇ…


 思ったんだけど、設計的に現地人の為って気がするから女神様が噛んでいる気がする…色々な基本が終わるのが地下30階でそこから混ぜ合わせになってくんだろうけど、現地人は食料の関係でそこまでしか進めていなかったっていう説だね…


「ここからは罠も致死性の高いものになってくるから慎重にいくぞ、ワタリも魔法の観点からチェックを頼む。リディはどちらも見ないといけなくて大変だが頼むぞ。」


「分かっているわ、それにワタリの魔力感知は信用できるからそこまで負担にならないわよ。何か気づいたことがあったら教えてね?」


 リディさんの期待に応えられるように頑張らないとな…前のフロアに比べて通路が大きいのは敵が巨大だからなのかもしれない。とりあえず動いている魔力を探ってみるか…おー…結構いるね…遠くの方にも感じられるからやっぱりフロアが大きくなってるって分かる。動かない魔力がいくつかあるんだけど…これってどうなんだろ?とりあえず動いている魔力が3つ近づいてきているから言っとかないと。


「ザインさん、3体ほど奥から向かってきてます。魔力の感じからすると1:2で魔物がくる感じですかね…あと魔物の奥側ですが動かない魔力を感じます。」


「あぁ、こちらでも魔物に関しては察知した。リディ、罠はどうだ?」


「見た感じなさそうね。ワタリの感じている動かない魔力は多分罠の魔力供給源よ。人が罠の上を通った時にそこから魔力が供給されて罠が発動するの。だから供給源の魔法回路を壊してしまえば罠の解除ができるのよ。」


「なるほど…勉強になります…」


「お、見えて来たぞ!ゴーレム1に鉄巨人2だな。ワタリは魔力の流れを見ながら見学しててくれ!」


 僕は言われた通り魔力に重点置きながら戦闘を見る。まずはアグスさんが鉄巨人の注意を引いた。そこからザインさんがアイアンゴーレムの文字に傷をつけ、リディさんが火矢で加熱した。なるほど…表面に薄く魔力の膜があるから傷をつけて魔法防御を無くしそこに火矢を打ち込んで溶かしたのか…あの火矢そんなに温度高いのか…矢として圧縮しているからこその威力なのかもしれない。


 アグスさんの方は鉄巨人を回りながら翻弄していた。ゴーレムを倒したザインさんが2体を分断し、アグスさんが手でサインを送っている。そのサインを受けてリディさんが魔力の塊に矢を打つ。そこを目印にザインさんとアグスさんも追撃を行い、魔力の塊は無散した。

 なるほど…鉄巨人は魔力に注視すると鎧に血液のように魔力が這っているんだね。リディさんが攻撃を仕掛けた場所はその魔力の発生元、つまり起点となっている場所へ攻撃を加えることで流れを無散させるってことでいいのかな。これなら鎧を破壊する必要がないのか。魔力の扱いに慣れていないと起点を見抜くことが出来ないからリディさんは目印を付けたんだね。リディさんの矢も結構な威力だと思うけど追撃を行ったことから考えると無散させるために必要な威力がある程度必要なのかな?これ、魔力を狙わないとかなり苦労するんじゃない?


 僕は流れ人がこれらを突破できるのか不安になりながら女神様に祈るのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る