第49話 金属を攻略

「とりあえず攻略法は分かったか?」


 ザインさんが聞いてくる。一応魔力的な面から見ていたけど…


「一応大丈夫だとは思いますが…ゴーレムは表面の覆われている魔力を削ってから文字を破壊、鉄巨人は動力部の魔力を破壊って感じで合ってますか?」


「そこまで分かってるなら大丈夫だろう。鉄巨人は弱点がランダムだが魔力を無散させるのは打撃系の攻撃だと楽だぞ。俺達は剣や弓だからリディに矢を打ち込んでもらって傷を広げるために突きを主体って感じだな。」


「まぁ、あの鎧は硬いから大変だけどな…火力は高いが動きが遅いから見極めも難しくないと思うよ。」


 なるほどねぇ…動きは脅威ではないけれど当たったときの一撃がでかいのは結構怖いね…鉄をなんとか出来ればいいのか…衝撃に弱いなら岩を落としたりもいいけれど、魔力の起点を狙うのには向いてないし、僕が力方向を付けてしまったら補正がかかってしまうよね…鉄かぁ…腐食とか冷却とか?

 腐食は進行速度が遅いからダンジョンには向かないよね?錬金術で酸とか作れる気もするから時間あるときにやってみようかな。現実的なものは冷却か…

 たしか-200℃で冷却されると鉄は脆くなるとか聞いた気がする。剣とかもそうだけど、金属ってある程度軟性を持たせないと脆いから鉄単体じゃなく他を混ぜるってのもあるよね。

 あの鉄巨人が純度高いなら冷却された部分は簡単に割れるだろうからやってみる価値あるかも?ということは環境を冷却させればいいんだね。原子の運動を止めるって魔力を空気中に放出して干渉すれば行けるのかな…?まずは閉じた空間で試しにやってみてっと…あー…完全には止められないけれど限りなく近くはなるか…かなり冷気を感じるしいけるかも?ただ、熱がすごい吸われる感じがしているから、発動するときはPTメンバーを保護しておく必要あるかも…


「一応、対処方法は考えたのですが実際にやってみないと効果があるか分からないです…ただ、これって普通に魔法使いがやってそうな魔法な気がしてきますが…」


「お?どんなだ?…ワタリのやることだからやばそうだけどな。」


「周りの熱も奪いそうなので空間を遮断する感じになりますね…魔法を解除するときに影響がないようにするので大丈夫だとは思いますが。」


 魔力によって冷却するんだから、内部の魔力の濃度を変えれば温度は戻るだろうし…脆くする分には長くやらなくて大丈夫だろう。


「とりあえず、奥から来たみたいなのでやってみますね。僕が良いと言ったら攻撃してみてください。」


 僕は奥から向かってくる敵を補足し周りの魔力濃度をあげ原子に干渉していく。ここで僕らと敵を遮断しといてっと…これで遮断を解いたら温度差で凄い風が吹くんだろうなぁ…そろそろ大丈夫かな?干渉を解いて遮断している内と外の差を無くして…


「攻撃して大丈夫ですよ!お願いします!」


「あ、ああ…」


 僕に声を掛けられてはっとしたのかザインさんとアグスさんが攻撃しに行く。僕が集中している間に魔力の起点を確認しおわっていたのか的確に狙いに行っていた。

 そして一撃で起点と鉄が破壊され、2人が驚いていた。


「なぁワタリ…何をしたんだ?」


「え、たんに鉄を冷やしただけですよ?」


 アグスさんが今までになかったことで首をかしげて話しかけてきた。


「…氷属性の魔法でもここまで脆くなったことはないはずだが…そんな力を入れて攻撃してないぞ?」


「俺もそうだな…どんだけ冷やしたんだ?」


「えーっと…何も動けない絶対零度よりは温度はちょっと高いくらいですかね…魔力操作がもっとうまくなれば一瞬で凍らせることが出来ると思いますが…」


「ワタリってほんと規格外よね…そんな魔法使える人いないわよ…そもそもが氷は作れてもさらに温度の下があるとか気にしないと思うわよ?」


 あー…これは化学的な考えになっちゃうからこちらの世界では分からないのか。あまりこういう事はしないほうがいいのかな?一応、大丈夫かどうか女神様に聞いたほうがいいかもしれない…変に学問を持ってくると危ないかもしれないし。使いようによっては自爆技になりえるもんね。


「ま、これで先制とれるときはワタリにやってもらう事で楽を出来そうだな。頼りにしてるぜ?」


「いきなりきたら巻き込まれる可能性のある方法ってのが十分わかったからその時は普通に俺達で対処するよ。」


「適材適所ってやつね!ワタリ、魔力による補足と罠、任せるわよ!頑張ってね!」


 さすがに罠は手伝ってほしいよリディさん…一人だと責任に押しつぶされそうになって力が発揮できないかもしれないし…


 でも、ほんときちんと魔力操作をしていて良かったって思う…なかったらとれる手段が限られてくるし、戦闘職でも苦労するのが分かるもんね…罠に関しては実地でも教えてもらえてるしリディさんに感謝だよ。実際にやらないと覚えられないこともあるからね。


 ゆっくりな攻略速度だが、僕達は着実に下の階層へ進み地下14階と15階の境目へ到達した。でも…瞬間冷凍は結構疲労がたまるから、あまりしたくはないかも…次の階層から敵が変わるから助かったかな。

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