第50話 試練的ダンジョン
休憩をとった僕らは15階からの打ち合わせをした。
「こっから24階まで死霊系を相手にすることになる。まずは15-19階はゾンビやスケルトンなど肉体のあるやつ。21-24階はゴーストやリッチ、ネクロマンサーの組み合わせだな。ゴーストは肉体がないから魔法が有効だが、魔力を武器に帯させれば対処することも可能だ。ま、苦手な奴が多いだろうがな…」
なるほど…次は確実に魔法を使いこなせるよう誘導する感じになっているのか。ここまではあったら便利ってくらいだったけれど、必須になるんだねぇ…
「ゾンビは臭いし視覚的に嫌なのよねぇ…ワタリのシャワールームがなければ相手したくない敵よね…」
「だがスケルトンは逆に脅威ではないよな。数が多く武器を使ってはくるが…」
「だな。俺達なら大丈夫だろう。ネクロマンサーやリッチがゴーストと一緒に来た場合は注意しろよ?指揮系統がしっかりしているから危険なんだよ!」
やっぱりどの魔物も組み合わせ次第で難易度が変わるんだね…今回僕がサポートすべき点は臭い対策かな?消臭って聞くと炭とか良いっては聞くけど、今回は無理か…
腐臭って空気より重いのかな?ということは冷気を下に引けば上に臭いは上がってこない…?
いや…戦闘で動くとしたら攪拌されて逆にやばそうだ…無難に追い風を作って対処がいいかもしれない…まぁ、臭いはそれでいいけどゾンビを相手するときに飛び散るものに関してはどうしようもないな…
「とりあえず、僕がすべきことは分かりました。引き続き罠の発見と明かり、それと効果があるかわかりませんが追い風で腐臭を追いやる感じでやってみますね。」
「おう、それだけ出来れば十分だ。というか戦闘職でもそこまで役割こなさないぞ?」
「僕はそこまで戦闘に参加しませんし、魔力が余ってますからね…11-14階は結構きつかったですが…」
「普段より消耗が少なかったからこれからは私達が頑張るから大丈夫よ!」
打ち合わせが終わり、地下15階へ足を踏み入れた。
うわ…近くにゾンビがいないのにこの臭いはきつい…白檀や伽羅があればお線香として焚くのもありかもしれないけど…香料とかこの世界はどうなっているのか分からないし、死者への扱いも分からないからなぁ…ゲームだと回復魔法や蘇生アイテムで一撃とかお約束だけど…
とりあえず、微風で奥に追いやってと…これ、ずっと嗅いでると士気にかかわるよね、気が滅入ると思う。魔物の脅威より環境が敵というね…
それにしても…この階からやけに罠が増えてない?11階からは罠の致死性が上がったけれど、ここからは数が増えてきている…油断も出来ないなぁ…一応、罠を発見したらリディさんに報告して、解除が出来ているかの確認をしてもらっている。複数での確認は大事だよね。全員が流れ人なら笑い話で済むかもしれないけど、現地人がいると気が抜けない。
「ワタリ、魔法系の罠解除上手ねぇ…そこまで魔力の扱いが上手な人、ほんと居ないわよ…歴史に名が残るかもしれないわね。」
「僕は流れ人だから単に成長が早いのと、最初に手ほどきしてくれた師匠のおかげですね、そのおかげで今の僕があるようなものなので。」
「ここまで出来ないと錬金術師はダメなのかって思うほどだよな…ある意味、人が少ないのが分かるというか。」
「でも、錬金術師だけでは成り立たないのですからどの職業の方も必要ですよ。痒いところに手が届く職というのが錬金術師ってことです。」
「なんとなく分かる気がする。どの分野にも少しずつ関わっているからこそってやつだな。」
「そうね。でも、魔力を使っていない罠の見極めは甘いわね。私もしっかり教えるから上達してね?」
すみません…魔力に重点置きすぎておざなりになっていました…巧妙に色が違う床やでっぱりとか、ダンジョン慣れしていないとそれが普通なのかもって思っちゃうのがいけないのだろうけれど…宝箱の罠は大体魔法系に属するからそこまで苦じゃないんだよ?鍵開けは出来ないけれど…
「魔力に頼りすぎなんですかね…もっと視野を広くしたら物理的な罠の発見が出来るとか…?」
「私としてはどんな罠の種類があるのかを学ぶことが重要と思うわ。さすがに鍵開けはそれなりにパターンがあるから何とも言えないけど…道具の使い方などは練習で上達するし。だから罠解除は知識って言えるわ。ただ、組み合わせられていたりもするから1つ解除しただけでは安心したらダメよ。連動しているものだってあるんだから。」
なるほど…確かに罠を仕掛ける側だったら解除することで発動する罠とか設置しやすいよね。順番があったりとかさ。僕がダンジョン作るならそんな風に配置するし。
「そういえば、落とし穴などは次の階層につながっているんですか?」
「あー、あれは繋がっていないって話だな。階段を下りる高さより低いらしい。多分落ちた先にトゲとか即死系の罠があるんだろうな。もしくは異空間に飛ばされるとか。そもそも、上がってくることが難しいから餓死するしかなさそうだが…」
それは苦しいね…一瞬で死ぬわけじゃなくジワジワとってのが…こんな話をしながらも3人は余裕をもってゾンビとスケルトンを相手にしている。リディさんは僕の隣から弓や魔法を使いながら援護しているけれど、ザインさんとアグスさんはゾンビが出るたびに顔をしかめている。どんなに注意していても服につくもんね…僕の風は臭いまでしかカバー出来ないよ…
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