第56話 迷路って精神的にくるものがある

 迷路フロアを甘く見ていた…地図が自動で出来るから安心していたけど広すぎる…一応、正解ルートが一つではなく通路が交わるところがあるからまだマシだけども現地人だけでは確かに攻略が難しいのが分かった。素早い敵、道具を使う敵、それを指揮できる存在と油断も出来ない魔物ばかりで休まる暇がない。


 現在33階に降りる階段で休憩をとっている。


「まさかここまで迷路フロアが大変とは思いませんでしたよ…」


「確かに気が滅入るわよね…前に来た時なんて途中で引き返したわ。準備もなくここを突破するのは難しいわ…」


 僕の意見にリディさんが賛同した。前にも来た事があるってほんとザインさんのパーティーは優秀なんだなぁ。


「前は31階で帰ってしまったからな、今回で記録更新している。それに、傾向がつかめたから次からはさっさと次の階層いって大丈夫そうだ。」


「お?アグス、なんか気づいたか?」


「ああ、宝の配置が正解ルート上にあることが多い。通路から外れているものは大した宝物ではないな。」


「通路の途中で宝箱が現れるから罠かと思ったわよ最初。でもそれが続くから何かあるのかと思ったら、そうだったのね。」


 確かに…でも通路の途中にある宝箱は罠解除したら出現したり壁が壊せる場所になってたりだから隠し宝箱だと思う…でも、それ以外無視してもいいなら攻略は早くなるね。


「なら隠されている宝があるほうが正解ルートってことは進行早くできそうだな。まぁ分かれ道の度宝があるとは思わんが、それでも目印になるだろう。次の階層からそれでいくぞ。」


「と言ってもあと2階層で様子が変わると思うわよ。そこからはまた傾向をつかむ必要が出て来るわ。」


「だが俺達のパーティーは目聡く気づくやつがいるじゃねえか。アグスもワタリも考えたりするのが得意だろ。」


 そりゃ色々と考えたりはするけど…今回の迷路は地図とにらめっこだったり罠の発見や敵への先制攻撃で意識持っていかれているからそこまでだよ…


「ザイン…ワタリの負担を増やそうとするな…お前もしっかりと考えろよ。」


「そうよ、肉体労働だけじゃなく少しは頑張りなさいよ。私も罠解除で疲労するんだから。」


 みんなから責められてもザインさんはどこ吹く風だ…図太くないとリーダーって務まらないのかな…?でも、依頼を取ってきたり交渉をするのはザインさんだから適材適所なのかもしれない。


「それにしても…魔物からドロップするアイテムがほんと部品が多いですね…設計図は全部そろっているんでしたっけ?」


 確か揃っていないのは動力部だけだからそれ以外はあると思うんだけど…


「そうだな、これからいくつも設置することになるし数が必要だからな。ま、流れ人の攻略を期待しているぜ?」


 僕としては流れ人がここまで攻略にこれるかどうかのが心配なんだけど…魔力操作とか習っている人いるのかな?そもそも師匠的な存在を見つけているのかすら分からない…10階層までなら罠に気を付ければ行けるだろうけど、その後が大変かもね。



一方その頃…


 ドォーン!!


 辺りに轟音が響き渡った。


「やっぱちまちましたことは俺らにゃ向かねぇよな!このほうがいいだろ!」


 治癒士から回復を受け、高級ポーションを飲みながら盾を持った剣士が言った。


「その費用をパーティーに出させるのはどうかと思うわ…装備もポーションもタダじゃないのよ!」


 魔法使いの女性が剣士の男に文句を言った。


「い、いいじゃねえか!罠解除とか確かにギルドで講習あったが俺らにゃ向かなかっただろ!器用の高い弓使いでも苦戦してたんだぞ!」


「あれは無理!器用選手権のチャンピオンでも呼んで来いって感じがするぞ…費用は街の外や依頼で稼げばいいんだし。」


「その度にダンジョンへ入れないのも問題だろうが…俺、罠での怪我しか治療してないぞ?」


 治癒士の男性がため息をついていた。


「だが罠で逃げて雑魚に囲まれる方が危険って結論出ただろ!それなら罠を漢解除して進んだほうがマシだろうが!」


「装備壊す価値があるか分からないわ!パーティー1枠空いているんだし罠解除覚えられる人入れたほうが安定するんじゃない?」


「それも考えたがずっと俺達4人でやってきただろ?今更他の奴いれてもなぁ…」


「すまん…弓使いなのに俺が細かいこと苦手で…」


「得手不得手あるからそこは仕方ないわよ!対処できるようにするのが本来のゲームでしょ!」


「結果が出てるから困るんだよな…俺達のパーティーが一番攻略進んでるんだろ?次から地下5階の攻略になるじゃないか。」


 治癒士の男性がため息交じりで答えた。そう、この方法を取ってから攻略がスムーズになり流れ人の中で一番攻略が進んでいるのだ。しかし、方法的にこれからの階層が対処できるかどうか分からないため魔法使いの女性の言う事は尤もなんだが…


「ま、行き詰ってからでもいいだろ!情報を持ち寄れば攻略法も分かるんだから!それに、目的は転移実装なんだからだれが一番でもいいしな。なにか特殊な装備でもおちればいいなってダンジョン攻略の方針話し合った時に決まっただろ。楽しめればいいんだよ!」


 流れ人の中で一番攻略が進んでいるのは地下33階層だがそれは他の人には知られざる事であった。

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