第45話 ダンジョンは危険がいっぱい

「よう、ワタリ!久しぶりだな!」


「ちょくちょく連絡は取りあっていたけど直接会うのは久しぶりね!」


「ザインが無理言ったようですまん。だが流れ人のバックは魅力的すぎるんだよな…」


 王城の前で3人と合流した。リディさんとは雑談をたまにしていたけれど、他2人とは全然連絡取ってなかったからなぁ…まぁ、リディさんからは観光するならとか、お土産になりそうなものとかの話ばかりだったけれどね。


 それと、もし攻略したとしても本当に大丈夫なのか教会に行って確かめたよ。反応を返されるかは賭けに近かったけれど、ザインさんが言ったように現地人メインの攻略に流れ人が入った場合は他の流れ人に知られないみたい。多分、比率でなのかなぁ…過半数もしくはレベル的に差がある場合とか?

 でも、この世界の事なら運営の神託より女神様に聞いたほうが確実な気がするよね。運営ってこの世界を好き勝手にしてるイメージが強いんだよなぁ…


「みなさん、今回はよろしくお願いします。相変わらず戦闘は苦手なのでサポートに徹しますね。」


「ワタリなら戦闘面も問題ないと思うけどな。だが初ダンジョンだしゆっくり目の攻略にするから安心してくれ。」


 アグスさん、そう言うけれど…純粋な戦闘職じゃないから厳しい面もあると思うよ…考えながら魔法を使わないとダメージ補正かかっちゃうからね…


「食料は多めに確保してありますから大丈夫ですよ。たしか10階層事にボスがいて、攻略すると進むか出るかが選べるんでしたっけ?」


「そうよ。でも、私達は往復分の食料が必要なのよ。流れ人ならボスにチャレンジできるけれど、現地人だと死んだらおしまいだからね…でも、今回は地下40階の攻略を目指すわよ!」


 皆さんが死なない様に、いざというときは僕が身を挺して守らないと…!


「そういえば、ボスのいる部屋って一度入ると出れないのですか?」


 これ、結構重要だと思うんだよね。あとは脱出アイテムがあるかどうかでも変わるだろうし。


「そうだな…ボスの部屋から出るには倒すしかない。だが脱出用のアイテムも道中で落ちていることがあるからそれを使えばボス部屋からも出れるぞ。」


 なるほど…ローグライクみたいな感じになっているのかな。今回、脱出アイテムがでればいざというときにダンジョンから出れて攻略に余裕が生まれるけど…運次第かなぁ。


「ちなみに、ダンジョン内では解体しなくて大丈夫よ!ドロップ品として一定確率でアイテムが落ちるの。レアなものは出にくいけれどね。」


「解体しなくていいのは楽だが精神的に参るのがダンジョンって感じだな…生きて帰れれば見返りは大きいがな。んじゃ、そろそろ入るぞ!」

 

 僕達は入口に待機していた兵士にギルド証を見せ、ダンジョンに入った。ゲートみたいになってるんだねぇ入口は。

 中に入ると地下1階は薄暗く奥が見えないが、魔力が渦巻いているというかうごめいているというか…なにか動いているのを感じる。なんだろこれ…


「ザインさん、なにか魔力の動きがあるのですが…これって?」


「お?…お前どんだけ鍛えたんだ…?」


「それはね、魔物の魔力よ!魔法使いの上級者になれば自然と感じるものなんだけど…ワタリ、いつのまにそんな上達したの?」


 そういや全然スキルの成長みていなかったな…そこまで必要になる場面なかったし、ダンジョンから出てからでいいか。


「えっと、貴族の方に魔力操作の指導したり、病気を治したり、生産したりですかねぇ…そこまで特別なことした覚えはないので密度の違いかと思いますが…自然と魔力を操ることをしているのでそのせいかもしれませんが。」


「その歳でそこまで鍛えるとはな…流れ人の成長は早いがここまでとは。」


 アグスさんもすごく驚いている。この魔力による魔物の索敵って上級者の感覚なのか…でも、これも万能ではないよね?


「これって魔物の位置はわかりますが罠までは分かりませんよね…?あと魔力が濃すぎるとこや、魔法が使えない部屋とかだと意味がない…?」


「そこに気づくのがワタリの凄い所だな。罠に魔法が使われているなら気づくぞ、宝箱にかかっているものとか。あとは魔力が使えない部屋ももちろんあるぞ!ま、頼りすぎるのも危険ってことだ。」


 そんな意見交換をしながらもザインさん達はどんどんと進んでいく。出て来る魔物は2足歩行の犬、コボルトと暗闇からいきなり現れるコウモリ。魔力で分かるから驚かないけれど、匂いで索敵するコボルトと超音波で位置を特定するコウモリは意外と脅威だと思うんだけど…地下1階でこれってすごいな…


「魔物が変わるのは5階層事だな、俺達の印象では一定の能力を満たさないと苦労していく場所というか試練みたいなものと思っている。ま、今回はこちらも索敵出来ているし位置が知られても対応できるから罠と連携しなければ問題ない。」


「罠は器用さが高いほうが解除がしやすいのよ。今回のPTで言うと私ね。魔力の流れも見れるからどちらも対応できるわ。ワタリが明かり持ってくれているし、戦闘も罠発見も楽だわ!これからも一緒に潜りましょ?」


「あはは…都合が合えばですかね…僕としては色々な地域も見て回りたいですし。」


「その時は俺達が護衛についてもいいな。今回無理に頼んでしまったしお詫びというわけではないが…」


 そうこう話している間にどんどん進んでいく。階層の大きさはランダムで落ちているアイテムもランダムなので、次の階層へ降りる階段を見つけても地図を埋めるのが一般的らしい。完全ランダムならもったいないもんね。あと、階層を戻っても変わらないとのこと。行ったり来たりでアイテム集めは無理ってことだね。


「しっかし、マッピングが自動でされるとか流れ人はいいなぁ…俺達の今までの苦労なんだったんだ…」


「ワタリと知り合えなかったらこうやって地下40階を目指すこともなかったでしょうね…」


「ああ、リスクが高すぎるからな…」


 3人とも、やっぱり今までダンジョン探索に苦労していたんだなぁ…流れ人が大勢きたから現地の人も対抗して挑戦しているらしいし…

 無理しない範囲で挑戦してほしいかな…ダンジョンに飲まれると死体すら出てこないって悲しすぎるし…

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