4章 いざダンジョンへ

第44話 ダンジョン解禁間近

 この2、3日はそれなりに忙しかったかな…まずは流れ人の不満点である移動に関して、ダンジョン潜ると転移装置実装があることを噂として流すのと、料理とポーションを侯爵様から紹介された商会に卸して販売、イーリスとラヴィに王女様を預かることを話した。

 2人とも預かると聞いてびっくりしていた。そもそも王女様が病気ということ自体が街の人には初耳だったとのこと。


 そんなわけで僕はイーリスとラヴィにアルファスに拠点を構えることと王女様も一緒に冒険者をする可能性を話しておいた。2人は将来的に領地を継ぐことになるから学校を卒業したらそのまま領地経営を学ぶだろうからね。一緒に来ることはさすがに難しいだろうからなぁ…

 でも、その話をすると。


「お父様から見聞を広めるための許可をとってありますよ!他の領地を見て回るのは勉強になりますし、お父様も賛成してくれました!」


「…うん、私も大丈夫。伯爵以上の領地は転移装置を置く候補地にもなってる。」


 なるほど…確かに転移装置が実装されれば行き来は楽になるから、冒険に付いてくるとなったら日帰りとはいかずともそれなりの帰還で往復することは出来るのか。まだ卒業はしないから長期休暇の時に色々と見に行くのもありかもね。


「それならしっかりと魔力操作を練習しといてね?どんな状況でも役にたつから。」


「…また魔力を流して欲しいな?」


 そんな物欲しげな目で見てもダメです。違うことを意識しちゃって大変な目にあうでしょ?


「…王女様に関しても拠点が出来れば結婚する可能性が高いですし、2人ともその時に気持ちが変わっていないようでしたら…だから待ってて欲しいかな…」


「…それなら我慢する。それと、変わらないからね?」


「私もですよ!ワタリさん以上の方なんていません!」


 2人の評価が高すぎる…身の丈に合わない評価を貰いすぎると怖いんだけど…


「そういえば、お父様から先ほど連絡がありましたよ?ダンジョンに関して先ほど条件を達成したパーティーが出たとのこと。数が増えるのはあと2日くらいかかるらしいです。」


「ならその間にまとめて製作だけしておくかな。僕がダンジョンに潜っている間も売れるでしょうし。料理は向こうの世界のレシピを教えたら使用料もらえるのは嬉しいですね…ポーションも結構売れ行き良いですし。」


 侯爵様はすでに自分の領地に戻っていて、この屋敷にいるのは僕とイーリス、ラヴィ、ハウスメイドの方々となっている。王城での話し合いがどのくらいで終わるか分からないけれど、部屋を準備しといてもらっといたほうが良いよね?お付きの人も一緒にくるから負担は気疲れくらい…?


「でも、王女様かぁ…どんな方でした?2人姉妹なのは分かっていたのですが、アリエス様は結婚式でお目にかかりましたが、妹様機会がなかったものですから…」


「病弱だったからイベント事にも出れなかったんだろうね…儚げだけど芯はしっかりしている子かな?」


「…ラヴィが気になってるのは容姿かと。」


「そうです!ワタリさんも好きになるくらいですから性格良いのは分かっていますし!胸の大きさとか背が高いとか!」


 なにを言い出すんだラヴィ…そんなところ男性がまじまじと見ていたら嫌だろう?

そりゃ最初部屋に入ったとき服は脱いでいたけれど、すぐ外に出たから分からないかな。


「どうだったっけかな…身体的特徴で好きになるわけじゃないよ?生まれつきとか遺伝なんだし、どうしても治せない部分なんだから。まぁ…たしか背は低めでそこまで胸は大きくないかな。病弱で食が細かったからかも。」


「…ごめんなさい。そうですよね、容姿で選んでいるわけじゃないですもんね…そもそも選んだのは私達ですし。」


「…ラヴィ、反省して。」


「うぅ…イーリスちゃんだって気になっていたでしょ!」


「…私は気にしてない。ワタリを好きな人なら仲良くなれる。」


 複数人を娶ることになるから相性って重要になってきそうだよね…ジェミは王族だけど身分とか気にした様子がなかったし大丈夫だと思うけど。どんな子達なのかメッセージでも送っておくかな。


 っとメッセージが来てた。おや、ザインさんからだ、何かあったのかな。


-久しぶりだな。俺達PTは今王都に来ているんだがワタリも来ているよな?

 ちょっとダンジョン攻略を手伝ってほしいんだ。


 ん?どういうことだ…僕がいないほうが足引っ張る人がいなくて攻略しやすいと思うんだけど…とりあえず返信しておくか。


-ザインさんお久しぶりです。僕も王都にいて2日後あたりにダンジョン入ろうと考えていました。僕がザインさん達のPT入っても足を引っ張るだけだと思うのですが…


 とりあえず送ったけれど…返信はや!?


-今回に関しては流れ人のバック目当てってのが本音ではある…今まで攻略が滞っていたのは食料問題が大きかったんだ。そこでワタリなら手伝ってくれるだろうって思ったわけだ。


 なるほど…それなら僕は自衛に徹していれば大丈夫なのかもしれない。Aランクの冒険者にダンジョン探索手伝ってもらうとか寄生になっちゃう気がするけど…あと、地下40階に到達したとしてもボスはやりたくないなぁ…ワールドメッセージ流れそうな気がするし…


-それは手伝うのは問題ないのですが、地下40階に達してボスを倒してしまった場合、他の流れ人に攻略状況が流れてしまう可能性もあります…さすがにそうなると目立ってしまうだろうし…


-あー、それに関しては女神様が最初に言ってた気がするな。流れ人と現地人がPT組んだ場合、リーダーがどちらかで変化するとかなんとか。


 それが本当だったらザインさんのPTに入ったらログが流れないのかもしれない。一応念のために教会で女神様へお祈りして聞いてみようかな…答えてくれるか分からないけれど。


-それでしたら僕からすれば嬉しいです。侯爵様からの指示で2日後じゃないと目立つと言われていますので、その間待たせることになりますがいいでしょうか?


-おう、問題ないぞ!じゃあ2日後に王城前でな!


 意図せずダンジョンでのPTが決まったな…すっごい助かるんだけど…僕自身の成長につながるかどうかってとこが問題か。まぁ、僕がする攻撃方法はどれも魔力操作の比重が大きいからそこまで訓練に困っていないけれど、ワクワク感はちょっと足りなくなりそう?


「ワタリさん、唸っていますけどどうしました?」


「ん-っと、ベテランの方々がダンジョン探索手伝ってくれって連絡が来たんだよ。荷物持ちというか食料事情で。」


「あー…それは確かに唸りますね…でも、先駆者からの私見は結構大事ですよね。」


「そうなんだよ。ダンジョンにどんな罠があるのかとか、ボスの種類とか。色々と考えなきゃいけないものが教われるのは良いことなんだけどね。」


 まぁ…安全なダンジョン探索になったってことで喜んでいればいいのかな。魔力操作の練習しながら行けるのはいいし、転移装置の実装が早くなったらそれだけ僕としてはプラスだもんね。

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