第17話 何が起こったんだ
「この開けた広場がボスエリアってとこだ、準備はいいか?」
ザインさんが聞いてくる。服とか初期のままなんだよね…マシな生地が手に入ったら自分で作りたいんだけど、毛皮ばかりで…あ、大事なこと忘れてた。
「ザインさん、ちなみにボスはなんですか?それによって対処も変わるので。僕が狙われたら1撃でやられるかもしれませんのでそこはすみません…」
「いいのよ、護衛なんだからしっかり守ってあげる!」
「うんうん、そのために俺達がいるんだからね。」
「そうだぞ!ボスは魔物化した熊だな、でかいぞ!といっても、パワーがあるがスピードはそこまでじゃないからワタリが狙われそうなら間に入る余裕あるからそこまで脅威じゃないな。」
僕にとってはでかい熊とか脅威なんだけど…冒険者ってやっぱりすごいね!僕には近づく度胸もないから出来ても遠距離でかなぁ。僕の練習にってことだから頑張って支援しなきゃ!
「それと、ボスが瀕死になったら仲間を呼ぶからな。まぁ仲間といっても声に釣られた狼だが、大きな声で叫ぶから構えてないと竦み上がって動けなくなるから、耳をふさぐなりしろよ?」
「分かりました!支援は氷か、土に魔力を作用させて相手の行動を阻害しますね。」
「おう、色々試してみろ!」
「頑張ってねワタリ!危なくなったらお姉さんが守ってあげるから気楽にね?」
3人とも歴戦の冒険者だからほんと心強い!ここまで手厚い看病してくれるんだねぇ、僕意外にもこうやって攻略してる人いそうだけど…みんな時間かかってたのが気になる…
「それじゃいくぜ!」
僕達が広場に入ったその瞬間、世界が切り離された感じがした。これが…ボスフィールドってことか!PT毎に別の空間でボスと戦うのか!
「ほら、前から来るぞ!俺らが抑えといてやるから色々してみろって。」
話している間に熊はこちらへ突進を仕掛けてきた。まるでダンプカーみたいに迫力あるな…一直線に来るなら、まずはこれだ!
僕は魔力を練りあげ僕達とボスの間に配置した。ここから…今!氷を長槍の様に変換させボスの突進を利用した攻撃にする。いくら生産職の魔法が効きにくいといっても、物質化した魔法はそれなりに効くはず…そもそも僕は配置しただけで、ボスが自ら当たりに行ったもんね。魔法を飛ばして当てたら威力が減衰するかもしれない。
まぁ、このあたりは誰かが検証するかな。というか、減衰していない気がする…
勢いが衰えたので、魔力を土に浸透させ穴に落とした。
「えーっと…こんな感じですがどうでしょう?」
3人に聞いてみると、何かすっごい驚いた顔をしていた。
「ちょっと!?生産職なのにボスを封殺してるじゃない!どうやったの!?」
「おいリディ!俺も気になるがとりあえずとどめを刺しとくぞ!」
「ワタリすごいな…流れるように敵を罠に嵌めるとは…」
アグスさんがあきれ顔で言った。解せない…出来ることをしたんだけどな。
「ほら、とどめさしといたぞ!しまっとけ!あとで解体教えるからよ。」
「あ、はい分かりました。
それと特別なことはしていませんよ?氷に変換した槍にボスが突進しただけですし。その後は勢いが衰えたから真下に穴を作ったんですよ?」
「なるほどね、今までの生産者は魔法といっても罠の様に使うのではなく攻撃しちゃってたからなのかも?今回のは明らかにボスが自滅だもんね。」
リディさんがそう言うと他の2名も納得がいったようだ。アプローチが違うことで新たな発見があるっていいよね。
「でも、僕的にはその結果を狙っていましたけどあんなに効くとは思っていませんでしたよ?」
「ワタリの魔力操作や質が冒険者の中でも中位の魔法使い並みなのよ。街でも思ったけれど、かなり鍛えているわよね…」
「いやぁ…錬金術のギルマスの指導はかなりハードでした…流れ人は成長しやすいってのも理由かもしれませんが…自主訓練と、友人に魔力の流れを見ていてもらったのが功をそうしたのかも?」
「まぁ錬金術は生産の中でも特殊だからな。素材も使うがメインは魔力の操作だし、これまでも錬金術師の戦闘は記録されてなかったしな。」
アグスさんは歴史とか書物に関しての知識が深いのかな?落ち着いた雰囲気だし、PTでのまとめ役というか参謀ポジションっぽい。
「意見も交わしたことだし、さっさと向かおうか!夕暮れ前に着くが野営するか?」
「俺達も採取依頼とか受けていたから薬の素材などは教えられるぞ?採取上の注意点なんかも必要だろう?」
「あ、それでしたら野営でいいでしょうか?街近くですとなんとなく嫌なので採取もできる開けた場所とか?」
「ベスタ前はかなり開けた草原よ?起伏があるから魔物に対処できるよう丘の上がいいわ。思い当たる場所があるからそっちいきましょ」
野営するにしても適した場所があるんだねぇ…リアルだと水の確保とかだっけ?この世界だと魔法で水出せるから、魔物を見つけやすい場所が一番ってことなのかな。
リディさんを先頭に僕達は草原を歩いていく。途中でこの白い花の根に毒、向こうの青い小さな花のが魔力草、この釣鐘型の花の葉にしびれ…などアグスさんが解説してくれている。
鑑定でみると、毒草はドクゼリ、しびれはジギタリスに似ているかも?これ、素手で採取は敬遠するなぁ…グローブを準備したほうがいいかも。皮から革になめしてちゃちゃっと作ってっと。
「ほぇ~、錬金による生産って初めて見たけど魔力の制御失敗したらやばいってのが分かるわねぇ…」
「そこはしっかりと指導してもらいましたよ。まだ気は抜けませんが、しゃべりながらでも作業行えるくらいには慣れました。」
「良い師に恵まれたな。昨今、錬金術師の数が減っているから練度の高い後継が現れるのは良いことだ。どの街にも一人しかいないしな、王城以外。」
「あ、見えて来たよ!あそこなら四方見張りやすいし眼下には群生地も見えるから数を確保できると思うよ!」
ここは草原の中でも草の背が低く、見晴らしが良かった。
さぁ、初めての野営だ!食事、見張り、寝床作成色々やるぞー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます