2章 冒険の始まり
第16話 旅は道連れ
次の日、待ち合わせ場所である冒険者ギルド前に行くと3人組はすでに来ていた。僕は今まで気楽に街を歩いていたけど、日に日に見られることが増えてきたからフード付きの外套を着ている。
見て来るのは多分、流れ人なんだよね。容姿的に目立つだろうからこれからは注意していかなきゃ!
「お待たせしてすみません。改めて、護衛依頼受けてくれてありがとうございます。」
「気にしなくて大丈夫よ!あなたとはまた会いたかったし、もし良かったらフレンド登録したいわ。」
「無理強いはダメだぞリディ…それにしても、久しぶりだねワタリ。戦闘訓練していないのに魔力の流れに澱みがないのは素晴らしいな。」
「そういやそうだな?確かに錬金術では魔力メインって聞くが、鍛えすぎじゃねぇか?」
そうなのかな?テオさんに言わせるとまだまだ改善や効率化出来るみたいだけど…それ以外の人と比べたことないもんね。
「あまり実感はないのですが…一応あの後、野営出来るように準備はしておきました。テント、寝袋、食料、簡易トイレの魔道具、その他etc…」
「おいおい、そんなに持っているのか?って流れ人はかなり入るバックを持っているんだっけか、冒険者にとっては眉唾物だよな。しかも状態保存付の!」
心の底から羨ましそうにザインが言う。あ、ちゃんとリディさんとはフレンドなったよ、もしもの時の連絡手段があったほうが良いし予定が合えば護衛頼むかもしれないし。
「それだけ魔力操作上手いんだから錬金術師じゃなくても大成しそうよね?もったいないわ…生産職ってだけで魔物に対して物理攻撃も魔法攻撃も直接だとマイナス補正かかるし。」
そうなんだよね、生産者は戦闘に不利だから両立している人いないもんね。
ってあれ?
「リディさん、先ほどの魔物に対して直接だとってことは。」
僕が質問しようとした時
「おいおい、いつまでここで喋ってるんだ?とりあえずベスタに向かおうぜ、ここだと邪魔になるし道中教えてやるからよ!」
「あ、はい。それでは行きましょうか!」
確かに結構話し込んじゃってたもんね。
アルファスから街道に沿い、3人が僕を囲いながら歩く。確かこの街周辺だとウルフや一角兎、森に行くと猪や蜂もいるらしい。
「おいおい、そんなに警戒していると身がもたんぞ?もっと気楽にいこうや!」
「そうそう、これでも私達ランク高いのよ?A級まで行ってるんだから!」
「ワタリに補足しておくと、A級は権限的に準貴族なんだよ。S級ともなると国から貴族に指名され領地もらえるけどな。」
アグスさんから補足が入った。えぇぇ!?準貴族!?3人ともA級ってすごい。もっと歳いった人達がなるものだと思ってたよ…
「ビックリしました…僕とそこまで年齢が変わらないのにA級とは…。」
「そんな気にしなくていいぞ!それと、せっかくだし獲物を倒したら解体の練習するか?バックに入れておけば休憩時に教えてやるよ!」
もしもの時のために習っといたほうが良いよね、採取中に襲われて倒した場合とか。冒険者ギルドに持ち込むにしても素材や肉など自分で使うことあるだろうし。
「出来ればお願いしたいです。サバイバルなど知識でしか知らないので色々と体験したいですし…あ、それとギルド前で詳しく聞けなかったのですが、生産職は直接攻撃はダメってもしかして…」
「そうよ、間接的な攻撃なら大丈夫なの。これは昔、冒険者や商人が贔屓にしていた店にしか素材を卸さなくてね、ならば自分で採ってやるって人達が大勢いたの。大体の人が失敗に終わったのだけど、岩を当てたり弓を射ったりして魔物から素材をとれたの。そこから間接的に倒すという手法が取られるようになったのよ。でも、その人達は生産も狩猟や採取もどっちつかずになってスキルが育たなかったのよ。」
なるほどなぁ…やっぱり克服しようとする人は昔からいたんだな…現地人に比べ流れ人は無茶が出来るから成長速度は速いらしい。(アグスさん曰く)
それなら僕は両方とも育てるのもありなんじゃないか?…でも弓は出来る気しないんだよね…クロスボウなら設計図を調べて作れるかも?木材から制作して、矢は石を加工とか…うん、いけそう!戦闘は諦めてたけど、補助的な位置で行けるかもしれない。ベスタ周辺で状態異常系の薬を作れるようになれば矢に塗ってもいいだろうし。
「お、前にウルフが4匹いるぞ。新人にはきついが俺達の戦いを見学しててくれ。」
そう言うと3人は気配?を殺して近づいていく。メイドさんもそうだったけど存在が希薄になるんだね…必須スキルというか技術となのかな…
まずはリディが動いた。魔弓士の名の通り矢は魔法で作るらしい。ウルフは特に弱点属性というものがないらしく、平原を燃やさないよう氷だ。矢を放つと同時にザインが左側の2体、アグスが右側の1体に向かう。矢はウルフの眉間に当たり絶命し、同時にザインとアグスがこちらへ気づいたウルフに対処している。アグスは口へ剣を突き刺し、ザインは豪快に首を吹き飛ばした。残った1匹がザインに襲い掛かるもリディの放った2射目により討伐された。
「おぉ…すごい…圧倒的だね我がPT(ボソ)、じゃないザインさんのPTは。」
「ま、腐ってもA級だしな。こんなとこで苦労してたらそれこそやばい。ほれ、魔物どもをしまってくれ。結構グロいが大丈夫か?」
「私とアグスが綺麗に仕留めたのにザインが首吹き飛ばすからでしょ!」
うん、何とか大丈夫そう…ゾンビとかだったら匂いでダメかもしれないけどこのくらいなら…
「魔物を倒した後は血の匂いに惹かれ他のやつが来る可能性があるから注意な?血は水で薄めこうやって魔法で地中に埋めるといいぞ。死体をそのままにしておくとアンデット化する可能性があるから燃やす必要が出て来る。火の始末は気をつけろよ?流れ人はまとめて処理できるから楽かもしれんな。」
そう考えると流れ人はかなり冒険者に向いているんだね。アルファスの街も結構景気が良くなっていたから恩恵でかいんだなぁ。っと思い出した。ラナさんに冒険者ギルドに併設されている酒場で冒険者が居座り続けて営業妨害していること伝えておこっと。
「ザインさん、今の場所ってベスタまでどのくらいの位置まできたのですか?」
「今は中間あたりだな。こっから左右森に挟まれた街道になる。んで一定以上の力量をもつ者かどうか振るいにかけるボスがいるぞ。一応、一度倒せばスルー出来るが今回はワタリがいるから討伐だな。」
「それって僕が戦わなくても大丈夫なのですか…?一応、魔力を属性に変換できるので補正されたとしても援護は出来ますが…」
「戦わなくても大丈夫よ!ただ、少し戦闘に慣れていたほうがいいから魔法で支援してみてね。」
そうだよね、商人だってこの街道使っているんだし皆が戦えるわけじゃないもんね。でも、とりあえず出来ることはちゃんとしないと。
僕が出来る変換は火と水(氷)、風、土だけど攻撃に使うんじゃなく、ザインさんやアグスさんの補助にだな。土か氷かなぁ…雷もイメージは出来るけど近接に巻き込む可能性あるから今回はなしで。
よし、とりあえずそれでいこう。緊張するなぁ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます