第5話 玄関くぐるとそこはギルドだった

 -噴水広場-


 おぉ!!石畳が続いて開けた場所にある噴水とか風情あるなぁ!

 しかも女性の彫刻が持っている瓶から水が流れ出てるとかいいね!羽も生えているし女神様なのかも。綺麗というより可愛らしい。

 待ち合わせに使っている相方待ちの人もいるみたいだし、ちょうど腰掛けられる高さに石が来てるのもそれを促してるんだろうなぁ。


 っとギルドに向かわないと!

 たしかここから西に向かって貴族街の手前で北に行くんだっけかな。


 10分ほど道沿いに歩いていくといきなり雰囲気が変わる地点に来た。ただの石畳から白い大理石みたいなつるつるした高級感のある道に変わっている。道中は商店街みたいで店舗が並んでいてにぎやかだったんだけど、ここから先は閑散としていて入りにくい…この対比が貴族と普通の人を分けているのかな。


 ま、僕なんか貴族と関わる未来が見えないし錬金術でひっそりと楽しめたらいいかな。ここから北に行くんだけど、裏道というか秘密の通路っぽくなっていて好きかも。確かにこれは道を聞いていないと気付けない…


 突き当りまで来るとそこは庭のある蔦が絡みついた洋館があった…いかにもゾンビや死霊の住処に見えるけど…ほんとにここなのかな?


 あ、家に看板が付いているけど読めない…言葉は分かるんだけど読めないって結構致命的じゃない!?契約とか危険すぎる…とりあえず入ってみないと始まらないよね。

 中は洋館特有の広間になっていると思ったら改築されたのか立派な受付になっていた。カウンターに一人うつ伏せになっているんだけど…寝ているのかな?


「すみません、錬金術ギルドに所属したくて来ました。」


すると女性はビクッして慌てて顔を上げた。


「あぁぁぁ!やっと人が来てくれた!こちらこそ来てくれてありがとうございます!」


 何やらすっごいハイテンションなんだけど…洋館の雰囲気とのギャップがすごい…


「友達が冒険者ギルドや他のギルドの受付してるんだけど、すっごい忙しいのにこっちは閑古鳥がなってる状態とか不安になっていたんだ!一人だけどほんとに嬉しい!」


 そういう理由だったのか…確かに生産系はリアルでの経験が必要な部分もあるらしいけど緩和されているって噂だから敷居高くないと思うんだけど…

 落ち着いて受付の人を見ると僕とあまり変わらない年齢の女性に見えるんだけど…


「あー、流れ人は生産が難しいと事前に言われていたので冒険者になる人が多いと思いますよ。僕は錬金術に興味があったから来ましたけど…」


「なるほど…そういうことでしたか…あ、わたしはこの錬金術ギルドのマスター、テオフラスといいます!気軽にテオと呼んでください!」


「僕はワタリといいます…ってギルマス!?ギルマスがなぜ受付!?」


「あー…そこは錬金術が不人気かつ適正がものをいうのとあらゆる物事に理解しなければ難しいので弟子が出来ないんですよね…」


「弟子って…僕とあまり変わらない年齢に見えますが;」


「それは錬金術を極めたから肉体を最盛期に保っているんだよね!ただ、肉体に精神が引っ張られちゃって落ち着きがないって言われるけど…

 でもほんとワタリが来てくれて助かる!これから手取り足取りビシビシ鍛えていくからね!宿屋とらずにこのギルドを拠点にしても良いし、お風呂もあるんだよ!」


 それは助かる…いくらお金があるからといって毎日宿屋暮らしも味気ないし、なによりお風呂は嬉しい。


「お風呂を入れるのは魔法の練習にも使えるし、慣れるまでは魔道具で入れちゃおう!かなり広く作ったから一緒に入れるよ!」


 あれ…?もしやテオは僕が女だと思ってる…?


「いやいやいや!?僕は男だから一緒に入れないよ!!」


「え…?うそでしょ…?こんな可愛いし声も女の子だし…確かに膨らみがないけど、わたしも大きいほうじゃないけど…」


「男だよ!証明するには見せるしかないけど、男ですー!」


 ほんと勘弁して…女の子に間違われるのは慣れているけど裸の付き合いとか無理…交際しているとかならともかく…


「これが世界の神秘ってやつなのね…森羅万象極めたと思っていたけれど、まだまだ不可思議なことが多いと…うん。ワタリ、君にすっごい興味もったよ!これから一緒に錬金術頑張っていこう!」


「あはは…あ、そういやギルド登録お願いします。身分証を作らないと街を出入りするにも大変なので…あとはこの世界の文字覚えないと本も読めなくて知識蓄えられないし。」


「じゃあまずはこのプレートに血を垂らして!このプレートは所属と職階級、称号、血の情報(スキル)を示してくれるよ!

 所属はその名の通りどこのギルド所属か、職階級は生産職ならどこまで生産できるかの階級、冒険者ならクエストの振り分けの指標になるよ!称号は犯罪系じゃなければ気にしなくても大丈夫。スキルは取得したら表示されるけど、表示されたからって鍛えなくてもいいわけじゃないからね。」


 なるほど…これで大事なのは職階級かな?多分納品や制作するために基礎であるランクをすっとばして応用することが出来ないって感じだと思う。下から地道にこなして階級アップの指定品を作っていくんだろうなぁ。


「うん、これで大丈夫。プレートの色で所属ギルドが分かるようになっているよ!

階級上がっても色は変わらないからね。有名になれば指定依頼されるから色は意味ないし、他の街と情報共有しているからね!」


 ふー、やっと登録が終わった。拠点もできたことだしラッキーだったかも。

でもこれで準備が整ったのかな!これからの生産ライフが楽しみだ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る