イタリア留学
大学卒業と同時に俺は留学した。イタリアにだ。特にやりたいことがあったわけじゃない。ただ呼ばれたような気がしたんだ。
エージェントを通して家は決まっていたけれど、飛行機で隣の席に座っていた金髪のイケメンと意気投合。彼の家に転がり込むことにした。
学校からも近かったし、ジェイクのアパートが凄くお洒落で広かったからだ。
バルコニーからの見晴らしもよくて、週に四日はここでワインを飲んで談笑していた。びっくりしたこともある。ジェイクはコルクをアイスピック二本で開けるんだ。
聞けばオープナーが壊れてからずっとこうらしい。慣れると簡単だって言うけれど、俺には難しすぎた。
一緒に暮らし初めて二年が経った。
ある日の夜、ジェイクが真剣な顔で俺の部屋に入ってきた。
突然のカミングアウト。
ジェイクはマフィアのボスにお気に入りの一人で、全身開発済みらしい。
俺は「そうなんだ」くらいにしか思わなかった。それで俺たちの関係がどう変わるというのだろう。そう伝えると、ジェイクは少し泣きそうな顔でハグしてきた。
そして続ける。
ボスは気に入った男をどんな手を使ってでもモノにするタイプで、ジェイクは高校最後の年に目をつけられ拉致。薬を飲まされ、銃を突き付けられながら一年かけてオモチャでじっくり開発されてしまい、二度と消えない男の快楽をみっちり刻まれた頃、外出の自由が与えられたらしい。
そしてその日にボスは逮捕された。
さらにジェイクは言う。
近くボスが刑務所から出てくるのだ、と。
そしたら間違いなく抱かれる。
ボスは太った初老の男で、顔には老人性のシミがいくつもあるらしく、ジェイクはそれが堪らなく嫌らしい。
初めてはお前がいいと言われ、あれよあれよと服を脱がされた。
ジェイクの尻は信じられないくらい気持ちよかったし、どこを触ってもエロい顔になるしで興奮しっぱなしだった。
その日から俺たちは所構わず猿のように求めあった。
俺の誕生日を期に恋人になった。
色んな所へ遊びに行ったし、写真をたくさん撮った。
毎日が楽しかった。
俺にもようやくやりたいことができたのだ。ジェイクと一生毎日楽しく過ごしたい。
日本で暮らそうと決めてチケットを取ったその日、ボスが出所した。
ジェイクは連れていかれた。
ボスはジェイクの気持ちなどお構いなしで、おあずけ分を取り戻すように犯しまくっていた。
その動画が俺のスマホに送られてきたし、ポルノサイトでジェイクのみモザイク無しで配信されてもいた。
何十人という男を集め、代わる代わる犯されていくジェイクを見てニタニタ笑い葉巻を吸っていたり、色んな所にピアスを付けられ、腕まで咥えこまされ唾を吐かれるジェイクは見ていられなかった。
俺は許せなくてボスたちを殺すことにした。
友人やテロリストの協力もあってジェイクを救いだせたけどボスの殺しは失敗。
うっかり鈍器で股間をぐちゃぐちゃにするのに夢中になってしまったんだ。
町はボスによって封鎖され、危険な海沿いの崖を逃げることになった。
何故か海にはシャチやサメが泳いでいた。
追っての投げた手榴弾が足場を崩し友人、テロリストが海に落ちて喰われた。
俺も足を撃たれて落ちた。
するとジェイクが飛び付いてきたんだ。一緒に海に喰われて死のも悪くないって。
俺たちは笑って抱きしめ合い、それからキスをした。
先に喰われたのは俺だった。
◇
僕は念願叶ってイタリアへ留学した。
何故だか物心ついた時からイタリアという言葉が頭から離れなかったんだ。
イタリアに着くと無性に人を探したくなった。
訳もわからず町を走り回り、とあるアパートの前で立ち止まる 。
僕は拐われた。
犯人はボスの好みとかなんとか言っていた。
くらくらする意識をなんとか保っていると、お楽しみに混じれと音楽のうるさい部屋に入れられた。
お酒と色香に溺れた顔の赤いルームローブ姿の男が帯をほどきながら近付いてくる。下には何も履いていない。
僕の前で立ち止まると、何人かいる他の若い男のうち二人をしゃがませて厭らしく笑う。
僕は思い出した。
このボスと呼ばれる男は歳をとったジェイクだ。
感じたこのないモヤモヤがわき上がってきて、僕は気付くとジェイクを無茶苦茶に犯したあとで、近くにあった古いアイスピックで滅多刺しにしていた。
警察で言われた。
アイスピックで心臓を抉ろうとしたのかって。
でも僕は何も覚えてない。
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