力を求めて

プロローグ

目をゆっくりと開く。


「ふむ」


視界いっぱいに広がる青々と茂った木々を眺め、思案する。


開幕早々森ってどうよ、普通人里近くだろう?

と。


後ろを振り返ってみると、壁が見える

首が痛くなる程見上げても、頂上部分がまるで見えない。

そんな絶壁が背後には広がっていた。


って事は、ここはルグラントのすぐ外って事か……


外の様子はよく分からないと言っていた事から、とりあえずすぐ傍に放り出された感じなのだろう。


「どうせ何も分からないんだ。それなら考えるよりも動いた方が良いか」


何も考えず行動するのは愚かな事だが、自身に与えられた期間を考えると、悠長にしている暇は余りないだろう。

自分を納得させる様に言葉を発し、俺は歩き出す。


与えられた期間は1年。


それまでに、俺は目的を果たさなければならない。

自分の為すべき事を考えれば、その期間は余りにも短かった。


だが何としても手に入れなければならない。


仲間達を――何よりあいつを守るために。


俺は決意を新たに、目の前に広がる森へと足を踏み入れる。


そう――厄災を打ち倒す力を手に入れる為に。

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