第57話 レベル7って酷くね?
「あれが測定器か…」
目の前には、人が一人入れる大きさの透明な筒状のカプセルがあった。
これは中に入った人間の大まかな戦闘レベルを測るマジックアイテムだ。
此処は闘技場の第3控室の横にある測定室。
俺達は今からこの測定器でレベルを測る事になっている。
わざわざ闘技場に足を運び、こんなメンドクサイ事をするのにはちゃんと訳があった。
それはここでのレベル測定が、王墓探索許可の必須条件になっている為だ。
正確には、闘技場でEランク以上のモンスターと対戦し勝利する事が……だが。
まあ要は闘技に参加するためのチェックという訳だ。
当然弱すぎれば弾かれてしまう事になる。
「1番の人、準備出来てますんで中に入ってください」
係員に呼ばれたので恐る恐る中に入る。
別にびびる必要など無いのだが、初めての事だとどうにも緊張してしまう。
「たかしさん!頑張ってください!」
何をどう頑張るんだよ?
リンが大声で応援してくれるが、頑張った所で結果は何も変わらないだろう。
そもそも頑張り方が分からない。
だがせっかく応援してくれているので、とりあえず体に力を入れてみる。
「あー、力まないでリラックスしてください」
注意されてしまった……
「じゃあ始めますんでー」
係員がそう言うと、カプセルの透明なガラス部分に見た事も無いような幾何学的な模様が浮かび上がる。
それは目まぐるしく形を変えては消えたり現れたりを繰り返す。
マジックアイテムというよりは、どっちかって言うと機械っぽい。
素朴な疑問なのだが、こういったアイテムは一体誰が作っているんだろうか?
「はいOKです。出てもらっても大丈夫ですよー」
OKが出たのでカプセルから出ると、係員が結果を伝えてきた。
「えーっと、たかしさんのレベルは……ぶふぉっ…ぶふふ」
手元に目をやった係員が、唐突に噴き出した。
なんだ突然?
何かの病気か?
「す…ういません。たかしさんのレベルは……その……あれです……」
係員が乱れた息を整えながら此方に告げてくる。
「レベルは……7です」
「……………………え!?」
「ですから、レベルは7になります」
「ええええええええええええ!?」
余りの事に、つい大声を出してしまう。
「残念ですが、規定によりレベル15以下の方は登録をお断りさせてもらっておりますので……」
係員が憐れむような眼差しで此方を見つめ、不合格を告げてくる。
ていうか何だよ7って、俺のレベルは70だぞ!!
弱い弱いとは思っていたが、まさかサモナーのレベル70は他職レベル7相当だったとは……
余りの出来事に膝から崩れ落ち、地面に手を付く。
「あの、たかしさん。サモナーはモンスターを呼び出して戦うクラスですから、そういった特殊な力は計測外なのでは?」
フラムが此方を慰める様に言ってくる。
だが言われてみれば確かにそうだ。
基本俺が戦うクラスじゃないし。
フラムに言われて自信を取り戻し立ち上がるが、俺が不合格である事には変わりはない。
「計測されないんじゃどうしようもないし、お手上げだよなぁ」
「例のリングを付けられてはどうでしょうか?」
「ん?リング?」
「ほら、ブラドが落っことした
「ああ」
すっかり忘れていた。
呪われていないというフラムの鑑定を信じない分けではないが、あれを着けるとどうも体がムズムズするのだ。
その為、俺は必要な時以外身に着けない様にしていた。
「あれの効果って測定されるんかね?」
「多分大丈夫だと思いますよ。というか、指輪は基本身に着けておいた方がいいと思うんです。無くしたり盗まれでもしたら一大事ですし」
確かに。
彩音の恩情により只同然で手に入れたとはいえ、指輪自体の価値はとんでもなく高い。
無くすとショックなのはもとより、怒った彩音に鉄拳制裁されかねない。
あまり気は進まないのだが、これからは常に身につけておくとする。
まあその内慣れるだろう。
「あの、係員さん。後生ですから、もう一度だけ計測して貰えませんか?」
「いや、そう言われてましても……」
「お願いします!もう一度測って駄目なら、俺も綺麗すっぱり諦められます!どうか!どうかこの通り!」
深々と頭を下げる。
流石に土下座は人目に付くし、リン達の前ではあまりやりたくなかったので止めておいた。
「しょうがないですね。もう一度やって駄目だったら、本当に諦めてくださいよ」
「ありがとうございます!」
断ると延々ごねられると思ったのか、案外あっさり承諾が貰える。
――これでまたレベル7だったら超恥ずかしいから、ちゃんと仕事してくれよ。
俺はリングを指にはめ、再び
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