第39話 美少女ゲットだぜ!
野生の魔物と契約し、自身の専用召喚モンスターにするスキル。
それが
ガルーダを倒してレベルが上がった際に習得したスキルなのだが、これを俺は完全なごみスキルだと思っていた。
何故なら、契約条件が相手の合意を得た上で左手同士で握手するという物だったからだ。
意思疎通もまともに出来ない魔物相手に合意を得て握手する。
それは余りにも無理ゲーだと思っていた。
だけどリンなら……
「あの……契約って……」
リンが戸惑った様に聞いてくる。
だが事細かに説明する事は出来ない。
ヴラドに聞かれれば妨害される恐れがあるからだ。
ヴラドは完全に俺の事を雑魚としか思っていない。
俺が何かしようとしても、無駄な足掻きとしか考えないだろう。
だから内容さえ知られなければ……俺の足掻きをスルーする筈だ。
とにかく俺は、条件だけをリンに伝える。
「りん。俺を信じて左手を握ってくれ」
「左手を……ですか?」
「そしたら俺が
「わかりました……やってみます」
リンのほっそりとした柔らかい手が俺の左手を握る。
その手は驚くほど温かい。
不思議だな……とても死人の手とは思えない。
そんな事を考えながら、俺はスキルを発動させる。
「汝、我と契約するならば、心の臓に近き手を取り、己が名と契約の意思を示せ。
スキルに合わせて左手がぼんやりと青く光った。
「わ、私の名前はリン・メイヤーです。け……契約します!!」
リンが答えると彼女の左手も光る。
そして握り合った手から閃光は放たれ、眩いばかりの光に俺達の全身が包まれた。
「……」
繋がりを感じる。
これはリンの輝きだ。
今、確かにリンとの契約は成された。
「たかしさん……わたし……」
光が収まると、すでにリンは俺の右腕の拘束を解いていた。
上手く行ったようだ。
喜びから右手を挙げて叫ぶ。
「美少女ゲットだぜ!」
「へ?あの……たかしさん?」
「ああ、気にしないでくれ。一種の儀式みたいなものだから」
思わず叫んでしまったが、ちょっと恥ずかしくて俺は笑ってごまかした。
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