ドッペルゲンガー製造実験計画書③-1
「脳内癒着させた情動操作用極小チップの無効化実験計画案」
実験立案者:
(中略)
3.実施内容
情動の過剰反応により,情動操作用極小チップ(以下,チップと呼ぶ.)の被験者a, bの情動対応機能を失調させる.
情動の過剰反応は,情動体験の共有を活用する.
※情動対応機能の失調とは,チップが脳内ネットワークへの干渉を行えなくなり,効果が無効化された状態である.
※チップ内蔵手術時に,脳活動を行う脳部位全域にチップが癒着しているため,手術による取り外しは不可能.
※「計画書①」の記憶操作実験に着目し,情動の対応の切り離しを試みる.
「計画書①」は被験者aの情動に被験者bが対応するという一方向を想定するが,本実験案では両被験者の情動の交信を確認.
【事前準備実験】
被験者a,bに「計画書②」のテレパシー実現実験を行う.
「計画書②」の実験中,両被験者の過剰な情動反応が推測されるため,それを活用する.
※「計画書②」は被験者aの情動体験の交信に焦点を当てるが,チップ無効化には,被験者bの情動体験の交信が必要.
【手法概要】
1-1.「計画書②」テレパシー実現実験を実施
1-2.「快―不快」「覚醒―非覚醒」の振れ幅の大きい情動体験を被験者a,bが想起
2-1.チップに信号を送り,被験者bの情動体験を被験者aに交信
2-2.被験者bの情動体験を交信した被験者aの情動を,被験者bに交信
3-1.被験者a,bが自己の情動体験を再体験し,かつ他方の情動体験の交信したことを確認
3-2.被験者a,bの情動の域値が極限まで低下したことを確認
4-1.被験者a,bのチップに記憶操作の命令信号を送る
4-2.被験者abがともに情動性知能が低下し,快―不快の「不快」,覚醒―非覚醒の「非覚醒」を感知している精神状態からの,回復を確認
※被験者a:ネガティブな情動体験であればネガティブな,ポジティブな情動体験であればポジティブな情動が生起.
情動の閾値が低下するため,被験者bの過去の体験以上に強く情動が生起.
※被験者b:情動性知能が高まり,情動は生起されない.
被験者bに過去の情動を再体験するが,心理的な情動は起きないという混乱が生じる.
※記憶操作の命令信号は,被験者a,bの記憶の削除と復元を反復する.
チップの機能に負荷を与えることが目的であるため,操作する記憶は指定しない.
(後略)
――――――――――――――――――
※実験書部分はなんとなく流し読みいただければ今後のストーリーをお楽しみいただけるかと。
今後ちょこちょこ解説できたらと思います。
(中略)部分には「1.目的」「2.定義」を、(後略)以降は観察結果等を記載しているとご想像ください...。
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