ドッペルゲンガー製造実験計画書①-3

3.実施内容


3-1.実施内容要約

 実験にあたり,安定した精神状態に着目し,生活満足感の強制付与によって情動性知能の向上を目指し,学習能力を向上させる.

 生活満足感の付与には,適切な環境で過ごしていることを脳に思い込ませる必要がある.

 この時,脳活動の呼応装置を活用する.


3-2.実施内容

【研究対象】

1.被験者a

 健常とされる11歳児童の成績最低群より抽出.チップ内蔵手術時の年齢が11歳.


※未成年者は,成年者より学習能力の変動が見込める.

※実験・調査期間をおよそ10年と見込む.

※情動によって劇的な学習能力変動の可能性の低い,生まれつきの脳機能障害を持つと推測される者を除く.


1-1.被験者aの成績不振に関する推察

 学習環境が整っておらず学習習慣が身に付いていないため,学習意欲があるにもかかわらず,学習態度・学習技術が極めて低い.

1-2.推察の根拠

 自主的学習態度の増加,自己評価の減少,持続性の欠如が観察された.


※被験者aの生活環境の報告

 総合的に,心理的に不安定な環境であった.

 学習は教えを乞うことなく一人で行う.憶測で「何点は取れた」等の成績試験結果の検討ができない.学習方法が一貫しない.学習習慣が身に付いていない.父親の愛人が被験者aの家宅にて,被験者aの学校教材一式を処分する事件が数回あった.




2.被験者b

 健常とされる11歳児童の,被験者調達用の養護施設で最も容易に戸籍を操作可能であった群より選出.チップ内蔵手術時の年齢が11歳.


※成績(IQ)は平均前後.

※被験者aとの年齢・体型・身長・体重は誤差範囲内.

※顔面整形手術済みのため,被験者aとの顔面誤差無し.




【手法概要】

 事前実験事故概要より被験者を2名用意し,被験者bを向上対象とする.


1-1.被験者aとbを配置しa,bの情動を操作可能とする

1-2.情動性知能の割合はa,bで逆となるよう設定する


2-1.被験者aをネガティブな情動の起きやすい環境下に配置

2-2.被験者aに対応した被験者bの活動を安定状態とする


3-1.被験者bの情動性知能・学力の向上確認

3-2.被験者bの向上が見られた際は被験者aの脳活動停止

3-3.被験者bの能力向上が固定されていることの確認


※実験後の被験者aの処理については所内で行うこととする.


【事前実験検証済み事項】

 被験者aの脳活動情報が被験者bの情動操作チップに送られなくなった場合,被験者bの情動性知能が固定されることは,検証済み.


【事前実験事故概要】

 事前実験時,被験者1名のみを起用,人工知能搭載機器により命令信号を被験者の脳内チップに与えて情動操作を試みるも,試行3回目にて被験者の脳が損壊,五時間後心肺停止.


※本実験では同様の事故防止のため,人間の脳活動を経由し,人間間の脳活動及び情動を操作する.





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