ドッペルゲンガー製造実験計画書①-2
2.定義
以下に,本実験における定義を述べる.
2-1.情動
「高等動物で観察される特異的な動機づけの状態」と定義する.
情動の種類は恐れ,嬉しい,怒り,悲しい等が該当する.情動は筋活動や自律反応を含む情動反応と情動表出を伴う.
2-2.情動性知能の高さ
「情動の知覚:他者や自己の情動に気付き,異なる種類の情動を識別する」,「情動による思考の促進:情動が思考にポジティブな作用をすること,またはそれを意図的に利用する」,「情動の理解:情動を理解し分析する,情動に関する知識を生成しそれを利用する」,「情動の調節:情動を内省的に制御する」と設定する.
※情動性知能の高さは,脳活動が情動に転じた後の情動の識別,理解,調整等の能力である.
【推察】そもそも情動の発生が少ない場合は,より自身の情動を識別,理解,調整することは容易い.
※情動性知能の測定は,情動性知能の割合(EQ)を用いて行う.
2-3.人格
情動パターンの集合体である.
※情動反応と情動表出には,覚醒―非覚醒,快―不快の次元(ラッセルの円環モデル)がある.
※脳活動に「怒り」等のラベリング(名付け)をして初めてそれを情動と呼ぶ.
2-4.閾値
脳活動が情動に変換される閾値があると定義する.
※単なる脳活動であるか,それを情動とするかは,覚醒度・快度の次元が閾値を超えるかに左右される.
2-5.正反対の人格
快―不快,覚醒―非覚醒の次元で,被験者a,bの情動が正反対となる.
※具体例
被験者aは「短気な人格」である時,被験者bは「寛容な人格」である.
被験者aは覚醒度・快度の次元の閾値が低く,ちょっとした不快の脳活動でも「怒り」の情動を起こしやすい.
被験者bは覚醒度・快度の次元の閾値が高く,不快の脳活動が活性化しても「怒り」の情動につながることが少ない.
※情動性知能が高まると,快―不快,覚醒―非覚醒の閾値が高まる.
【推察】閾値が高いことは,脳活動で情動を起こしにくいことであり,嬉しさ,悲しさ,怒りの情動すべてを感じにくくなる.
2-6.生活満足感
個々の生活において心理的・生理的・環境面での組み合わせによって得られる喜ばしいもしくは肯定的な情動と定義する.
2-7.安定した精神状態
情動性知能が高く,生活満足感の高い状態である.精神状態が最も安定した時,学習成績(IQ)が最も上がると想定される.
※情動性知能が高いことは,情動の次元の閾値が高いことを示す.
※生活満足度が高いことは,快―不快の「快」を情動として感知し,覚醒―非覚醒の「覚醒」を情動として感知していることを示す.生活満足度が低いことは,ストレスにさらされていることを指す.
【生活満足感に関する推察】
被験者aの生活満足感が低い状態にあると,思考を司る脳部位の活動が鈍くなる.その際,被験者bの思考に関する脳活動は覚醒しやすくなり,情動は起こりにくくなる.
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※「ラッセルの円環モデル」「ラベリング(名付け)」は実在する感情理論のモデルですが、「脳活動が情動に移り変わる境界線(閾値)が存在する」というのは私の空想です。
つまり何を申し上げたいかと言いますと、ここに書いてあることは鵜呑みにしないようご注意ください!
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