第4話 2回目は無いのに2回目の始まり




大吾は、怒る気持ちを抑え

声に気を使い口を開く。



「舞香は、大丈夫かもしれないが、

俺は、大丈夫じゃない。」


真っ直ぐな黒い髪を揺らしながら

かがみこんだ俺を、目の前に見て


「ゴメン。」

また舞香は、謝りだした。


「違うって‼

誤解されたまま、ナアナアになる

のは嫌だ‼。」




「杏の事は、先生に頼まれて..

杏にストーカーする男がいる

らしいから、

暫く一緒に帰れって言われて、

報告すれば良かったな‼


変な気を使わせて、悪かったよ。」



舞香は、俺を責めも、せず、


「でも、腕くんで歩くほど

仲良くなっちゃった?」


舞香の問いかけにちがうよ。

と答えるのが精一杯だった。

内心男としては悪い気がしなかった

からだ。



「 ごめん。

軽はずみな行動は、謝るよ。」



「ね‼ 大吾、

気持ち悪くなる前に私から離れて

くれないか ・・な。」



「だからぁ💢違うってぇ、もう━

彼女から腕組んで来て

断れなくって‼



でも‼

今度からちゃんと断るから。」



「いいよ‼気にして無い。」


「俺と別れるつもり?

許せないの?」


「何でも無いなら、

いいんじゃない。」


舞香は、淡々と答える。


冷たくもなく普通の会話に聞こえる。

でも、視線が違...う。


大吾は、たまらなくなって

「だからぁ、その含みを持った

言い方、やめてくれ~!」


大吾は、舞香を抱きしめキスをした。

なりふり構わず、

言葉では、信用されない!


分かってる。だから....。


大吾も、必死に訴えてみた。

舞香の心に


舞香は、アレレレな顔を

していたが、ニッコリ鋭く微笑み


「2回目は、無いからね。キッ‼」


そう言って少し冷たい目をした。


オレはキョドリ””””ながら

「うん。

オレも、2回目なんて

大丈夫‼

ウン、ナイナイ‼」

アハアハ


それから恋人繋ぎをして、大会が

終わったら、映画の約束をした。


電車が来ると又キスをして、別れた。



三年付き合って舞香の口癖をしった。

諦める一言、

自分を慰め、落ち着かせる一言。



「大丈夫。」


事ある事に舞香は自分を奮い立たせ

ていた。


「大丈夫。」

泣きたい時も

苦しい時も


何より欲しい物を諦める時、支えに

なった言葉、繰り返し繰り返し呟けば

本当に大丈夫になっている。


胸がちぎれそうに苦しい時、

舞香を支えていたのは

祖父母でもなく、別れた両親でも

無く自分自身を守るように呟いた。


「 大丈夫だから...。」





舞香の口から、大丈夫

そう言われたら、

きっと、諦めるるように心の蓋を

閉めるパタンとゆう軽くて重い

蓋の音。


電車が来て、乗り込む舞香の安心

した表情が忘れられない。


反省もした。

閉まるドアに手を振りながら

「大丈夫な時は大丈夫じゃない。

不安にさせてるのはオレなんだな。」

見かけとは違う舞香の一面

随分と反省した。


舞香の飲み残しの天然水を

グギューと飲み干し、口に手を当て


ふふっ、ふふふ

と怪しい笑いを浮かべ舞香の唇に

想いを寄せる。


ニヤニヤが止まらない。


思わずスキップする。

らんらんらん、らんらんらん


スキップも、一段落した頃

一人の他校の可愛らしい女子が…


「あのぉ~中村大吾..さんですよ..ね?」


「そうだけど...。」


紺色のセーラ服にワインカラーの

リボン。」

某有名お嬢様女子高校‼

バッジには、3とある。



「凄くカッコイイ““」

モロに俺を見てそう言った。

カノジョは頬を染めて

「握手して、下さい。」


と言った。



「は?、」

彼女は、俺のフアンだと言って

俺と会えた事を凄く喜んでいた。


「アハハありがとう。」


彼女は満面の笑みを俺に送る

綺麗な彼女だったから

俺もニヤケていた。


誰が撮ったか知ら無いが


中村大吾の彼女発見

と拡散していた事など、何もしらず

彼女とは軽く、話をしただけなのに...


その日は家帰って飯食って風呂

入って、スマホいじることなく爆睡。


待ち受けの舞香の写真を見ながら...


次の日


朝練が終わり、後輩のマネジャーに

取り囲まれ


「先輩、酷い!٩(๑`ȏ´๑)۶」

と言われた。


「え‼何?」

大吾は汗を拭きながら何が酷いのか

疑問

「ん?」


「昨日杏をホッポリ出して‼

彼女の所いったんですかっ。

ストーカーに狙われて杏

危なかったんですよっ


許せないっ‼」



「ちゃんと電車まで、乗ったし

あとは駅まで家の人が来るだけ

ダッタシ...べっに良くね!」


「え?酷」

マネージャーの子達は何を

言ってるのか?


「俺‼ 彼女いるし

これから杏が早く帰れるように

監督に頼んでおいたから。

安心していいぞ‼」


そう言うと杏は泣き出し

マネジャー達は、慰めていた。




「で、この人誰ですか?

うちの学校じゃないですよね‼

敬愛学院ですヨネ‼」


携帯を見せて責め寄る後輩の・・

画面には ドアップの彼女とオレ


はあぁぁァ,、'`( ꒪Д꒪),、'`'`,、マジか・・・



一瞬放心状態に・・!

ハッ我にかえると

「 💥!は?、

チゲーシ。‼」



俺はマネジャーの携帯を取り上げ

マジマジと見た。



「ゲー‼マジか━━━俺シンだ。」


やばいやばいやばいやばいやばい

「なんでー何でこうなるー‼」


俺はすぐさま教室へ向かう後ろ姿の直樹と祐一に相談した。



「お前バカじゃん。

今俺らの周りうろつく野郎達って

なんか魂胆があるんだよ。


ア~ア、舞香がみたら...」


「どおすんの~」

「 どおすんの~」

2人はハモりながら言った。

少し楽しんでないか?

と疑いたくなる直樹と裕一


しかしホームで会ったカノジョは

そんな感じには、見えなかったし、

しおらしくて、優しそうで、美人だった。

多分彼女にも迷惑かけたとおもう。


しかし何より

2度目はない‼と言われ別れた後

2度目が来るとは?


「バカヤロウwwwwww」

「もうイッカイ、タヒねー。」

「バカはしななきゃーうんぬん

かんぬん。」


「バカにつける薬は、うんぬん

かんぬん‼」


散々言われ

出た結論は...。


最初昨日あった彼女への謝罪文

迷惑かけたことを謝り


朝練の写真をあげ

俺の彼女は、たったひとりです。


3人で図書室に向かいパソコン操作

昨日彼女と軽い喧嘩をした後、

大好きな彼女を送って帰る途中

ホームであった写真の彼女と軽い

挨拶をしました。

誤解された方が写真を上げたんだと

おもいます。


舞香、大好きだ‼

俺の彼女は、舞香だけ‼

もし、

舞香になんかあったら許さない

からな‼



最初疑っていた舞香も、

教室に帰った頃には、

笑顔で「大変だったね。」

と笑っていた。


その笑顔が可愛くてまたまたLove、

LoveLoveとハートをつくり

舞香の回りを走り回った。



「確実に違う。

この写真を取られる前は舞香と

居たんだ。

ホームで声かけられ少し

話をしただけだ。」


「じゃあすぐブログ更新しろ。

俺らも協力するから‼」


持つべきものは、親友だ。

奴らの指示に従ってよかった。

舞香への言い訳を後回しにして

炎上の火消しを最優先‼


又違った炎上は、あったが

舞香への愛は本物なのでスルー。


ああ〜ここ何日かロクな事が無い。

そんな感じだったが

舞香と俺の日常は、穏便に進み


いよいよインターハイ。


順調に勝ち進むように見えたが

やはり初出場の壁は大きく

2回戦まで、勝ち上がったが、


”井の中の蛙大海を知らず..”


上には上がいる。

仕方がないが涙と共に俺の部活

青春は、幕を下ろした。


あんなに居たマネジャーも、

俺らの部卒と一緒にいなくなった。


さあ、舞香との青春勃発‼。

片時も離れずベッタリ。


1.2.1.2.1.2足踏み行進みたいな

俺らの成績は、相変わらずだった。


帰りに図書館へ寄ったり

土日は、舞香がお泊まりしたり

今まで出来なかった事を

2人でたのしんだ。


勿論受験生だ、勉強と何時も

隣り合わせ。夏が過ぎ秋が過ぎ

冬が来て受験を迎えた。

舞香は建築家になる為別の

国公立大学を受け、見事合格。


俺は親父の跡を継ぐため経済学部

のあるこのエスカレーター式の

大学に進んだ。


俺達が待ちに待った卒業式。

舞香は、無事に涙ながらに答辞を

読んだ。


何故か俺も舞香の読み上げる答辞を

聞きながら涙が止まらなくなった。


舞香のバーちゃんは着物を来て

年より随分若く見えた。


俺も彼氏として認めて貰えるように

しつかりと挨拶をして交際を

認めてもらった。


舞香の話のまんま面白い

擬似両親だった。





大学は、別々でも舞香とオレは

一緒に住むことにした。

朝起きれば料理の腕をグングン

上げた舞香の美味い朝メシがある。


新婚みたいな生活があった。

生活には、困らなかったが一応

バイトを始めた。


俺はカラオケ

舞香は、カフエで‼


同じ場所にしなかったのは

舞香は、しっくりと落ち着くカフエ

俺は賑やかな場所が好きだから

どうせ働くなら好きな場所がいい。


18:00から22:00まで、

舞香も同じ時間で働き帰りは舞香

を向かえに行き

一緒に帰る毎日だった。


休みのシフトも同じで、買い出しや

デートを楽しんだ。


毎日毎日幸せだったがその幸せに

慣れてしまっていたのかも、

しれない。




「あのぉ~面接お願いします。」


それは大学3年目を迎えた4月だった。

募集をかけていたアルバイトが数名。




「はい‼担当の者と変わります。」


何人かの女の子が面接にやって来た。


店長が面接をして一人の女の子は、

決まった。


みんな興味津々で覗きにいった。

俺も気になり皆の後を追う。




即決ってよっぽど店長気にいったんだ

さては、チョー美人だったりして

皆の期待は膨らんだ。


面接の部屋から出て来た彼女は..


高3のあの日、ホームであった彼女だった。


「おう、中村‼お前の知り合いダロ

ちゃんと面倒見ろよ。」

厳つい店長が大きな声で叫ぶ。


彼女は、

「明日からお世話になります。

天宮奈緒です。」


皆、あ、あああぁ、宜しく‼

と言いながら全員、俺を怪しい目で

見てくる。

何故かニヤニヤ ニヤニヤした目で

俺を見る。


彼女もポッ赤い顔をしている。


俺目当て?

一瞬うぬぼれてみる。

「まっさかぁ、偶然偶然‼」

一人心で、呟きながら...


ボカ.ポカ.パコーンと丸めた

チラシで怪しげな目を向ける輩を

ぶん殴る。


彼女は、クスッとわらい綺麗な目を

向けて来た。


彼女のバイト初日

「いらっしゃいませー。」

が中々言えず、その度、ホロー

に回る。



「しかめっ面は、不味いよー

ん~

そだな!好きな人が来店したと思いなよ。

嬉しいだろ‼」



それがこうじたのか

しかめっ面は、なかなかの笑顔には、なってきた。


おれと、天宮奈緒の関係はタメな

事もあり段々仲良くなって来た。


俺と奈緒が仲がいいと誰もがウワサ

して来た。


勿論彼女も、いるし、一緒に住んで

いる事も、店の誰もが知っている。


店が終わると舞香の待つカフエへと

足をむける。



舞香も、いっもニッコリしながら

俺を待っている。


そんな日常がくずれだしたのは...




「舞香さん。」


「はぁーい。」

フレンチトーストの盛り付け変えるから見てて...

カフエのバイトは向上心をあげた。


五十嵐拓成28歳

このチェーン店のオーナー。

コーヒの入れ方から盛り付け、アイスの手作り、色々珍しい事を教えてくれた。


七三に分けたツーブロックの

清潔感漂う彼は、

金縁メガネをかけた鋭い眼差しが

印象的な強面イケメン。


最初は、ビビっていたけど

びびっていては、仕事が出来ないと

思い直し積極的に分からないことを

しっこいくらい聞いている。




今日は、バイトも、シフト休み‼


大学の仲良し、

美弥ちゃんと茉莉奈と映画の約束を

してたから、最近大吾も、

帰りが遅いし迎えにも来れない

くらいメチャクチャ忙しそう。


毎晩クタクタになって帰って

来るし、新人教育も任され大変

らしい。だから2人と遊ぶなんて

言えなくて大吾には、内緒の

女子3人デート‼


見る映画は、決まっていて

ロマンス分野女の子は、たまに、

うっとぉ〜り♡したい生きもの。


大吾とじや戦艦物とか、SF.ホラー

なんか男の子が見る喧嘩対象の

ような物、こういうロマンス系の

映画は頑なに拒否される。



やっぱーリ気の合う女の子と行くのが さああぁいこーうだす。



ポップコーンボリボリの

炭酸ごくごく、からの~うっとぉり~。


2時間の映画は、アーッとゆうまに

幕を閉じた。ガャガャと席を立つ

カップル達を見れば羨ましくも

なる。


舞香も、余韻から覚め

「じゃっ‼行こーか!」

と3人で席を立つ。


しかし舞香の目が、ある一点を捕えた。

前から三列目に...なんと言う事でしょう。



大吾発見‼


回りに何人か居たからグループ

行動ではある。

女の子3人、大吾含む男の子3人。



美弥ちゃんも気づいて

««《ああっ‼》»»

「しっ‼」

3人は、顔を隠し6人の男女が立ち

去るのを待った。



気まずい空気が流れる。


「ただただたたた、ただ

の映画鑑賞じゃー ん💦。

私達と同じだょー。」



「あ~あ。そうそう

なんかの、成り行きだょー」


茉莉奈も苦しそうに答える!


ポチポチポチポチ

大吾にラインをおくる。


既読

「何してる。」



既読

バイト、今休憩中

既読

あ‼そうか‼

何時に帰る?


既読

多分いつもの時間かな。


こんだけ嘘並べられたら

流石に分かるワアハハ


今7時だしっ‼

バイト入る時間だし

入って直ぐ休憩?

そんなん聞いた事ナイワ‼

確実に、バイトは休みじゃね!

宇宙人じゃあるまいしそんな早く

店につくか?

さっき映画館出たろうがァ

💢


今から飲みな事くらい分かるワ

嘘つきめぇ━━━━━━ꐦ

カラオケ店に電話して聞いたら

大吾は、やはりシフト休みに

なっていた。


2人はバッ悪そうに、舞香に気を使い

出したので嘘をつく。


「カラオケの、バイト仲間だった

みたい。今みんなでお店に向って

いるって。」


2人は明るい表情を見せ、美弥は

可愛らしい目で覗き込んで


「あんなに大吾舞香の回

りうろっいてたもん

浮気なんて考えられないよー。」



「そーなんホッ。

安心したワ。」


そう、美弥ちゃんは同じ高校出

私達の行きさつを知っている。



大吾は、日を跨いだAM2時に

帰って来た。


眠れない舞香は、モンモンとした

時間を過ごし大吾の帰って来た音

に安心したのか眠ってしまった。
































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