第七話 欠陥品と難敵

「また助けてもらいましたね」


「ああ。また襲われていたからな。でもなんでこんなところに?」


双葉姉妹は顔を見合わせ、姉が一歩前に出る。


「私たちお昼ご飯を食べる場所を探していたんです。そんなときに放送が入って。……とにかく逃げようと屋上ここまで来たんです」


「そうしたら運悪くあの男と遭遇したと…」


「はい。でも、またあなたが助けてくれた。おかげで私たちは無事にすみました。ありがとうございました!」


「うん。まぁ気にさないでくれ。こんな状況出しな。さて、あの男を拘束しないと……?」

 

カケルが男が倒れている方を見るがそこにいるはずの者が無い。

それに気づき双葉姉妹も辺りを見回す、

その瞬間


「オラァ!」


後ろから大きな拳が、カケルに向かってとぶ、


「…っ!?」


カケルはそれを身体を転がすことによりなんとか回避する。


「「最上さん!!」」


「ほう、躱したか。だがアスファルトの上を転がるとは……」


男の言う通りここは屋上、アスファルトの上だ。

そんな場所をいくら攻撃を避けるためとはいえ、かなりの勢いで転がったのだ、カケルでなければ頭の中は痛みで一杯になるだろう。


(…さて、どうする?あの動きから相手はかなりの手練だ。不意打ちが失敗した以上戦うのはキツイぞ)


カケルが考えが事をしている間にも男はカケルに迫ってくる。


「そんな所で座っていていいのか?……ラァッ!」


「っ!?速いっ!」


カケルは男の拳を避けようするが完全には避けきれずいくつかの攻撃を受けてしまう。


「くっ、強いな…」


カケルは一度体制を立て直そうと男から離れる。


「速い、それに強い。あの人も特異体質者なのかな?」


離れた場所から見ている双葉妹が呟く。


(いや、それは無い。相手は特異体質者を害そうとする組織だそんな組織が特異体質者を使うはずがない。なら、あの男の強さは…)


「ああん?そいつは違うな。これは特異体質なんかじゃない。俺の、こいつは技術、武術だ」


(……武術か。あの巨体に武術、強い訳だ。そんな相手に正面から勝つには……)


カケルが考えごとをしていると、男は懐からトランシーバらしき物を取り出す。


「そして、そんな俺の攻撃をここまでいなすとはな。このままお前を野放しにするのは厄介そうだ。…『あーあー。俺だ聞こえ…「シュンッ」』!?」


男が通話をしようと瞬間、男の元にシャーペンが飛ぶ。

飛ばしたのはもちろん――


「…おいおい。危ないな。まさかこんな正確にシャーペンを飛ばすとは」


「…それはこちらのセリフだ。その身のこなし、完璧な軌道で投げたシャーペンを避け、スマホを使用不可にし、トランシーバーを使う。随分念入りな事をするんだな。こんな高校を襲うだけで」


カケルの指摘に、男は頭をかく。


「まぁ、俺もこんな子供だらけの場所でここまでするのはどうかと思ったんだがな……お前みたいな化物やつが居るなら納得できるだろ?」


男はトランシーバーを捨て拳を構える。


「ったく。やめてくれよ俺だってただの子供だよ。ま、人より欠陥が多い子供だけどな」


カケルもまた、拳を構える。


(勝負は、一瞬で決める。『制限リミット―)


(…?なんだあいつ。急に雰囲気が変わった?!…面白い!俺もこの一撃にすべてをかけよう!)


二人の視線が交わり、そして―


「―解除オフ』!」


「オラアァ!!」


二人は互いに向かって走る。

カケルは人の本来の力で打ち出す拳を。

男はその巨体と力、武術で繰り出す拳を。


そして互いの拳は交差する、…なんてことはなく空中にて正面衝突をする。

片方は人を超えた拳、片方は自ら鍛え抜いた拳。

どちらも強力な拳だ。


それ故にそれらが衝突した場合結果は悲惨なことになる。

例えるならそう、猛スピードで走る2台のトラックが正面衝突した場合のように。


結果、男は案の定その痛みに耐えきれず大きなスキが出来る。


だがカケルは違う。

カケルの特異体質の一つ、『痛覚無視ペイン・キャンセル』により男が感じた痛みは感じない。故に―   


「ハァッ!!」


「ぐ、ガハ……」


カケルはそのスキをつき、男に強力な一撃をいれ男は倒れる。


「はぁ、はぁ。『制限起動リミット・オン』。ふぅ〜、疲れた」


カケルは『制限解除』の影響で座り込む。


「だ、大丈夫ですか?」


「ああ、なんとかな。さて、」


カケルは疲れた身体をむりやり動かすり


「今のうちにこいつを縛っておかないとな」


こうしてカケルは男を拘束し、屋上での戦いは終わった。




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欠陥品な俺の学校生活 影束ライト @rait0

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